第25話
ストックが切れたので誤字脱字があったらごめんなさい。
「 ・・・・これは、これは・・・・なんとも凄まじい。ファイヤーアローではなく下位のファイヤーボルトに思えるが、威力はアローを遥かに凌いでおるのぉ・・・・ 」
お髭先生の額に冷や汗が浮かんでいる。
ギャラリーも事の成り行きを、固唾をのんで見守っている。
「 うむ、流石大賢者の生まれ変わりと言われるだけの事はある。実に見事じゃ 」
お髭先生は、只管大きな本に向かって必死に書き込みを行っている。
「 儂だけでは、ちと心許ないのぉ・・・・明日改めて調査班を編成し殿下の元を訪れる方がよかろう・・・・」そういいながらも、目がキラキラと輝いている。
「 既に殿下のお力は、宮廷魔法使いを軽く凌いでおる。・・・・そこでの・・・・興味本位なのじゃが、殿下が本気を出した最大の火魔法を使うと、どの様なものが見れるのじゃろう・・・・いや、無理にとは言わぬ。生い先短い儂の戯言じゃが、どうかの?・・・・ 」
お髭先生が、こちらを見ながら懇願するような目で訪ねてきた。
後ろを振り向き、母の顔色を伺う。
唇がナワナワと震えながらも「 ラ、ラインハルト、できるなら見せて御上げなさい・・・・ 」
高出力の魔法を目の当たりにし少し動揺したのか、少し表情が引きつって見えるが許しは得た。
「 あい! あぶない魔法でしゅ。 つかってもいい? 」
お髭先生に尋ねると、凄まじい速度で首を上下に振るう。
・・・・同意は得た。構想はあるが、まだ実際に使ったことのない魔法を試してみることにする。
神眼鑑定を発動、空気中の水素を観察する。
何万もの同位体元素・重水素は結構な数を見つけることが出来た。
原子一個、非常に小さな対象の為、集中力が半端なく必要となったが、なんとか一個だけを制御下に収める。
そこで、強く念じる。・・・・斥力を0に!!!・・・・
空中で一瞬光が瞬く。
『 ポーン 元素に対する斥力の干渉を検知 スキル【斥力操作】を取得しました。』
・・・・おぉ意外といけるものだ!・・・・これで準備は整った。あとは形にするだけ。
そう、常温核融合が実現した瞬間だ。
ファンタジーの世界、魔素の存在する世界でしかなしえない所業、常温核融合爆弾を作ることにしたのだ。
風魔法で旋毛風を起こし、神眼鑑定で重水素を捕えていく。
・・・・・100g位でいいだろう。これでもとんでもない威力を発揮しそうだ。
重力魔法で重水素を捕え圧縮、ファイヤーランスを作り上げ、その先端に温度変化でプラズマ化した重水素を光魔法のシールドで包み込み固定。
遠くに見える、森林限界の見える高い高い山脈を指さして、ギャラリーに尋ねる。
「 あのお山の近く 人いる? 」
護衛の隊長らしき者が答える。
「 いいえ、暗き森の奥にある山脈周辺には集落はありません 」
「 あい! 」
念のため、遠見のスキルで森林限界付近を確認する。距離的には30km程離れてそうだ。
ちょっと不安も残るが、実験には都合がいいか・・・・などと思い、ファイヤーランスに改良を加える。
弾頭を更に光魔法のシールドで保護し、着弾と同時にシールド解除・合わせて斥力0に成るよう魔法を練る。
するとファイヤーランスの先端に魔法陣が浮かび上がる。
お髭先生はそれをみて凄まじいスピードで本に何かを書き写している。
30kmを飛翔するには、ランスの柄の長さ程度の推進力では足り無さそうだ。3弾式ロケットっぽく3本と4本の柄を追加したら、いよいよロケットの形状に酷似していく。そこにここぞとばかりに魔力を詰め込んでは圧縮してゆく。
圧縮の際に生じた余熱を温度変化で冷やしても、ファイヤーランスは空中で静かに静止指定している。
ちゃんと制御下に納まって安定しているようだ。
弾頭・推進装置共に安定、狙いが外れないようにフォーミングも欠かさない。
「 すこしはなれてくだしゃい! 」
ギャラリーが皆、駆け足で自分からかなり離れていく。
・・・・ちょっと寂しい。傍にいるのはポウさんとお髭先生だけだ。
ファイヤーランスを維持しながら、周囲のギャラリーにプロテクトの魔法をかける。
そして毎度の如く、自分の周辺をランスが周回し始めた。
ゴォオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・
大きさも大槍の3~4倍程有る為、風を切る音が半端ない。
次第に加速してゆく。自分の周りで制御下ギリギリまで加速。
「 ぼくのうしろにのひとは いましぇんか?! あぶないでしゅよ! 」
お髭先生が、自分の後ろから傍らに逆に近づいてくる。
「 ここなら安全かの? 」
「 ・・・・あぃ たぶん だいじょうぶでしゅ! 」
ポウさんの直ぐ近くで、ランスを眺めるお髭先生。
「 では、はっしゃしましゅ!! ご よん しゃん に~ いち はっしゃ!! 」
遠心力で加速させた槍が森の上空へと飛んで行く。
「 だいいち すいしん杖 ふんしゃ! 」
ドォオオォォオオオオオオオオ・・・・・
一番下部の4本の柄から魔力が魔素となって噴き出すと一気に虚空へと方向を変え、上昇してゆく。
キラキラ光る魔力の輝きが、花火の様に美しい。
ランスが、点と成って見えるほどに距離が離れる。
「 だいに すいしん杖 てんか! 」
ピカッ!
ドン!
かなりの空中で音速を超えたのか、丸い衝撃波が見える。
遅れて、音が届く・・・・
「 みなしゃん ふせて!! 」
ギャラリーがみな地面に膝をつく。
「 ひょうてきまで ごぉ よん しゃん にぃ~ いち ちゃくだん!」
キカァアアアアアアアアアアアアアアア
眩い閃光が空を焦がす。
新円状の衝撃波が、遠くの山を覆い粉塵が舞い上がる。
ズウゥウウウウウウウ・・・・
ドドドドォオオオオオオオオオ・・・・・
閃光に続き破壊音が轟く
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
遅れて地鳴りが響く
山肌に大きなクレーターを作り、火山噴火を思わせる黒煙が天空に競り上がってゆく。
熱線で周辺の木々はなぎ倒され、瞬時に発火。飛び散った真っ赤に焼けた噴石が、かなり広範囲に降り注いでいる。
形を変えた稜線に沿って土石流が山の彼方此方で起こり、暗き森の木々から、一斉に鳥が飛び立ち逃げまどう。
『 ポーン 大量の魔物の討伐を確認 存在値が上昇します。 LV8・・・LV9・・・LV10・・・LV11・・・Lv12・・・・』
かなりの魔物がいたようで、神の声のLvアップが何時までたっても止まらない。
ふと隣のお髭先生をみると、顔面蒼白の状態でいつものガリガリと書き込むペンの音が止まっている。
そして目が合う。その途端片膝を付き頭を垂れる。
「 ・・・・大賢者様、儂のような無知の輩に大賢者の御業を披露頂き、感謝いたします 」
お髭先生が跪き、いつまで経っても頭を上げない。
・・・・これってどうすればいいの?・・・・途方に暮れるラインハルトだった。




