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異世界転生 第二の人生は胎児から 新生児からはじまる無双物語  作者: ねむねむぴよ
第三章 新生児、魔法の深淵を覗く。
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第23話


 ゲートで寝室に戻り、浄化を自分とポウさんに掛けて布団に潜り込む。

 女給はまだ寝ており、抜け出したことには気づいていない。


 魔法の練習をし、慣れない傀儡術まで使った為かやけに眠い。

 もう真夜中、日付は辛うじて変わっていない。

 返り血を浴びたポウさんが奇麗になったのをベッドで確認していると、本格的な睡魔が襲ってきてそのまま寝入ってしまった。


 ・・・・

 

 母の胸に抱かれ、未だに微睡んでいる。

 確か今日は、偉い先生が魔法を教えてくれる日だったはず。


 昨日は夜遅くまで起きていたので、まだ眠気がまとわり付いている。

 朝マーニから乳をもらい、離乳食を食べる時も寝落ち寸前で、母に抱えられて再び目が覚めたのだが、正直もっと寝ていたい。

 だが、初めて他者が使う魔法と言うものにも興味があり、その興奮から昼前には完全に覚醒した。


 まずは、魔素と魔力の考察について自分の中で整理してみる。


 魔力も魔素も同意的にとらえられているが、魔素はまだ体内に取り込まれる前の状態か魔力が放出された後の残滓として空間に漂ている不思議物質に思われる。

 魔力同様、生き物の意思などによって顕在化し、様々な物質に変換される物・・・・

 重力制御などで多用している自分としては、重力子や光子などにも変換利用できる、超便利物質だ。

 しかも、強い意思である程度コントロールできる自在性も存在するようで、自動追跡ホーミング・・・・何か魔法陣のようなものが見えた気もするが・・・・のような簡単な行動制御プログラミングにも順応する。

 この事からも、短い人生の中で複雑な機械類が視界に入らないのが何となく想像できる。

 そう複雑な機械がなくても、魔法道具で何とか世の中が回っているのだと推測するわけだ。


 しかし、魔法とて万能ではない。空間に満ち溢れているとはいえ、それを使役する生物、主に人間にも向き不向きがあるように、魔法を使える者・使えない者が存在するようだ。

 とわいえ、日常生活において大抵の人々は無意識で魔力を使い、魔素の溢れる世界に順応している節がある。それは乳をもらっていると良くわかるのだが、マーニや母から微弱であるが魔力が流れ込んでくるのが解るからだ。

 健やかに育って欲しいという意識が魔素を方向付け魔力として変換され注がれている・・・・そう、無理やり推察している。


 そんな不思議物質を操る、偉い魔法先生が態々来て下さるのだ。期待しないほうが難しい。


 てなわけで、覚醒からテンションMAXで、先生の来訪を待っていた。


 ・・・・


 自分は今よそ行きの衣装に着替えさせられ、応接間の長椅子にくまのポウさんと一緒に大人しく座っている。

 傍には母とマーニが座っており、他女給が数名、来賓の歓迎の為いそいそと動いている。


 そこへ執事頭の何とかさんが入ってきて来賓の到着をしらせた。


 母とマーニが席を立ち、来客を迎えるようだ。

 自分は置き去りにされて少し不安な気持ちになるが、ポウさんの頭をぺちぺち叩き気を紛らわせる。

 そんな事をして気を紛らわせていると母達が見知らぬ老人を引き連れて応接間に姿を現した。


 母の半分程度の身長、第一印象は眼光鋭い矍鑠かくしゃくとした老人。これぞ魔法使いと言ったようなトンガリ帽子にラメの入ったマントを羽織っていて、白髪の髭が今にも地面に付きそうな程に伸びている。月間漫画雑誌数冊分と思える分厚さの豪華な革張りの書物を両手で抱え、腰には短い瀟洒なワンドが煌めいていた。

 そんな、老人が結構高めの声で語り掛けてくる。


 「 お初にお目に掛るラインハルト殿下。儂は、ブライハイドレイズ・ガル・メリファクトリアス・ロードリアスである。“ 炎を極めし者 “とも呼ばれておる。以後お見知りおきを!」


 ・・・・名前が長すぎて覚える気がしない・・・・


 「 ら、らいんはりゅとでしゅ! あい! よろちくおねがぃましゅ!」

 ・・・・上出来だ、ちゃんと挨拶できた。だいぶ噛んだが生後半年に満たないのだから上出来なはずだ・・・・


 「 おぉ、その年で良く出来た御子おこである。儂の名前は長くての、好きに呼ぶと良い。」

 ・・・・確かに長すぎる、二つ名で呼ぶのは論外、ブライなどと縮めるのも失礼であろう、ここはチャーミングなあだ名で呼ぶとしよう・・・・

 「 あい! おひげしぇんしぇい 」

 「ふぉふぉふぉ お髭先生とな。善きかな。して早速であるが、まだ字もよく書けぬであろう、然るに儂が語る話を聞き、解らぬところは聞き直すがよい。話は分かるかの?」

 「 あい! 」

 ・・・・気に入って頂けたようで何より、でどんな話か興味津々だ・・・・

 「 良い返事、よろしい! 魔法学は理論・検証・実証が常である。百聞は一見にしかずともゆうが、儂はまず理論からはいる。良いかの? 」

 「 あい! 」

 「 聡い御子じゃ、では続けるとしよう 」


 母にマーニ、女給達などの周囲が固唾を飲んで見守っている。


 お髭先生が、大きな書物をドカリと応接テーブルに置き、最初の方のページをめくる。


 「 まず、世の中には熱素と言うものがある。それはすべての物に含まれており物に刺激を与えることで取り出すことがある。良い例が物を擦ることにより熱を発するのがよい例じゃ」

 「 ・・・・あぃ 」

 ・・・・熱素と来たか、そんな物は存在しないと言いたいが、まずは話を聞くとしよう・・・・

 「 これは既に検証されておるでの、実証して進ぜよう 」


 お髭先生が、拝むように手を合わせ擦る。

 そして、その手を離すと、両手の間に、小さな火球が浮かび上がる。

 ・・・・神眼鑑定・・・・

 先生の両手を凝視すると、魔素が空気と反応して熱を発する物質へと変換され両手の間を流れる魔力を元に燃え上がっているのが解る。


 自分は、その魔素の変化を真似して右手を目の前に出して、人差し指の先で同じ現象を再現してみる。


 ポッツ!

 お髭先生と同じ程度の火球が、人差し指の先に生まれる。

 結構熱いので気流操作で常に下方から風を送り込む。


 「 ・・・・なっ! 熱素を使わずに何故火球が生まれておる??! 」

 お髭先生が、目をキラキラさせながら自分を食い入るように見つめてくる。


 「 ましょでしゅ! あい!」

 同じ現象が再現できたので良いかと考えていたが、摩擦熱を使わずに再現したのが拙かったようだ。


 「 “ましょ”とは何ぞや!?」

 「 ま・そ・でしゅ!」

 「 魔の素ということか?」

 「 あい!」

 「 それをどうした!?」

 「 おひげしぇんしぇいと、おなじした 」

 「 同じとな、それはどういうことじゃ?!」


 「 くうき、にゃかにある、もえるのと・・・・まじぇりゅと、もえる! 」

 「 空気の中にある燃える物質と混ざると燃えるというのかの!?」

 「 あぃ! 」


 ポポッツ!

 聞かれたので、右手の五本の指すべてに 火球を浮かべて見せる。


 「「「「「「 ・・・・・・ 」」」」」」


 お髭先生は、キラキラ目を輝かせ、懐から筆記用具を取り出すと、開いていたページに何やらガリガリと補記し始めた。


 「 これは新事実の発見か?! 流石は賢者、見所が違うわい・・・・」

 髭を時折弄りながら、考察を書いているようだ。それを一頻り書き終えると、今度はラインハルトの真似をし始める。


 「 殿下、何かコツのようなものはあるのかの? 」

 新生児に尋ねる大魔法使い、絵的にシュールである。

 「 あい! くうきぃ ふれるともえるの ちゅよく おもうでしゅ! 」

 「 燐のような物かの・・・・うむ、魔素とは魔力と考えてもよいのかの? 」

 「 あい!」


 お髭先生は一頻り念じた後頷き、人差し指を立てる。


 ブォオオォォ!

 ガスバーナーの炎のような火炎が指先から噴き出す。

 「 おぉおおおお効率が良いぞ、殿下の見立てが心理成り!! これは次の魔法大学総学会で報告せねば!! 我らが指導が根底から覆るぞい!! 」

 ラインハルトを真似して、5本の指から火柱を上げ、小躍りをする先生・・・・それを、目を見開き見守る面々、教えに来たはずなのに教えを請い喜ぶ爺様に唖然とする一同。


 「 殿下、他にはないのかの? こう、目から鱗が落ちるような・・・・そうじゃ、実習じゃ!

 これから野外実習に切り替える。 儂の取って置きをご覧に入れようぞ!! 衛兵!衛兵は居るか!!これより野外実習に切り替える!!森迄儂らの護衛をせい!!」

 先生は新し玩具でも手に入れたように小躍りしながら、大きな本を閉じ両手で抱え、さっさと屋敷の玄関へと向かうのだった。

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