閑4話
王城、近衛兵取調室にて。
審問官A:して暗部取締長官オウル、依頼を持ち込んだのはグロール公爵と第三王子のギルベルト殿下で間違いないと。
オウル:間違いありません。
審問官B:審議魔法具、偽りなし。
審問官A:以上をもって取り調べを終了とする。・・・・・ところで、一つ疑問に思った事を聞いてよいか?
オウル:嘘偽りなくお答えします。
審問官A:何故、包み隠さず、全てを答えたのだ? 暗部であるならば死しても口を割らぬことで有名ではなかったか?
オウル:・・・・・ラ、ラインハルト殿下に何度も許して頂いたからです。
(オウルがガタガタと震えだし、奥歯がかみ合っていない)
審問官A:許すとは?
オウル:・・・・わ、私が記憶しているだけで、6度は死んでおります。
実際にはそれ以上の回数、死後の世界を垣間見ました。
自分の眼球が飛び出し、あばらの全てが砕け、内蔵に突き刺さる瞬間を経験したことはお有りか?
審問官A:・・・・ない。
オウル:背骨が砕け、四肢が折れ、骨が突き出す経験はお有りか?
審問官A:・・・・ない。
オウル:無邪気な赤子が蟻の行列を手で撫で、磨り潰す。その蟻の心境に陥ったことは?
審問官A:・・・・
オウル:は、ははははははは・・・・頭蓋が割れ、耳から脳症が噴き出す時の苦痛。
そんな経験はお有りか?
審問官A:・・・・
オウル: ふふはははぁ、それを何度も、何度も、何度も・・・・それでも死ねないのです。
ラインハルト殿下のお慈悲で、生かされ続けるのです。小さな赤子の手のひらに我が虫けら如き命がコロコロと転がされるような・・・・ははははははっは・・・・
・・・・
・・・・
・・・・二度と経験したくは御座いません。毒をあおって一思いに死ねる・・・・何とも甘美な誘惑でしょう。
しかし、それもきっと許されないのです。
殿下にかかれれば、死者も裸足で逃げ出すでしょう。
我が忠誠はラインハルト殿下の物。
殿下の安寧を損ねる者には、我らが味わった苦痛を10倍、いや100倍にして、フフフフフ・・・・
審問官A: わ、分かった。もう良い。
(・・・・赤子であるラインハルト殿下は一体何をしたのか・・・・これは聞いては成らぬ事だな、書類から削除し、報告を上げる事にせねば、我が身に誄が及びかねんな・・・)
審議官B:・・・・全て真実とでました。
審議官A:もう良い報告書は私が仕上げる。お前は今聞いた事、墓場まで持って行け。
審議官B: ・・・はっ!
審議官Bは直立不動で最敬礼をした。




