第18話
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翌日の離宮は上よ下よの大騒ぎ、その喧噪で目が覚めてしまった。
昨晩、賊が侵入し何者かに捕縛されたのだ。
しかもシャンデリアから降ろそうとすると自重が元に戻り、シャンデリア毎床に落ちてしまい大きな音が屋敷中に木霊した。
あとは大人が何とかするだろうと、自分はマーニの乳をもらい前よりも味の濃くなった離乳食を堪能中だ。
母は屋敷の者に激をとばし、事の顛末の聞き込みに終始している。
屋敷にいるみんなは何となくではあるが、賊をとらえた張本人が自分であることに気が付いているようで、ちらちらとこちらを伺うのが、なんとも気恥ずかしい。
そんなこんなと慌ただしくしている内に父が訪れ、まっすぐこちらへと向かってくる。
ひとしきり自分の体の彼方此方をまさぐり安堵する。
「 ラインハルトは息災であったか・・・・爺!事の顛末をつまびらかにし実行犯には相当の報いを受けさせるのだ!決して手を緩めるな!たとえ王族であったとしてもだ! 」
父の怒りは相当なものであったが、たぶん実行犯の賊達は借りてきた猫の様におとなしく全てを話すことに成るだろうと思いながら、人肌のぬくもりのなか微睡に身を任せた。
・・・・
そんな日々の中、ついに歩けるようになった!
日頃の筋トレの賜物だ。
父と母が難しい話をしていたが、要は第三王子の背後にいる公爵の手引きであったことが分かり、暗部も何の抵抗もなく全てを自白。ラインハルトの機嫌を損ねるとどんな手練れであろうと全く歯牙にもかけず駆逐されるであろうと、報告が上がったようだ。
しかも、序列が一つ上がることになり、12番目の王継承位が11番目となったらしい。
心底どうでもよい事だ。
そこに母だけは、「 ラインハルトは優しいから、ごめんしたら許してあげるわよね?」と語り掛けてくるので、元気よく「 あぃ!」と返事をしておく。
ラインハルト襲撃事件は戒厳令を引かれていたにも関わらず、周辺各国にまで広がりラインハルトは“触れてはならない者”と言う二つ名を得ることになったのは当人の知るところではなかった。
・・・・
そして、いつもの穏やかな日々が戻ってくる。
庭で日向ぼっこをし月齢が3ヶ月半を過ぎた頃、ついに実態年齢が一才を超えたきがする。
「 ああい!(明細鑑定)」
>個体名:ラインハルト・フリード・フォン・ヒューラ
>種族名:人間 賢者
>状態値:新生児 生後3か月半超 好調 実質状態1歳と2ヶ月
>存在値:LV7
>体力値:105HP
>魔素値:6540MP (保有6545MP)
>スキル:魔力操作 光 闇 火 氷 水 風 雷 土 木 治癒 浄化
肉体改造 魔力強化 毒物耐性
重力操作 温度変化 水流操作
明細鑑定 早熟 念動 探知 遠見
木工 金属加工 錬成術
異空間収納 ゲート
自重をしらないMPが大幅UPしている。
「 あぃ! (体力:明細鑑定)」
HPの鑑定明細が表示される
>体力値:105HP
>攻撃値:0.5
>筋力値:3.2
>敏捷値:2.0
>器用値:5.2
>回避率:1.5
>防御力:1.0
筋力が3に成ている!喜ばしい!5にもなれば、小さい短剣程度なら振り回せるようになるだろう。だが、慢心は禁物だ。魔素値は異常だが、肉体は脆弱?なままなのだ。
しかし体力だけは既に大人並みまで上がっている。これを生かしきれないのが残念でしかたない。
まぁ、三ヶ月半で一才を超える肉体を手に入れられたのだ良しとしよう。
・・・・
そうそう、サプライズプレゼントをもらった。
自分と同じ大きさ位のクマの縫いぐるみだ。
マーニの手製らしく、右手と左手の付け方を誤ったのか腕の長さが結構違う。
よく見ると、マイルドなジャクソンさんが 「ポウ!」と言いそうな感じに右手が股間に降りてしまう。
それを見た自分が「 ポウ! ポウ! 」と連呼して大爆笑をしてしまい。マーニは気にってもらえたと満面の笑みをこぼすので、突っ込むことはやめておくことにした。
そのため自分の親友?、クマのポウさんと寝食を共にすることになった。
筋トレの為いつもポウさんを掴み、ずるずると引きずる。
皆のあたたかな眼差しが少し気になるが、赤ちゃんなので許容して欲しい。
食事の時も、不要であるポウさんを自分の隣に座らせ、ベッドにも一緒に置かれる。
たまに邪魔だと思うこともあるが、まぁそこそこ良く出来た縫いぐるみなので諦めて抱き枕替わりにしていると、結構愛着が沸くものだと知った。
・・・・深夜、目が覚める。
偶にあることだが、皆が寝静まっている時こそ魔法の練習をする絶好の機会なのだ。
ポウさんに魔力を浸透させる。そして人の様に動く様にと強く念じる。
手が僅かに持ち上がり、頭を起こそうとする。
『 ポーン 人型の物体への魔力干渉を検知 スキル【傀儡使い】が発生しました。』
スキルが発生したと同時に、縫いぐるみが起き上がる・・・・と思いきやコケる。
やっぱり手の長さが違うので、バランスが取れないようだ。
それでも何とか立って見せ、二足で歩行する。
試しにムーンウォークをさせてみると、うまい事やり遂げて見せてくれた。
・・・・深夜笑いを堪えるのがこれほど苦しいとは、知らなかった・・・・
最初の傀儡としては上々、体力のない自分の盾として頑張ってもらおう。




