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異世界転生 第二の人生は胎児から 新生児からはじまる無双物語  作者: ねむねむぴよ
第二章 新生児って何ができるんだ? いや、為せば成るはずだ!
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第15話


 退出した王の表情は青ざめていた。

 その足はまっすくラインハルトの母のクリスティア元へと向けられている。


 そして、控えの間にいたクリスティアを見るなり、声を震わせながら興奮気味に喋りだす。


 「 ク、クリスティア! 只事ではないぞ、こやつの力はなんだ?! 宮廷魔法長でさえもここまでは無理だ、如何したら良い?! 護衛は足りておるか、攫われでもしたら国益に関わる!!!そうだ、離宮の改築と衛兵の増加を至急手配せねば、この子一人で戦争が児戯に変わるぞ!! そうだ周辺国へも書簡を、爺!!爺は居るか!!、大賢者の生まれ変わりが当国に生誕したと喧伝せよ!! それにだ、他の子を庇護する貴族にも釘を刺さねば、まだ右も左も解らぬこの子に手を出せば国が亡ぶと・・・・人の噂は千里を駆けるという急がねば!!」


 自分を受け取りながら母が呟く。

 「 だから言ったではありませんか、お手紙でもお伝えした筈です。常軌を逸した異才を持っていると・・・・それを喧伝すれば、やっかみやひがみが絶えなくなる事も・・・・ねぇラインハルト?」

 「 ぶぅぅ・・・・(そんなこと言われてもしらんわ)」

 「 それにラインハルトはまだ三ヶ月の赤子なんですよ、ちゃんと優しく育っております。」


 母と父が難しいことを話し始めたので、ほおって置くことにし、自分の明細鑑定を行う。


 >個体名:ラインハルト・フリード・フォン・ヒューラ

 >種族名:人間 賢者

 >状態値:新生児 生後2か月半超 好調 実質状態8ヶ月

 >存在値:LV6

 >体力値:89HP  

 >魔素値:1940MP (保有4145MP)

 >スキル:魔力操作 光 闇 火 氷 水 風 雷 土 木 治癒 浄化

      肉体改造 魔力強化 毒物耐性

      重力操作 温度変化 水流操作

      明細鑑定 早熟 念動 探知 遠見 

      木工 金属加工 錬成術

      異空間収納


 「あぶぅ!(おぉ名前の(仮)が外れた!)」

 お腹が空いたので母の乳を探ると、直ぐに含ませてくれた。

 人肌の温かさ、喧騒からの精神的な疲れから解放され、直ぐに微睡に落ちていった。


 ・・・・


 目が覚めると、いつもの離宮の天井が見える。

 いつの間にか帰ってきていたらしい。

 それにしても室内が騒がしい、女給の人数が倍程いる。

 二階から見る窓の外は暗く、日が沈んだようだ。

 しかも、今日は外には篝火が焚かれ何時もの静かな庭も巡回する衛兵の数が多い気がする。


 今日はマーニと母が乳を沢山くれたので、水っ腹であるが、たいしてお腹が減っておらずまだ寝足りないので母の寝所で一緒に寝入ってしまった。


 そして深夜、変な時間に寝てしまったので目が覚めた。

 妙な胸騒ぎがする。


 母はぐっすり眠っており・・・・というか眠らされているようだ。

 「 あぶぅ、あきゃ!(なんか変だぞ、明細鑑定!)」


 >個体名:クリスティア・フリード・フォン・ヒューラ

 >種族名:人間

 >状態値:18歳 昏睡 (状態異常:薬物による睡眠)

 >存在値:LV27

 >体力値:132HP

 >魔素値:113MP 

 >スキル:不明


 「 あぶぅぶぶぅ・・・・(だれだ眠り薬なんか盛った奴は・・・・)」


 重力操作と念動を使い、ベッドから起き上がる。

 そして魔法探知を発動した・・・・不自然な場所で動かない使用人を含む多くの人々・・・・その中で3名程、移動している人物がいる。


 「 あきゃ、ぶぶあぁきゃは!きゃは!・・・・(こりゃ拙いな、屋敷全体に浄化!治癒!)」

 屋敷全体を光のベールが降り注ぐ。

 魔法が発動したのを確認し、母にそっと触れる。

 「 あきゃ!(明細鑑定!)」


 >個体名:クリスティア・フリード・フォン・ヒューラ

 >種族名:人間

 >状態値:18歳 睡眠 (状態異常:解毒中)

 >存在値:LV27

 >体力値:132HP

 >魔素値:113MP 

 >スキル:不明


 母の寝息がいつもの聞きなれたものに変わり安心する。

 ・・・・後は賊の始末か・・・・


 浮遊しながら扉へ移動し、ドアノブを回す。

 いつも掛かっているカギが掛かっていない。

 ・・・・内通者がいるのか?・・・・


 寝所の護衛の衛兵も、不自然な姿で倒れている。

 起こして不審がられるのも嫌なのだが、床に倒れている衛兵の顔をペシペシ叩いてみるが、起きる気配はない。


 「 あぶぶあばぶ・・・・(一度に全体魔法を使用したから利きが鈍いか・・・・)」

 などと考えていると、目の前に黒ずくめの外套を着た賊が現れた。


 「・・・・何でこんな所に赤子が?・・・・そうか 是奴が子供賢者か。」

 野太い男の声が独り言ちる。


 「 き~ゃ! (プロテクト)」

 黒ずくめの男が近づく前に、光の魔法で防御を張る。

 物理攻撃にも効果があることを願うばかりだが、こちらの姿をみて慢心しているのか言い聞かせるように話しかけてきた。


 「 不憫な事だがお国の安寧の為、其方には死んでもらう。何、痛みもなく直ぐに逝かせてやる。」

 そう言うと、刃の反った短剣を鞘から抜き、近づいてきた。


 「 きゃは! (やらいでか)」

 つぶらな瞳で見ながら首をかしげて見せる。

 しかし賊に動揺は見られない。かなり場数を踏んだ手練れとみられる。


 男は足音もさせず滑るような足さばきで距離を詰めてきた。

 ・・・・何も館に住まう全部の住人を眠らせなくても良いものを・・・・と考えるとイラっと来た。


 「 ぶぶぅ! (パラライズクラウド)」

 通路が一瞬で暗くなる、黒い粒子状の靄が通路を覆い男を逃がさない。

 男の足元がよろけ、手が震えている。


 「 ・・・・何をした?! 」

 「 あぶぶ!(教えるか!)」

 「 ・・・・俺は赤子に何を聞いているのか・・・・」

 男は頭を振るうが、己の魔法防御を軽く上回る魔法に成す術が無いようだ。


 「 あきゃ!(重力操作:5倍)」

 男の体重を5倍に増加させる。

 見た目60kg程度だが、今や300Kg・・・・

 斜に構えた姿勢から、自重に耐えられる膝から崩れ落ちる。


 グチィドサ・・・・

 膝から嫌な音が聞こえて、その場に倒れ伏す。

 崩れ落ちた時、自重に膝が耐えられず壊れたようだ。

 もともと屈強な体格ではないのか、床に伏したまま肺から空気が絞り出され、ヒューヒューと喉で呼吸している。

 ・・・・これで無力化できただろう。 だが暗器、含み針なんかあると嫌だからなぁ・・・・


 近寄らず、土魔法を使用し、持ってる金属をズルズルに溶解・変容させ、吸引する様に回収する。

 予想通り口の中の含み針・あちこちに隠された短剣・装備の指輪からネックレスにピアス・終いにはベルトの

バックルまで、全ての金属が水銀のように蕩け、自分の足元に引き寄せられた。


 「 ば・・・け・・・もの・・・・」

 男が失礼なことを言うので重力操作を6倍に変更する。


 ミシミシバキバキ・・・・ 

 重さのせいで、床が軋む。

 自重でアバラが折れたのか、男の顔が苦痛に歪み吐血する。


 これでもまだ安心できない、だって筋力2の自分に何ができるの?って感じだ。

 鹵獲した金属、謎金属も含まれていたが、その中から鉄のみを抽出したっぷり魔力を注ぎながら2mm鉄線を蜷局を巻くように作り出してゆく、その鉄線を使い念動で蛇のように賊に向かわせた。


 鋼線を足元から巻き付け、後ろ手で両手が肘を掴むように固定し、最後に足と手を繋いで海老反りにしても鉄線が余ったので異空間収納にポイする。

 貰った謎金属は後でゆっくり鑑定予定だ。ちょっと気分が良くなったので重力操作は解いておく。


 今にも、酸欠死しそうな青白い顔に血の気が戻る。

 まぁ、人を殺そうとしたのだから、殺されないだけでも上々ではないだろうか。


 ここまでして漸く男のそばに近づき、男の覆面を外す。

 冷や汗を流しながら、男が口の中の何かを飲み込んだ。

 自決用の薬か何かだろう・・・・

 「 ぶぅぅ・・・あきゃ!あきゃ!(自決なんかさせない・・・・浄化!治癒!)」

 男の体が発光し毒物が浄化され、骨折まで治る。

 「 な、な、何者んだ!? 薬が・・・・賢者!お前の仕業か!? 」

 「 きゃ! (だから教えないって!)」


 おでこを何度もペチペチたたき「 め! め!(こんにゃろ!こんにゃろめ!)」と痛めつける。

 筋力2の自分では気晴らしにもならないのだが、気分の問題だ。

 

 さて、廊下に置いてても邪魔だから居間のシャンデリアにでも吊るしておこうと思い立つ。

 重力操作で体重を1/1000にして、足をもって引きずって1Fの階段を目指す。

 そして上階から男を投げ落とした。体重60g、新生児にも安心安全な重さだ。

 男は顔を恐怖に強張らせ、空中を浮遊し風船のように何度も床にバウンドして止まる。


 「 あぶぅぅ・・・・(やっぱり階段は怖いな・・・・)」

 落とした男を追うように階段を一段づつ降りる。

 もっと手っ取り早く下りられるのだが、手の内を晒すしたく無いので後ろ向きで一段ずつ慎重に下りていく。



 「 あぁ~ (やっと半分か)」

 急こう配に見える階段、視線が低いのでかなり怖い。

 恐る恐る階下を覗くそんな折、次の賊が現れた・・・・

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