はじまりのはじまり
(あれ?ここはどこだ?)
目が覚めるとそこには男が1人ベッドに横たわっていた。
(この男…俺?俺じゃないか!?)
目の前にいるのは紛れもない自分自身の姿だった。
(何で俺が寝てるんだ?どういう状況だ?)
冷静になろうとしてもなれる気がしない。
この状況を理解するのに相当時間を要するだろう。
そう思い、周りを見渡してみる。
よく見てみると全体を覆う白色のカーテンやベッド、難しそうな機械、そして'そこに寝ているもう1人の自分'に繋がれた大量の管。
どうやらここは病院のようだ。
(なぜ俺は病院に?)
状況は相変わらず分からないが、少しずつ冷静さを取り戻してきたようだ。
(もしかして、これって幽体離脱ってやつか?
そんなことあり得るのかよ)
信じがたいことに苛立ちを覚えつつも、こうなった経緯を思い出すことにした。
(…だめだ、全然思い出せない。何してたんだろう、俺。。。)
思い出そうにも思い出せない。
そんな葛藤を胸の内に秘め、まずは1つ1つ整理することにした。
俺の名前は宮島幸太
27歳
独身
出身は三重県の尾鷲市というところ
まあ、どこにでもある田舎町だ
地元の高校を卒業後、大学進学を機に上京。
大学卒業後、三流のコピー機メーカーに就職した。
この会社はいわゆるブラック企業というやつで、
ひたすら家と会社を往復する日々、
休みなんて都市伝説といわんばかりに働き続けていた。
そんな生活も5年目になっていて、いつも通りの社畜生活を送っていたらこの不思議な現象に巻き込まれたわけである。
幸太
(基本的なことは忘れちゃいないな。けれども、今日の記憶がない。全然思い出せない。てか、今日っていつだ?何月の何日だ?まあ、そんなことどうでもいいか。)
そんなことを考えていると、ガラッと病室の扉が開く音がした。