セカンド プレイス その1
というわけでタイム・トライアル レース編やっていきます。
まだ書き終えてないのでなんともいえないですがこれも5~6話ぐらいですかね?
※注意
ここから女っけ一切無し↓
左側にATV、横に並んだ俺と黒井。
目の前には「海外のレース、お疲れ様です」なダイキさん。
なんか体育の時間のような立ち位置で俺達はダイキさんの話を待っている。
今、俺達はGWのTTイベントを申し込みんでついでに、練習でもしようかと再び春野さんの所へ遊びに来ていたのだ。
そこでなぜかアカリちゃんのお兄さんのダイキさんにつかまり、指導を受ける。という運びになったのだ。
後で聞いたのだが、ダイキさんは週末はわりとここに入り浸ってるらしく、本人曰く「勝手知ったるホームコース」というやつらしい。
「と、言うわけでお前らにコースの攻略とか細かく教えようかと思う!」
「「宜しくお願いします!!」」
「とりあえず、来週に乗るマシンでコースを回っていこうと思うんだが…ヒーロ君よぉ…本当にそっちの125ccのやつで出るのか?」
「え?これ、かっこよくないっすか!?」
「ヒーロ、お前ミリタリー的なの好きだもんなぁ…」
「普通は何回もやる様な奴はスポーツモデルを乗るもんだと思ってたんだが…まぁいい、まずはコースの概要から説明してやる」
「「宜しくお願いします!」」
俺達が体育会系だんすぃ的なノリで返事をするとおもむろにダイキさんはわりと大きめのタブレットPCを持ち出してコース図を解説し始めた。
ダイキさん、用意良すぎません?
「これはGPSロガーから作図したコースの概要図だ。簡単に持てもらうとバナナの房みたいな形をしているな。緩やかな直線的カーブとヘアピンを多く組み合わせたコーナーが数多くあるというのがこのコースの特徴だ」
「メッチャはハイテクっすね!?ダイキさん!?」
ダイキさんが「ふふん」と鼻高く胸を張った。うん、こういうのアカリちゃんそっくりだと思う。
俺は「GPSロガーだぞ、ロガー」と黒井によいしょされすぎて若干キャラがぶれつつあるダイキさんの話の軌道修正を図る。
「それで…緩やかなカーブとヘアピンが多いってことは…スピードレンジが変わるって言うことですか?」
「お、良いとこに気が付いたなソラト君。そう、ここには2種類のスピードレンジがあるってことだ」
「そしたら…難しそうなヘアピンの曲がり方が肝ってことっすか!?ダイキさん!?」
「いーやヒーロ君、そっちは皆気をつけるから…あえて俺が言いたいところは、どちらかというと高速セクションだよ!」
チッチッチとユビを振りながら指摘するダイキさんは本当にアカリちゃんと兄妹なんだなぁ…としみじみ思いながら話の続きを促してみる。
「高速セクションって…アクセル全快にするとかブレーキ踏まないとそういうこと以外に何かあるんですか?」
「基本はそれで良いぜ。ただ、ことオフロードの場合、どこまで それが できるか。それがそいつがどんだけ速いかを決める重要な要素になる」
後頭部が痺れるような感覚に襲われるような錯覚に襲われる。
彼のあの目は以前、彼がが自分のマシンを触っていた時と同じ目だ。
――今、ダイキさんの目指すところがレブリミットの先、一流のレーサーということを体で理解できた気がした。
「…話を続けるが、まぁマシンってのは同じ道なら大概においてアクセルを多く吹かした奴のほうが速いんだ。
だからどんな路面でもなるべく多くアクセルを回し速く走る必要があるし、減速する区間をなるべく短く必要もある。」
「わりと当たり前っちゃ当たり前っすよね?それ?」
「まぁ、ぶっちゃけるとそうだな!
…だがなヒーロ君。
荒れた路面でスピードを必要以上に維持するのはことオフロードの場合、オンロードと比較にならない体力の消耗がある。
ブレーキ・ポイントを奥に奥にと持っていく行為は正にチキン・レースってやつで、肉体も精神もかなり消耗するもんなんだぜ?」
ダイキさんはビシッと俺達に指を指しながらかっこよく台詞をキメてきた。
なるほど!と深い理解を覚えた俺と黒井は同時に「「おお」」と感嘆をあげた。
「まずは百聞は一見にしかず!とりあえずコースを回りながらブレーキングポイントの目安や走っている時の心構えなんかを教えてやるよ」
「「ダイキさん、ありがとうございます!」」
そんなこんなで俺達はコースへと入っていった。
◇◆◇◆◇◆
コースの中にはいって実際、ダイキさんのアドバイスを聞いてみると初回とはまったく違う全容に俺は驚きを隠せなかった。
俺が目安に付けていたブレーキングポイントはほとんどすべてダイキさんの手前で、ヘアピンに対するアプローチが根本的に違う事を痛感してしまった。
それでもダイキさん的には合格点だったのか、自身のブレーキングポイントが初心者のそれとはまるで違うと驚いた表情で絶賛してくれた。
ダイキさんは途中から俺に付きっ切りになり、セクション毎の俺が感じた感想を基にした修正ポイントをアドバイスすることに終始し始めた。
…流石に黒井が「ダイキ先輩、俺のアドバイスはないんっすか!?」と突っ込みを入れてきたので後半のセクションは黒井も交えたライディング講座のようなものになった。
ダイキさんには他にもコース端にある縁石を片輪にかけてカットするやり方やタイトなS字カーブの切り替えし、雨天時、ぬかるみやすいポイントなど、昔のゲームの攻略本真っ青の情報を盛りだくさんに教えてもらった。
この人、これで食っていけるんじゃないか?
俺達はそのままコースをゆっくりと走り終えてスタート地点の近くに止めた。
コース脇でポイントのおさらいをするまでには既に初回の講習をした時と同じぐらいの時間が経過していた。
ポイントのおさらいは主に当日の路面のコンディションに柔軟に対応するべきだとダイキさんはいう。
そういえば雨天時の路面の話になったとき聞いた話だが、このイベントはもともとATVが好きな社会人がここではレースができないからとTTのルールを作成したらしい。
しかし、その中の一人が強烈な雨男で記念すべき第一回を始め、以降のイベントでも彼が参加する回は必ずといっていいほど雨の痕跡が残るんだとか。
「ちなみに言うとだ、その第一回は台風だったらしいぜ。つまり、イベントは雨天決行なんだな」
「え、まじっすか!?ダイキさん!?」
「おうよ、さらに主催していた当時の人達にそんときのことを聞いたことがあるんだが、「いや~、台風の時でもATVはマヂ最高だね!」とかいってたぞ?」
「どう聞いてもキチガイじゃないですか…」
俺達がいまだ顔の見えぬATV狂信者へ恐怖を覚えていると、ダイキさんは俺たちを安心させようとフォローをいれた。
「大丈夫だってっ!今回はその雨男の人も来ないらしいし、当日の天気予報も晴れだったろ?」
「あー…まぁそうっすね!それに俺達、晴れ男だし!な?ソラト?」
「そうだな、流石に台風で参加するのは少し躊躇するな」
実は、改めて考えてみるとバイクと違ってなかなか面白そうだとも思ったのは内緒だ。そもそも台風の時にバイクを出すのはキツイ。
そしてそろそろ、俺も黒井も教えられた事を試してみたくなってきた。
二人で頷きあった後、辺りを見渡したところでどうやらダイキさんも気づいてくれたようだ。
「…まぁ、色々しゃべったけど走ってみんとわからんよな?よし、先頭で一回づつコースを回ってみて俺が後ろで走り方を見てやるよ」
「「宜しくお願いします!」」
まずは黒井からコースに入っていくことになった。
俺はその後を追うべく最後にコースへと繰り出した。
実は言わないと(多分)わからん舞台背景で
ソラトとヒイロが約1週間程度先の天気予報をまったく疑うことなく信じている。
それぐらい天気予報の技術が進歩している。(予報プラグラムとかセンサーの精度とか)
つまり、近未来。
という裏話的なものがあります!( ̄^ ̄)b