閑話 1 to 2 その1
筆が遅いのでATVは基本、週末投稿になるかもです…
連載という単語は恐ろしいものなんですね
あの衝撃的な日から2週間が過ぎた。
俺の幸せの青い鳥ことアカリちゃんは割りと直ぐに連絡を返してくれて、お互いの(というか向こうの)都合がつく日である今日に再び遊ぶ約束をしていた。
それが新学期も始まり、最初の休日である今日。クラスこそ違えどそんなの関係ないぐらいラッキーなことだ。
黒井も誘ってみたんだが、どうやら妹の御機嫌取りと言うやつに忙しいらしい。
本当なのか気を聞かせたのか分からないがアイツもなかなか苦労人のようだ。
今度またラーメンでも奢って…いや、前回のこともあるしおとなしく苦労したまえ、黒井緋色君。
そんな「これもしかしたらデートじゃね?」とか上がったテンションを必死で隠しつつ、か家族とリビングで朝食を取っていると、急に声を掛けられた。
「ソラト、今日は御機嫌じゃないの?なんかあった?」
不意に掛けられた声の自然さに反比例するようについ挙動不審になりながらも振り返る。
この声の主はねーちゃんこと高久 麗華。
ちょっと年の離れたねーちゃんで現在26歳。就活と同時に彼氏と別れ、現在もなお独身。三十路の道へとCDGといったところか。
あ、ねーちゃんの眉間にシワがよってきた。
「なんかソラトがスッゴい失礼なこと思ってた気がする」
なんで分かるんだよ!
「なんも思ってないよねーちゃん。じっと見ててごめんって」
「ふーん、じゃぁなんでみてたのよ?」
「いや、ねーちゃん久しぶりに帰ってんなとか思ってさ。みんなで飯食うの久々じゃね?とかおもってね。」
うまくごまかせたんじゃないか?
「そんなこといっちゃって…誤魔化されないんだからねっ!」
そうは言いつつも「むふふ」と楽しげなねーちゃん。
普段、秘書の仕事で忙しいのか最近は帰ってくる頻度も減っていた。
こうして和やかに食事ができるのが嬉しいのも本音でもある。
うまくごまかせたようで何よりだ。
「まぁ、ソラトが 今日、(ど こ)で (だ れ)と遊びに行くのかは聞かないでおいてあげるよ」
うまくごまかせてなかったかー
幸い、麗しのマイ エルダーシスターは「おねーちゃん、黙っててあげる」と家族には内緒の方向でいてくれるそうなので俺にこっそり耳打ちしてきた。
思春期のだんすぃーをよくわかってるねーちゃだ。
年不相応にかわいいと思う。
帰りがけに菓子でも買って帰ろう。
こうしてニコニコしてるねーちゃんと俺達にに構わずイチャイチャしてる両親に見送られながら待ち合わせ場所へとバイクで向かうのであった。
◇◆◇◆◇◆
信号待ちの時によくすりぬけをするバイク乗りがいる。
まぁ、俺も横の車間に余裕があればするんだが…
しかし、今日のような浮いた気持ちで無茶をすると、事故につながって大変危険なのでこういう時は絶対にやらないに限る。
だからすいません、休日にスーツを着ている明らかに仕事中の運転手さん俺を轢く勢いでこっちを見るのやめてください。
殺意のこもった視線に戦々恐々としながら待ち合わせ近くの駐輪場へバイクを走らせる。
年長のバイク乗りが言うには近年、駐車する場所が増えてきたので以前とは格段に利便性が違っているらしい。しかもATVがとめられる様、商業施設の駐車場はどこも一定の場所を自動車以外のマシンを置けるようスペースを設置しているので俺は駐車場所に不便を感じたことは無かったりする。
そのことを年配の方は駐車スペースが減って云々とかどこでも止められるせいで若いもんは軟弱になったとか言われたりするんだが、路上駐車しろということなのか?
警察くるだろ。
◇◆◇◆◇◆
特に何の山場もトラブルも無く待ち合わせ場所へたどり着いた。
横にはこの間乗ったユーティリティモデルより一回りゴツいATVが威風堂々と止まっている。
「黒井がこれ好きそうだな」と横目で流しながらバイクを止め、しっかり前後とも鍵を掛ける。
以前、友人の兄貴が4年間でバイクを2回盗まれたと言っていたので防犯はものすごく気を使っている。
そいつは、ケラケラと笑いながら喜々として俺に話していたが、聞いているこっちはぞっとする話だ。
「おまたせーソラト君!まったー?」
「いや、今来たとこだよ?」
おお、これが伝説の「マッタ-イマキタトコ」か!齢18にしてこんな黄金体験が出来るなんて思っても見なかった。
今日はもう、これだけで一日終わってもいいんじゃないか?
俺がそんな感動にうちひしがれているとアカリちゃんは俺の手を引きながら近くの喫茶店へと向かっていく。
「ヒーロ君来ないって聞いてびっくりしちゃった!」とか
「春休みの宿題、終わらせた?」とかアカリちゃんは喋ってたけど正直、 頭がいっぱいで自分が何を喋ったか覚えてない。
◇◆◇◆◇◆
喫茶店について二人で珈琲や紅茶を飲みながら受験のこと、ATVの事と思ったより話題が無くなって困ることが無かった。
少し話も詰まってきたので話題転換に彼女のお兄さんについて聞いてみた。
「そういえば、お兄さんと仲良いんだね?」
「うーん…普通じゃないかな?」
「でも、兄貴と服とかアクセサリーとか、買い物以外の用事に付き合うって兄妹、なかなかいないと思うよ?」
「えーそうかな?でも、確かに友達とかそういう子居なくはないかも」
「そうそう、俺の知ってる妹って言ったらもう…」
「ヒーロ君の妹さんだっけ?私と全然性格が違うっていってたよね?」
そうなのだ、アカリちゃんは黒井の妹達2人とは性格が正反対なのだ。
黒井家と家族ぐるみで付き合っているせいであいつの妹達に俺も兄貴認定されてて俺も困っているのだ。
バイト代が入った時にタイミングよくアイスをねだってきたり、服を買いにいく時に付き合わされたり…姉を含めて三人集まって買い物へ向かってしまえばまさにファッションショーの始まりで俺も黒井もへとへとになるまで付き合わされて大変だったのだ。
そんなことを愚痴っていたわけだがアカリちゃんはむしろニコニコしながら「ソラト君もヒーロ君も妹さん、大好きなんだねぇ…」とか言いながらウンウンと頷いている。
なんだこれ、アカリちゃん、お母さんポジか!?
「って俺の話はいいんだって!それよりアカリちゃんのお兄さんの話に戻ろう!」
流石に気恥ずかしくなって話を元に戻した。アカリちゃんは「えー」とか言いながらもATVを中心に色々教えてくれた。
ATVのレース参戦といっていたが、どうやらまずは全日本へスポット参戦するという話らしい。実は2月にはシーズンは既に始まっていて、使われている会場は主に新潟、兵庫、北海道それとグアムと全国を回ってレースをするらしい。グアムとか。
「んで、兄ちゃんの初戦がグアムになるんだってさ。流石に観戦にはいけないよねぇ…」
「へぇアカリちゃんのお兄さんの初戦、グアムなんだ…グアムねぇ…グアム!?」
俺は聞き流していた明らかに外国の地名にいまさら驚いてしまった。
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閑話はもう一話続きます。