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ATVってご存知ですか?―クアッド 獣の咆哮ー  作者: act.yuusuke
閑話 2 to 3
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閑話 1 to 2

と、言うわけで閑話…というかBBQ回です!

「俺の敗けだ」


 有志の始めたよろしくそれなりに慎ましく?

 まぁ、簡単な表彰式を終えた俺たちはねーちゃんの希望通り手作りピザの体験へと戸部兄妹を引き連れて向かっている。


 ツンデレかつマメな鎌瀬さんはどうやら三人を誘う際、俺達と同じ様なことを考えたらしく、他のなん組かの参加者と同様に付近のキャンプ場へと足を運んでいた。


 BBQ会場でばったり遭遇した鎌瀬さんは俺が若干うやむやにしようとしていた賭けの話を掘り返すように言葉を続けた。


「さて、賭けの内容はなんでも一つ言うことを…」

「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ鎌瀬さん!?

 俺、さっきジュース奢って貰いましたよ!?」


◇◆◇◆◇◆


 ダイキさんのラストランの辺り、俺と鎌瀬さんは既に一度、似たようなやり取りをしていた。

 互いの健闘を称えあってガッチリ握手。

 あの勝負の興奮やら何やらで「賭け」の事を頭からすっぽり抜けていた俺は鎌瀬さんからの命令の要求も全く想定していなかった。

 まさしく蒼天の霹靂だった。


「…それで賭けなんだが…」


 鎌瀬さんは何て言う顔をしてんだ!?と言えるような悲痛な面持ちで俺に聞いてきた。


 そう、俺はこのオークかゴブリンに捕らえられた女騎士のような表情をする鎌瀬さんにドン引きしてしまったのだ。

 あの時の俺は咄嗟に、後ろで和やかにジュースを奢ってるヒーロを見て閃いたのだ。

 そして、思い付いたら即実行とばかりに叫んだ。


「鎌瀬さん、俺、コーラ飲みたいんで奢ってください!」


◇◆◇◆◇◆


 そんなわけで俺はまだ何か言いたそうにしていた鎌瀬さんからコーラを颯爽と受けとると、「はいはい、この話はやめやめ!終わり!」と話を切り上げて、ここまではぐらかし続けてきたのだ。

 しかし鎌瀬さんは全然納得していない様子で


「あんなの賭けのうちにも入らねぇよ!?」


 と先程の話をノーカンだと言い張った。

 鎌瀬さん、あんた自分が勝ったらなに要求するつもりだったんだよ!?


 古賀音さんも「あぁ、こうなるとギンジは引かないからねぇ…」じゃないよ!?

 止めろよ!?

 あんたの親友だろ!?


 俺は鎌瀬さんの勢いに圧倒され後ずさっていき、ついには背中が木の幹にぶつかった。


 鎌瀬さんの後ろから…と言うかトオナさんが


「ギン×ソラ?いや…リバもワンチャン…」


 とか小さく呟いていた。

 いや、聞こえてますからね!?


 突っ込み不在のカオスな空間に救いの手をさしのべてくれたのは鎌瀬さんの所の最後のメンバー、イツカさんだった。


「ギンジ!そんなに強引に聞いてたら高久くんも引いちゃうよ!?

それにトオナも良くわかんないこと言ってないで止めるの手伝ってよ!?」


 ありがとうイツカさん!!

 イツカさんは鎌瀬さんを戒め、トオナさんに突っ込みをいれ、目線で古賀音さんを批難するという孤軍奮闘の働きを見せてくれた。

 「ほら、ピザつくりにいくよ!」とトオナさんを引きずっていく様に軽い尊敬のまなざしを送っていると、アカリちゃんの方からジーっと睨まれるような視線を感じた。

 ちらりと目線を合わせると彼女は可愛らしく舌を出し、下瞼の赤目を俺に見せた。

 まぁ、所謂あっかんべーだな。可愛い。


 …俺、なんかした?


◇◆◇◆◇◆


「…あー、なんか…すまんな?」

「…いや、いいんですよ…」


 先ほどのイコールの無い掛け算の意味をなんとなく理解した鎌瀬さん。

 滅茶苦茶気まずい思いをしながらBBQの準備をしている男性陣である俺達の周りには嵐が過ぎた後の静寂に包まれていた。


「…そういえば古賀音さんってカートをやってるって言ってましたね?」


 気まずい空気をなんとか払拭しようと絞った言葉に古賀音さんは間髪入れずに反応してくれた。

 流石イケメンだぜ!


「そうだね、カートはそこのギンジと一緒にやっているよ?もしかして興味ある?」

「そうですね…僕はレースらしいレースは今回を除くとやったことが無いもので…

 それに今回のイベントも厳密にはレースではないですからね」


 実はずっと気になっていたのだ、古賀音さんと鎌瀬さんの速さについて。

 ジャンルは違うとはいえ、こんなに速くなるのであれば一度試してみたいと興味が沸いてくる。


「うーんそうだなぁ…高久君はカート乗っても速いかもしれないね!」

「かもな、…あーちょうどいい、今度遊びに来いよ。そん時は俺が面倒見てやる。」

「え!?鎌瀬さん!?そこまでしてもらう訳にはいかないですよ!?」


 面倒を見てやる。の一言からエンジンが…とかフレームが…とかなにやら新規で初心者用(俺専用)のマシンを作る話をし始めていた鎌瀬さんをあわてて止める。

 ほんと、話の速さがF1ドライバー並だ。


「…ギンジでいい。親しい人にはそう呼ばせている」

「え?」


 俺が複雑そうにそんな事を言う鎌瀬さんについ、疑問の声を漏らすと古賀音さんは補足するように説明を入れてくれた。


「ギンジは鎌瀬って呼ばれるのあんま好きじゃないんだよ。

 鎌瀬ってイントネーションかえるとカマセにしか聞こえないだろ?

 赤の他人にならいいけど知り合いに言われると馬鹿にされたように感じて嫌なんだってさ」

「うるせぇ、マキナ!そんな事ねーし!?変な事いうな!」

「ははは、冗談冗談ww」


 あ、冗談なんだ。

 とりあえず、苗字の方で呼ばれるのは余り好きでないってことは分かった。


「…分かりましたよ、ギンジ先輩。それと古賀音先輩。

 …受験が終わった辺りにでも遊びに行きます!」


 少し表情を柔らかくした二人の先輩と改めて握手をする。

 こうして知り合う事になった縁だが、このとき俺はなんとなくだけど長く付き合う事になる、そんな予感がしていた。


 そういえばねーちゃんたちは大丈夫なのだろうか。


◇◆◇◆◇◆


「ソウルメイトを見つけたわ、ソラト!」


 ピザを両手に抱えて戻ってきたねーちゃんはうきうき…というかテンション爆超だった。

 何でも体験教室でねーちゃんに匹敵するレベルの狂信者(ピザ・フリーク)がいたらしい。


 彼女はピザの妖精を自称しているそうだが、まぁそれぐらいピザが好きな妖精(へんじん)さんということなんだろう。

 まじかよ。

 彼女はノリノリでねーちゃんたちと話を弾ませていたが、向こうからお迎えをよこしてくれた。


「いやぁ…うちのがすまんね…」

「ああ、彼氏さんでしたか…」

「あれっ?おにーさん、もしかしてグリズリー出てませんでした?」

「…?ああ!僕を抜かした人!」

「やっぱり!」

「ああ、さっきはすまなかったね。僕を抜かす時のタイムロスで君は負けちゃったんだろ?」


 ピザフリークの 妖精(へんじん)さんの彼氏と話していたらヒーロが割り込んできた。

 聞くとどうやらヒーロの前を走っていた人らしい。

 というかこの人謝ってばっかだな。


「いやいや、タイムロスなんか全然なかったっすよ!?あれは純粋におれっちの実力不足っす!」

「でも、差なんて数秒だったんだろう?」


 その後も俺の目の前では、「俺が…」「いや、僕が…」と微笑ましい?謙遜のしあいが繰り広げられていくのであった。

 しかしその後ろでは…


「…という罰ゲームをしようと思うんですよ」

「それいいね!私もやってみよう!」

「うわ、彼氏さん可哀想!?」

「ヒロにぃも…まぁ、ヒロにぃならいっか!ドンマイ!」


 そう、女性陣による罰ゲームの内容が着実と話し合われていたのだ。

 こうしている間にも「風呂場で…」とか「痕が残らないところは…」とか、なにやら恐ろしい単語が聞こえてくる…

 俺は減刑を嘆願するように彼女達に声を掛けようとした。


「あー…ヒーロたちには…」


 彼女達に声を掛ける直前、全てを言い終わる前に俺の肩にダイキさんが手を置いた。


「BBQ、肉ぅ焼けたぜ!」


 ええ!?なんでそんな笑顔なの!?

 罰ゲーム、スルーなんですか!?ダイキさん!?


「ギンジ、トオナが耳打ちを始めたよ…」

「ああ、「あれ」をやらせるみたいだな…」

「恐ろしいよ…「あれ」をヒーロ君にもするなんて…」

「不本意だが同感だぜマキナ。あれは…高校生にやらせる罰ゲームじゃねぇ…」


 古賀音さんとギンジさんが遠い目をしながら女性陣を眺める…

 いや!?どういう罰ゲームだよ!?

 というか、普段からこんな事やってるのかこの人たち!?


 流石に…と止めに向かっていったギンジさんだが、トオナさんに指を指されてからギンジさんの顔が青ざめていったのが見えた。

 い、いやぁ…見えなかったわー

 トオナさんがギンジって言ってた様に聞こえなかったわー

 「ギンジにも罰ゲーム」とか言ってたようにも思えなかったわー


「…すまん、ヒーロ。俺は無力だったよ…」

「?なに言ってんだ、ソラト?そんな事よりBBQだぜ!肉くおーぜー!」

「お、おう…」


◇◆◇◆◇◆


 このあとはもう、飲めや食えやのどんちゃん騒ぎだった。

 俺ら未成年組は酒こそ飲まなかったが、酔っぱらいまくった鎌瀬さんやダイキさん達と一緒に大盛り上がりのばか騒ぎをしていたので本当に楽しかった。


 ねーちゃんは始めは仲良くなった妖精(へんじん)さんと姉妹の杯!とか言いながら飲んでいた。

 ピザも自分達の焼いたものを最後まで手から離さず、食べきっていた。

 しかし、彼女が今日泊まるつもりが無いために素面であった彼氏さんに絡み始めるともう、こっちに来て大変なことになった。


 …詳しくはとても言えたもんじゃないが、敢えて言うのであれば俺は外国の人ってとてもおおらかで大胆なんだなぁと思った。

 同時に、ねーちゃんが真似をするので止めて欲しいなぁ…とも思った。

 それぐらいです。

 いや、まじで。


 そう、見ないようにしている二つの視線に心のなかで言い訳しながら先に帰る二人を見送ると


 残っていたのはつわものどもが夢の後、雑草のように生えてる…這えてる?酔っぱらい達。

 俺は先程までパーティーと化していた会場をぐるりと見渡してから残った兵《未成年組》に指令を与える事にした。


「さて、片しますか」

「…そうだねソラト君」

「まぁ、ダイキさんとかもノックアウトだし今日はお開きだなぁ…ソラト、楽しかったな!」

「もみじちゃん達も…寝ちゃってるか…

そうだ、二人とも。天体観測しに行かない?」

「んー…いいよ、それじゃぁさっさと片付けちゃおう」


 静かになったキャンプサイト、簡単に片付けを済まして俺達は夜空を眺めに向かった。

 時間は深夜を回って二時間弱。

 望遠鏡もラジオも無いけれど、見える星座で話が出来るほどには夜空は綺麗だった。

いい感じに日常回っぽいのをかけた気がするんですが、どうっすかね!?

ちなみにヒーロの罰ゲームは帰った後、しっかり行われました!

罰ゲームまでがレースです!笑




次回は更新が少し空くかと思います。なるべく更新が途切れないよう書いていきたいのですが…

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