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ATVってご存知ですか?―クアッド 獣の咆哮ー  作者: act.yuusuke
セカンド プレイス
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セカンド プレイス その5

新しいキャラ、始めました。

ついでに、この話から、木曜、金曜投稿でいきたいと思ってます。

「「春野さん!!」」


「おお、二人とも来たねぇ…」

「お、ソラトとヒーロじゃねぇか…って、女連れ!?」


 いつも通りに落ち着いた対応をしてくれる春野さんと対照的に心底驚いているダイキさん。

 この人、自分も妹を連れてくる割にはびっくりし過ぎなんじゃないか?


「ダイキさんとアカリちゃんの関係と同じですよ」

「そうっすよ!ダイキさん、びっくりし過ぎじゃないっすか?」


 そう誤解を解くようにダイキさんに話ながら三人を紹介するために右手を彼女達に向けた。


 しかしもみじちゃんは「ふーん、アカリ「ちゃん」ねぇ…」と言いながら向けた掌をそっと包み込んで一端胸元に持っていったあと、絡み付くように腕に抱きついてきた。

 も、もみじさん?ちょっと笑顔が猟奇的じゃないですか?


 そして(無駄に)勘の良いねーちゃんも「んじゃー私は反対側っ」と左腕に抱きついてきた。

 上目遣いでこちらに見せるねーちゃんの笑顔はよく見知っている。

 俺に悪戯を仕掛ける時の顔だ。


 引きった笑みのまま数秒。

 隣で「ヒロにぃで我慢してやろーぅ」とか言われながら微笑ましいスキンシップなんかしている横は無視だ無視。

 ダイキさんは少し考える仕草をした後、冷や汗を流している俺を見ながら眉間にしわ寄せて搾り出すように口をあけた。


「あーソラト、兄妹は…恋人みたいに指を絡ませながら…腕に抱きついたりしないと思うんだが…」


 ですよねー。

 とすかさずねーちゃん。


「あら、私達は兄妹(・・)ではないから問題ないわね?ソラト?」

「ヤメテ!?ねーちゃん!?」


 というかなんで漢字が違うのわかんだよ!?

 と、そこにやってきたアカリちゃん。

 ソラト、ピンチ!タスケテー


「あ、ソラト君!おはよー久しぶり?」

「おはよーアカリちゃん、ってか学校でちょくちょく会うでしょ?」


 なかなか軽快に挨拶できたなと自負できるんだが、このときの俺、両手にアカリちゃんの見知らぬ女の子が腕に絡んでいる状態。

 冷や汗が止まらない。

 アカリちゃんはダイキさんと同じような仕草で少し考えるような仕草をした後、ソケットが接続されていないのになぜか光る電球を頭の上に召喚してくれた。アハッ


「あ、この二人がソラト君が言ってた子?左手の美人さんがレイカさんで右手の上品そうな子が…あかねちゃんだったっけ?いつもソラト君に勉強とかお世話になってます!アカリです!」

「うん、私はせいかーいっ。よろしくね?アカリちゃん。でも…」

「あかねは私だよー」


 ヒーロの腕をぺいっと放り投げてテテテとこちらに寄りながらあかねちゃんは初めましてとアカリちゃんに挨拶した。


「…双子の姉でもみじと申します」

「よろしくね、もみじちゃん!ソラト君から色々聞いてるよ!」


 ばつが悪そうに挨拶するもみじちゃんと可愛い子だ!興奮気味に挨拶するアカリちゃん。

 そこにねーちゃんが何気なく質問を投げた。


「そーいえば、どうして私達がわかったの?」

「あー…一応、ソラト君とヒーロ君に姉妹がいることは聞いていたんですけど…

 どちらかと言うと分かったって言うより姉妹だといいなーって言う希望的観測という感じだったんですよねー…」


なんと、アカリちゃんは俺がフリーの方が嬉しいとな!?ほんとにマジで…


「あざとい!可愛い!それがいいっ!」


ねーちゃん、俺の心の中を朗読するのヤメテ!?


◇◆◇◆◇◆


「ったく…うっせぇ奴等がいんなぁ…」

「ギンジ、僕らも人の事言えないって」

「ああ!?なんだ!?誰が犬のようによく吠える負け犬だって!?」

「いや、マキナ君もそこまでは言ってないって!?」

「そう、マキナも私も言って「は」いない…

イツカも、ギンジに気を使わなくていい」

「トオナ!?」


騒がせてしまったかと辺りを軽く見回して見ると、どうやら大学生位の四人組が目に入った。

なんだよ?向こうリア充じゃん。

…あれ、あの人もしかして、この間めっちゃストイックに練習してた人じゃね?

どうやら向こうもこちらに気がついた様で声を掛けてくる。


「すまない、聞こえたようだね。こいつもそこまで悪気はないんだ。多分。」

「…あ、だ、大丈夫ですよ?そちらの人は…」

「…突っかかるつもりは無かった。とりあえず悪かったよ。それとはじめまして(・・・・・・)鎌瀬かませだ。鎌瀬 ギンジ。」

「あ、高久です。は、初めまして?」


あれ?この間あったよな?

そんな疑問を浮かべながら握手をしてると鎌瀬さんはギロッときつく睨んできた。


「俺は 古賀音こがね マキナ、 ドライブしている時にたまたま見つけたからまだよく分かっていないんだけど…これはレースかなにかなの?」

「まぁ、多分タイム測定して順位を決めるやつなんだろ?ATVなんて乗り物はなじみがないが、勝負だマキナ!」


 この時点でようやく察せたが、おそらく鎌瀬さんは俺達に練習をしていたことを黙って欲しいみたいだ。

 俺はヒーロに目で合図を送って人が増えつつある会場やブースを横目に受付へと固まって足を運ぶ。


 ねーちゃんが違和感を覚えている様子だったので、先ほどの意図をこっそり耳打ちしたら納得したように


「あの鎌瀬さんってカマセ役キャラな訳ねー」


と割と大きな地雷を放り投げてきた。

 ねーちゃん、聞こえるかもしれないからそういうこと言うのはやめてくれ…


 俺は、始まる前から精神をダイヤモンドやすりで削るような疲労感を覚えたのだった。


◇◆◇◆◇◆


鎌瀬さんの意図を察した俺達はコーティングされたプライドを遠目で見守っていたのだがやはりというかそれが剥げるのはとても早く、受付では見るも無残なカマ…鎌瀬さんを見ることになった。


「おお、鎌瀬君か!?ちゃんと来てくれたみたいでなによりだよ!そっちの彼がマキナ君?」


 しまった!という顔を前面に出す鎌瀬さん。

 古賀音さんは純粋に「あれ、ギンジ知り合い?」と聞いているが横の二人の女性陣は「またか」とジト目で鎌瀬さんを見ていた。


 後でトオナさん?に話を聞いたのだが、どうやら鎌瀬さんはよく古賀音さんに勝負を挑むそうなのだが、その際、事前に「これでもか!?」というほど練習をやりこむらしい。

 今回はどうも偶然を装っていたのだが二人はずっと怪しいと感じていたらしい。

 「毎回、勝てもしないのによくやる…」というトオナさんと「それでもがんばってるよ!?」とフォローに奔走している霧宮夏むくげさん鎌瀬さんたちの女性陣の反応はいつも通り、といった感じに見えた。


 一方俺達は「鎌瀬さん…」と若干同情する俺とヒーロ、「鎌瀬さんってカマセなのね!?」と笑いまくっているねーちゃんを筆頭にした女性陣と反応は対照的だった。

 …というかもうやめたあげて!?鎌瀬さんのライフはもうゼロよ!?恥ずかしすぎてめっちゃプルプルしてんじゃん!?


  完全に影で努力していたのがバレた鎌瀬さん。

 ここで彼に更なる追い討ちが降りかかる。


「んじゃぁ、鎌瀬君は リミット250だね。ええと…マキナ君?はバイクとかMT車の免許とか持ってる?」

「いや、バイクは持ってないですね。車もMTは最近乗らないので自身はないです…」

「んー リミット250はきついかもしれないね…出るならグリズリーかな?」

「そうですね、そしたらそちらでお願いします」

「あ!?マキナ!?」


 哀れ、鎌瀬さん。

 きっとマキナさんと同じ土俵で戦いたかったのだろう…

 もはやこの件について俺達は語る言葉がもてなかった。

 横で見ていたダイキさんでさえ「いや、なんも言えんわこれ…」と完全にかわいそうな人を見る目になっていた。


 俺達は粛々と受付を済ませていた。

 混乱の極地の鎌瀬さんを尻目に古賀音さんはしれっとヒーロを捕まえて「お、君は同じクラスなのか!お互いがんばろうぜ!」とかめっちゃさわやかに言っている。

 ねーちゃんは爆笑してるし、春野さんは「若いって色々あるよね」と生暖かい目をしてる。

 なんだこのカオスな空間。


 少し時間が空いて混乱から解けたように見えてお目目がグルグルなままの鎌瀬さんはハッと気づいた後に再び指を指して勝負を仕掛けた。

 ただし、マキナさんにではなく俺に向けて。


「ええっと…高久だったか!?俺と勝負しろ!」


ええ、俺っすか!?

と、言うわけで


鎌瀬さんグループです。

大学生ぐらいのグループを意識して書いていたり書いていなかったり。


ちなみに名前をリストすると


鎌瀬 銀次(ギンジ)

古賀音 マキナ

霧宮夏(むくげ) 慈嘩(イツカ)

片野 遠音(トオナ)


こんな感じです。


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