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ATVってご存知ですか?―クアッド 獣の咆哮ー  作者: act.yuusuke
セカンド プレイス
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セカンド プレイス その4

やっと出せたよ女性キャラ…

 学校内の日常編を挟むことなくイベント当日の日曜日。


 まぁ、学校での出来事なんて「ATV楽しみだな!」とか話し合ったり、物憂げに窓の外を眺めるフリをしながら全力で雲の様子から天気を気にしてること位しか記憶になかったりするんだが…。


 今日の晴れの様子から、例の雨男の人はやはり来ていないのかな?と考えているところに横から、声を掛けられた。


「楽しみね!釜焼きピザ!」

「いや、ねーちゃん。ピザはついでだからね?」

「そのとーりだなソラト!!俺は今回のATVをめっちゃくっちゃ楽しみにしてたぜぇぇ!!」

「ヒロにぃ、暑苦しい!」

「それより、ヒロ兄さん、ソラト兄さん、私達が応援するからには一位以外は罰ゲームですわよね?」

「ええ!?そりゃないぜ、紅葉(もみじ)!?」

「えーっと…、もみじちゃん、お手柔らかに…ね?」

「あははー、そこまでひどい事なんかしないよー。ね?もみじちゃん?あかねちゃん?」


「「それは二人しだいだねっ(ですね)」」


「「…まじか!?」」


 TTイベントの会場へと足を運ぶ俺達は今、バイクではなく車に乗り込んでいる。

 運転席に 麗華(レイカ)ネーちゃん。

 助手席に俺。

 ヒーロの姉妹が後ろにわいわいと話しており、わが親友こと黒井(くろい) 緋色(ひいろ)は妹に追い出された形で一番後ろで座っている。


 なぜ、こんな「失楽園遊園地で私達と握手!」な姦しい…もとい、ふぁみりーなメンバーなのかと言うとこういった経緯があったりする



◇◆◇◆◇◆



「っつー訳で週末は車出してほしいんだけど…」

「ソラトが頼み事するのって珍しいよね?」


 この前の練習の終わり、ネットサーフィンをしているねーちゃんに、俺はお願いをしていてた。

 まぁ、そのままズバリ車を出してほしいっていう要望だ。


 この間、ATVを練習して勉強になったことが1つあるのだが、ガッツリ練習したあとにバイクの二人乗りは滅茶苦茶しんどかったのだ。

 体力的にもそうなのだが、コースアウトした黒井が砂まみれ埃まみれだったお陰で、帰ったあとは俺まで風呂へ直行を命じられた。


 雨男の人の話もあったので今回は大人しく車を出してもらうのが一番と俺は考えた。

 まぁ、ねーちゃんなら…


「なんか、ソラトが、「ねーちゃんならどうせ暇だろ」とか考えてそうな気がする…」


 だから、なんでわかんだよ!?ねーちゃん!?


「そんなこと考えてねーってねぇちゃん。それより日曜は大丈夫かな?」

「んー…確かにその日は空いてるけど…なぁ…」


 ねーちゃんに渋られるのは予測していた。

 なので秘密兵器をだす。


「…それで、終わったあとなんだけど、近くに釜焼きの手作りピザの体験が…」

「え!?ピザ!?ほんとに!?」


 そう、彼女はピザが大好物なのだ!

 そしてもう1つ好きなこと、それはいわゆる手作り体験のアクティビティーなのだ!

 2つ揃えば彼女は断る事は絶対に無いことを俺は知っている。


「仕方ないなぁソラトは…いいよ、おねーちゃん車だしたげるよ」

「ありがとう…ねぇちゃん」

「…で?」

「そのレース(?)はいつやるの?ソラト兄さん?」

「そりゃぁ…さっきも言ったけど、週末だよ、もみじ…ちゃん!?」


 うわっ!?お、驚いた…

 後ろからここにいる筈のない人間に不意に会話に入られると自然すぎて反応に一瞬遅れるよ…


 二人が後ろ、奥の柱には黒…ヒーロの手を合わせる姿が見えた。

 どういうことかわからないが、どうやら事情があるらしい。

 …まぁ、別に内緒にしとけとは言わないけどさ、意中の女の子が居るところには身内の女子はなるだけ連れていきたくないよね?

 いや、悪いことする訳じゃないんだけどさ。


「レイカお姉さまが遊びに行くなら私達もいく!」

「そうよ、義姉様(レイカさん)はよくて私達はだめなのかしら?ソラトさん?」


 い、今とんでもない文字にルビが振られてた気がしたんだが…

 黒井の双子の姉妹、あかねちゃんは天真爛漫でわりと単純…わかりやすく表情を表に出してくれる子なんだけど…

 もみじちゃんは正直、なかなかにポーカーフェイスだ。

 いつも微笑んでいて、まだ中学生から高校生に上がったばかりのあどけなさを持っているが表情は読めない。

 じっと見ていると吸い込まれそうになる妖艶な空気を纏った彼女からさっと目をはずす。

 俺の経験からこの話題を拾ってしまうとものすごく茶化されるのは自明なので話を戻すとしよう。


「そんなことないよ?もみじちゃん?」

「そうだぞ、もみじ。今年はお前も家から通うんだから変な策まわさんでも俺らはちゃんと付き合ってやるから」

「ヒロにぃ、それ内緒話ー」

「せっかく色々考えてましたのに…」

「なにをさせようとしていたのか…ってヒーロ、もみじちゃんが通いに変わるってどういうことよ?」

「ああ、それはな…」


 ヒーロが言うところによると、少し前にキッチンの家電が爆発したか携帯が爆発したかなんかで寮内の共有スペースや居住スペースが一部失火で使えなくなってしまったらしい。

 幸い、ケガ人は一人も居なかったそうだが、こういった事情でなので寮が治るまで一部の通える距離の生徒や希望者を退寮させているとのことらしい。

 そういった訳で現在、彼女は荷物をまとめるために帰省中というわけだ。


「…と言うわけでもみじは不安はびこる寮を抜け、頼れる俺様のもとへとやってきたんだぜ!」

「…ヒロ兄さんの所よりソラト兄さんの所の方がよっぽど安心だと思うんですけど…?」


 自信満々のヒーロを横目でジトーと見ながら俺の腕に抱きついてくるもみじちゃん、ヒーロは反抗期の娘を持ったお父さんの顔をしている。

 なんというか…その、どんまい?


「まあとにかく、ピザに関してはATVのタイムトライアルのあとだけど…そのあとみんなでちょっと早いBBQでもしよう」


「「「さーんせー!」」」


 ね、ねーちゃん…


 そんな訳でなし崩し的に俺達のピザは黒井姉妹の腹に収まる予定となってしまったのだ。



◇◆◇◆◇◆



「そーいや、にぃちゃんたちは同じレース出るんだろ?一位と二位だったら、二位なのに罰ゲームって可愛そうだな…」

「ああ、それは大丈夫だよ?あかねちゃん」

「??ソラトにぃ、どーゆーことなんだ?」

「ああ、説明してなかったね…」


 どうやら女性陣は今回のイベントのルールを欠片も知らないようなので丁寧に説明した。


「今回は、主に三つのクラスで戦うことになるんだ」

「…ということは、ヒロ兄さんとソラト兄さんは別のクラスで戦うと言うことですか?」

「お、もみじちゃん正解。正確には


・レンタル-グリズリーズ(リミット125cc)

・レンタル-リミット250cc

・アンリミテッド


の三種クラスで争うことになるんだ」

「ほいで俺がグリズリーズ、ソラトがリミット250って訳だ」

「アンリミテッドってなに?一番早そうなクラスだけど、ソラトは参加しないの?」

「ねーちゃん、アンリミテッドは文字通り無差別なんだよ?

スケジュール的に全日本クラスの人は出てきづらいらしいけど、持ち込みも全てOKだからその人たちには勝てないよ…」


 そう、アンリミテッドクラスはダイキさんも自身でマシンを持ち込んで出場するのだ。

 他にもアンリミテッドクラスはレース用には一歩劣るが公道も走れるトレール車というものも出場する。

 そのうちのいくつかはダイキさんのマシンにも比肩するスピードの出るものまで存在するのだ。

 一昔前まではアンリミテッドは持ち込み車両のクラスだったのだが、参加車両が多岐に渡るようになったため持ち込み車両も近く、クラスを分ける話も上がっているそうだ。


 この辺の話はねーちゃんたちに説明しても理解してもらえそうにないので、3人には「アンリミテッド=とにかくすごい」と簡単に説明しといた。


 他にもスタートの時間の話になったのだが、その時はつい細かいルールまでしゃべってしまって女性陣をうんざりさせてしまった。

 俺が「しまった!?」と気づいた時にはヒーロが単純に「走る前に呼ぶわ!」と言ってフォローしてくれたので何とかタイムトライアル前にご機嫌取りに奔走することは避けられそうだった。


「っと、話し込んでるうちに着いたね…ねーちゃん、そこ右に入ってって」

「んー、りょーかいっ。…へぇ、結構人いるじゃんっ」

「二人とも、なんもない!とかいってたのにね?」

「まぁ、イベントだからなのでしょう。普段はこの辺にあるテントとかが全部ないのでしょ?兄さん?」

「そーゆーこと、…と言うわけで到着!ソラト!春野さんところにあいさついこーぜ!」

「そーだな、んじゃっ向かいますかっ!」


 ようやく着いた会場に足が地面から3mmないし3cmほど浮き足立ちながら俺達は春野さんの下へ向かうのであった。

女性陣のイメージとしては


ねーちゃんこと麗華様=あざと可愛いいけど所々はキャリッとしている系女子


紅葉ちゃん=しっかり系クーデレ女子


茜ちゃん=いもうと、アホの子、やんちゃ可愛い!


というキャラ付けのような気がします。


ちなみに黒井家は名前がすべて赤色がモチーフの名前になっていたりします。

黒いのに赤色、これはいかに。



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