連合との講和、そして、洛陽へ
泗水関に籠る連合軍を撃破してから数日が立ったが、連合軍は一向に降伏する気配がない。
エルスランド帝国陸軍と董卓軍は兵糧攻めを実施。
連合軍は董卓軍側に討って出るが、張遼・華雄・呂布と言った名だたる武将の前に大敗し、兵力も当初の30万から10万まで激減。董卓軍7万とエルスランド帝国陸軍15万と兵力の差が逆転し、董卓・エルスランド帝国軍が優位に立っていた。
とどめを刺すかのようにエルスランド帝国本国から訓練が終わったばかりのトリデンティーナ軍集団が援軍として派遣されたことにより、董卓・エルスランド帝国陸軍合わせて160万にまで膨れ上がり、差は圧倒的となった。
トリデンティーナ軍集団の到着に合わせ、第1近接戦闘団が本国に入れ違いで帰還することになった。
「さみしくなりますね。」
「大丈夫ですよ。援軍も到着することですし、必ず勝てます!!」
「勝たないとまずいですよ。」
松平容秀中将と第1近接戦闘団の指揮官が別れの挨拶をしていた。
「では、時間ですので、これにて失礼。」
第1近接戦闘団は兵士たちに見送られながら本国へ帰還の途に就いた。
トリデンティーナ軍集団の到着を気に連合軍はエルスランド帝国に対して講和を申し込んできた。
「敵軍が講和を申し込んできました。」
「よし!!これ以上兵力を展開するのも物資の無駄遣いだ。ただ、講和が決裂した場合は総攻撃を仕掛ける。準備をしておけ。」
「了解!!」
連合軍から講和の交渉団として派遣されてきたのは総大将の麗羽と麗羽の従妹の袁術(美羽)軍師の張勲(七乃)と諸侯を代表して華琳・秋蘭・劉備(桃香)・本郷一刀・関羽(愛紗)・公孫賛(白蓮)・孫策(雪蓮)・周瑜(冥琳)が向かうことになった。
「泗水関の門が開きます!!」
「通達通りです。」
泗水関前面には総攻撃に備え、城壁破壊を目的として第34砲兵師団の90mm多目的高射砲(アンサルドM39 53口径90mm高射砲)が並べられている。
90mm多目的高射砲はイタリア王国軍のアンサルドM39 53口径90mm高射砲がモデルでアンサルドM39 53口径90mm高射砲は1939年にイタリア王国陸軍に採用された高射砲でイタリア王国軍最優秀兵器とも呼ばれている。
強力な火器で、対戦車砲としても使用されたが、このような大口径高射砲の製造はかなり手間がかかり、生産数は少なめだったが、それでも連合国軍相手にかなりの戦果を挙げている。1943年のイタリア無条件降伏後はドイツ国防軍に接収され、9 cm Flak 41(i)もしくは9 cm Flak 309/1(i)の鹵獲兵器コードを与えられた。一部はドイツ本土の防空のためにドイツへ送られたが、接収された砲の大半はイタリア戦線で運用された。
エルスランド帝国では、三大軍事兵器製造企業の一つである川井重工業が製造・販売している。陸軍でも一部の部隊では重宝されている兵器である。
「すごいわね。」
「何なのかしらあれ?」
「ご主人様は知ってる?」
「たぶん大砲だと思うよ。」
「大砲?」
「そう。曹操さんが持ってきていた投石器の超強力版だと思えばいいかな。」
「そんな兵器がこんなにもあるの!?」
「俺のいた国でもこんな兵器はたくさんあるよ。」
「なおさら恐ろしいわね。」
講和団は前面に並べられてある90mm多目的高射砲を見て驚きつつ一刀の話を聞いてきた。
「総攻撃に備えて砲弾を早く運べ!!!」
その声に全員がそちらを向いた。
士官らしき者が他の兵士に怒号を浴びせていた。
「講和が決裂したら総攻撃だ!!我々第34砲兵師団が城壁を破壊して他部隊を掩護するのだぞ、分かっているのか!!!!」
第34砲兵師団は訓練が終わったばかりなので、他の部隊に比べるとすべての速度が遅いため、士官の怒号が飛び交うことも多い。
今回は、わざと怒号を飛ばしてもらっている。
理由としては講和団にプレッシャーを与えることでこちらにかなり有利な条件を引き出そうとしているのだ。
「総攻撃・・・・。」
「なんとしても講和を成立させなければなりませんわね。」
そう言いながら野戦司令部を目指す講和団。
野戦司令部に講和団が到着した。
「馬はこちらでお預かりします。」
声をかけたのは司令部所属の近衛兵だった。
「ありがとう。」
講和団は馬を近衛兵に預けて司令部の中に入った。
「ようこそお越しいただきました。洛陽派遣軍司令官の松平容秀中将です。」
「私は、トリデンティーナ軍集団司令官のルイジ・アルニーオ大将です。」
エルスランド帝国側は派遣軍司令官と軍集団司令官・参謀長の3人で交渉を行う。
そして、一通り自己紹介が終わったところで交渉を始めることにした。
「わが帝国としては貴殿らとの即時停戦と貴殿ら連合からわが帝国の外交官襲撃のことへの正式な謝罪、賠償金のお支払いと言ったところです。あと、董卓軍との戦闘も停止していただきたい。」
「こんな額を!!!!」
エルスランド帝国が提示した金額は日本円で300億円、連合に加入している諸侯が全員の領土で得られる税金の3年分に相当する。
「あくまでこれは、こちらが希望している額であって、交渉次第ではもう少し減らせますよ。」
「それでしたら・・・・・・。」
交渉は5時間にも及んだ。
交渉の結果、講和は成立。
講和の内容は、
エルスランド帝国・董卓軍との停戦。
エルスランド帝国を国家として諸侯は認める。
謝罪を含めた賠償金としてエルスランド帝国に日本円で100億、董卓軍に1000万を支払う。
連合が占領した泗水関を董卓軍に返還すること。
講和が成立したことによりエルスランド帝国陸軍は外交団を残して撤退。
董卓軍も泗水関を返還され、連合は軍を引き上げたがまだ、反董卓連合は続けられている。
その後、エルスランド帝国外交団は洛陽にて漢王朝皇帝の献帝と面会した。
その際、皇族である松村利光外交官は献帝と話をした時のことを日記に『偉そうに聞こえるしゃべり方を頑張ってしている少女。』と記録していた。
結果的に漢王朝とは友好条約と通商条約を結んだ。漢の首都洛陽にエルスランド帝国大使館の設立も認めてもらった。
漢に輸出する品物に関しては金や銀などと農作物の輸出のみとした。