敵勢力との戦闘
時代としては黄巾の乱のあとです。
偵察部隊は各方面に偵察を開始した。
その間、門の周辺には監視所を建設、設営隊は松式要塞の建築を開始。
松式要塞とは初代皇帝が考案した要塞で、解体された戦艦の主砲などの大口径の砲を使用した要塞で四方に最低でも2門ずつ設置され、要塞砲の周囲は防壁で囲まれており、バンカーなども設置されている。
要塞の中央には司令部が設置されており、半年以上の食料を備蓄することのでき、1個軍集団以上の兵力が常駐可能な要塞が松式要塞と呼ばれる。
24時間体制で要塞の建設がおこなわれ始めたが、偵察部隊からは集落の発見などの報告はなく、里秀大将は偵察部隊を引き上げさせた。
3日間で門に防壁が設置され、15日後には要塞の完成に伴い簡易司令部が解体された。
要塞部隊には攻撃意思のある者以外の攻撃は禁じており、基本的には要塞の監視所や監視塔などが機能しているだけだった。
「賈詡殿、お話があるのですが・・・・。」
「どうかしたの?」
「実は洛陽より西にある地域に謎の建造物があるとの報告が来ております。」
「まさか、漢の領土にあるわけじゃないでしょうね!!」
「もちろんです!!ですが、漢の領土とあまりに近いため、異民族の建造物だった場合、軍事施設ではないのかと・・・・。」
「その確率はあるわね。」
「張遼将軍と華雄将軍を派遣して事実関係を確かめましょう。」
「はっ!!」
漢の首都、洛陽では調査部隊を派遣する準備が進んでいた。
「張遼将軍、華雄将軍、ようこそお越しいただきました。」
「よろしゅうな!!!」
「早速だが様子は!」
「特に変化はありませんが、夜になると昼のように明るい光が発せられます。あと、民の話では鉄の塊が動いていたと言っておりました。」
洛陽から派遣された2人の将軍と部下たちは先行して陣を構えていた部隊と合流して要塞の様子をうかがっていた。
「鉄の塊なぁ?」
「あくまで民の報告です。何かの見間違いかもしれません。」
「だろうな。」
張遼達も陣を構えて要塞の様子をうかがうことにした。
「前方の軍隊は増援を得るも一向に動く気配なし。」
監視塔から見張りの兵士が双眼鏡を片手に無線で司令部に定時連絡を行っていた。
2日前に現れた軍勢は要塞の前方3キロに陣を構えていたが一向に動く気配がなかった。
軍隊であることは装備を見ればわかった。
統一された鎧や武器、規律正しく移動する姿を見てこの近くの国の軍隊であること司令部は判断した。
だが、敵対的な行動をするわけでもなく陣を構えてこちらの動向を探っているだけだった。
「一向に動かないな。」
「そやなぁ。いい加減何かしらの行動を起こしてほしいわ。」
「一向に動きません。異常なし。」
『了解』
「監視タワーからの報告ですが、まったく動く気配がありません。」
「どうしようか?」
そんな状況が数週間も続いていた。
「本日も異常なし・・・・・あれ?」
監視塔の兵士は疑問に思った。後方から砂煙が見えていたからだ。
双眼鏡で確認すると、砂煙の原因は騎兵であることが分かった。
「陣を構えている部隊とは全く違うか?」
不審に思った兵士は司令部に報告する。
「北東より騎兵がこちらに向かって前進中。敵の可能性あり!!」
『了解』
報告を受け北部と東部に設置されていた要塞砲が北東の方角に砲身を向ける。
「張遼将軍!!!!」
「どないした!?」
「匈奴の連中があの建物に向かっています。」
「ちゅうことは、あいつらの砦か何かか?」
「それが、匈奴の連中はその建物に攻撃する構えのようです。」
「どういうことや?」
「それが、本当ならあの建物は異民族が建てたものではないと言うことになるぞ。」
「ほな、助けにいくか?」
「そうだな。恩を売っておくのも悪くはない。」
「では、」
「出陣や!!皆に知らせい!!!」
「はっ!!」
「南部に動きあり、出陣の準備をしています。南部からも攻撃される可能性あり!!」
『了解』
南部の要塞砲は張遼達の部隊に狙いを定めた。
「いつでも出撃できるように準備しておけ!!!!」
「了解!!」
要塞内ではサイレンが鳴り始めた。
「急げ!!早く持ち場に向かうんだ!!!!!」
「はっ!!」
要塞に先に到着したのは匈奴の部隊だった。
「弓騎兵隊、射撃開始。」
匈奴の弓騎馬隊が弓で射撃を開始するが防壁に阻まれ、放った矢は要塞内に届かない。
「北東の勢力を敵と判断!!!」
「要塞砲、砲撃開始!!!」
東部に設置された36・5cm要塞砲から榴弾が発射される。
ドドーーーーーーーン
砲撃と同時に地面が揺れた。
「何や!!!」
「落ち着くのだ!!!」
要塞砲の音に兵士や馬は脅えた。
砲弾は匈奴の部隊のど真ん中に落ちた。
「おい!!!落ち着くんだ!!沈まれ!!!」
「い・・・痛い・・・・・た・・たす・・・け・・て。」
「だれ・・・・か・・・・」
砲弾により、馬から落馬したりして負傷していた。
すぐに死ねた者は幸せだが、すぐに死ねなかった者達は痛みに苦しみながら死ぬしかなかった。
「敵は混乱している!!!今が好機!!!!」
里秀大将は40式重戦車(P40)に乗り自身の近衛部隊を引き連れ出撃した。
「門が開きました!!!」
「お、いよいよやな!!!」
張遼達も門が開いたのが見えた。
「出撃だ!!!俺に続け!!!!」
40式重戦車が先陣を切って門を出ると、後を追うように40式重戦車や40式中戦車(M13/40)が門から出ていった。
40式中戦車はイタリア王国軍のM13/40中戦車をモデルとしており、エルスランド帝国の民間企業である八島兵器工業が設計・改装した兵器である。40式中戦車は機動力重視の中戦車で攻撃力もそこそこあることから、警備隊や警官隊・機動隊などにも配備されており、八島兵器工業のロングセラー戦車となっている。
「何やあれ!!!!あれが民の言っとった鉄の塊かいな!!!」
「そうらしいな・・・・・。」
「なんと!!!」
「あれは何だ!!!!」
「逃げろ!!俺達じゃ勝てねえ!!」
戦車を見るや否や匈奴の部隊は敗走を開始した。
「追撃だ!!!喧嘩を売ったことを後悔させてやれ!!!!」
里秀大将は砲塔上面に設置されている伊式8mm単装機銃を握ると、引き金を引いた。
伊式8mm機銃はイタリア王国軍のブレダ8mm機銃をモデルとしており八島兵器工業が製造している機銃である。
機銃としての能力はそこそこで八島兵器工業が製造しているイタリア王国軍がモデルの兵器には必ず搭載されている。
他の戦車からも戦車兵が飛び出し砲塔上面に設置され伊式8mm単装機銃を使い匈奴の兵士を射殺した。
もちろん車載機銃も使用しての攻撃も行われていた。
「このくらいでいいだろう!!!!」
戦闘が終わった時には匈奴の兵士たちが蜂の巣状態であちこちに倒れていた。
「南部に動きは!!」
「特にありません。それどころか、我々に加勢しようとしていたみたいです。」
「そうか。」
「それで、ですね。向こうの方がこちらと対談したいと言って来ているのですが・・・。」
「いいだろう。応接室に案内しておけ。」
「はっ!!」
40式重戦車の乗り急いで里秀大将は要塞に向かった。