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モンスターのご主人様  作者: ショコラ・ミント/日暮 眠都
2章.モンスターを率いる者
46/321

28. 遠方を繋ぐ影

前話のあらすじ:


飯野優奈「はっ、なんか誰かがわたしの噂してる!?」


(※速かったり硬かったりするやつのくだり。大体合ってる)

   28



 シランをあとに残し、おれたちは坂上の追跡を開始した。

 追跡についてこられない三好たち生き残りの転移者は、回復魔法でもすぐに癒せない怪我を負って走れなくなった騎士三人を伴い、別行動をとっている。今頃彼らは砦の一室に隠れているはずだった。

 いまのところ、モンスターが侵入してきていないエリアにいるので、しばらくは安全だろう。少なくとも、おれたちと行動をともにして砦を走り回るよりは、幾分マシなはずだった。


 その一方で幹彦やケイは、本人たちの意向もあっておれたちに同行している。

 幹彦には『エアリアル・ナイト』があるし、ケイは回復魔法を含めたいくつかの魔法が扱える。後衛としてなら彼らも十分に力になれる……というか、現状二十名を切った騎士団では、使える戦力はどんなものでも動員したいというのが本音だろう。


 三好たちと別れたおれたちは、まず最後に坂上を見た内壁の上に向かった。

 その途中、階段まで辿り着いたところでリリィが坂上の痕跡を発見した。既に坂上は内壁上にはいないようだ。


「どうもこれ、砦の外周部に逃げているみたいね」

「外壁上にいたモンスターが渡辺の魔法で壊滅状態に陥ったとはいえ、まだ砦の外周部には内部まで侵入したモンスターがいるからな。奴にとっては、安全地帯だ。逃げ込む場所としては、それ以上のところはないだろう」


 すんすん鼻を鳴らしてみせたリリィを、おれは走って追い掛ける。


「……早いうちにとっ捕まえないとな」


 脳裏には、先程別れたばかりのエルフの少女の姿があった。


「焦っちゃ駄目だよ、ご主人様」


 ちらりと振り返ったリリィが言う。おれはかぶりを振った。


「わかっている……つもりなんだがな」


 苦笑する。パスで繋がっているリリィ相手に、強がりを言っても仕方なかった。

 せめてこの場にローズがいてくれれば……と思わずにはいられない。そうなれば、戦力をふた手に分けて、リリィだけを先行させることもできた。あるいは、それこそガーベラがいてくれたなら、シランとともに十文字を追い詰めることもできただろう。


 そんなことを考えていると、アサリナが掠れ声で鳴き、あやめにぺろりと頬を舐められた。こちらも心配させてしまったらしい。

 おれは苦笑を引っ込めた。胸中の焦燥を押さえつけて、口を開く。


「団長さん」


 おれは少し離れたところを並走していた女性に声を掛けた。


「……ああ。孝弘殿。なんでしょう?」


 一拍遅れて答えが返ってくる。

 なにか考え事だろうかと思いつつ、おれは彼女に尋ねた。


「十文字の言っていたことですが、どこまでが本当なんでしょうか?」


 おれの目から見て、彼は本気で言っているように思えた。それが事実なのかどうか、可能なら確認しておきたいところだった。


「元の世界には帰れないとおれは聞いていました。チート能力なら、それも覆せる可能性があるというのは本当ですか?」

「どう……でしょうかな。わたしもそのような事例は知りません。勇者様方の恩恵に関して我らが知っているのは、あくまで教会で教わることだけですので。ひょっとしたら、教会にはそのような記録も残されているのやもしれませんが……」


 ゆるりと団長は首を振った。


「勇者様の魂が我らと異なる、という話のほうはわたしも聞いたことがあります。しかし、まさかあのような……」


 沈鬱な表情を浮かべて、団長は言葉を彷徨わせた。

 彼女だって、この世界の住人だ。自分たちが奉じていた勇者という存在があのような蛮行に出て、ショックを受けていないはずがないのだ。


 この分だと、どうやら転移者の魂に関して、事実関係を尋ねても無駄らしい。

 この世界の人間に『勇者を殺すとモンスターよりも多く魔力を得られるのかどうか』なんて知識があるとは、おれも最初から思ってはいなかったから、構わないといえば構わないが。

 それに、従来はおおよそ百年に一度、一代にひとりが基本の勇者が複数人いる状況というのがこれまでにあまりなかったのだから、その手の知識は集積しようがないだろう。


 とはいえ、『勇者を倒せばそこらにいるモンスターを倒すより多くの魔力が手に入る』という考え自体は、言われてみれば納得のいくものだった。

 より強力なモンスターを倒せば、より多くの魔力を得られることは知られている。莫大な力を秘めている勇者を殺すと多くの魔力を手に入れられるというのは、その延長線上の事実でしかない。もちろん、自身のチート能力を自覚する前の無力な転移者を狙うという発想は鬼畜のものだし、実際にやろうと思うのは狂気の沙汰だが。


 そうした倫理面は置くとしても、効率の面だけを考えても割に合わない。

 今日、十文字が殺した転移者の数は現時点で九名になる。本人が語っていた通り十文字の魔力が本当に約一割増えていたとして、単純計算しても、勇者一人分の魔力を得るためには百人近い犠牲が必要ということになってしまう。

 モンスターを倒したところで得られる魔力は微々たるものだ。何体撃破したところで自覚できるほど魔力は増えないから、それに比べれば確かに圧倒的に効率はいいだろう。だが、それはあくまでも、ただひとりを強化するときの理屈なのだ。ひとりを殺すことで得られる魔力が非常に少ないことには変わりない。


 このあたりが、樹海にいた頃のおれが他の転移者を手にかけておきながら、魔力の増加に気付かなかった理由でもあるのだろう。


 これまでおれが手にかけたのは、山小屋で加藤さんを暴行していた三名と、返り討ちにした加賀の、合わせて四名だ。しかし厳密にいえば、このうちの三名についてはおれが直接手を下したわけではない。


 実際に手に掛けたのは、リリィなのだ。


 それを踏まえて、なにかリリィに影響はなかったかと思い返してみると、思い当たる節がないでもなかった。


 出会った当初のリリィは、最大の攻撃手段である魔法をぶつけておきながら、大破したマジカル・パペットの反撃によって殺されかけるほど弱いモンスターだった。なのに、二十日と経たないうちにあった白いアラクネの襲来時には、同じマジカル・パペットでもレア個体のローズをも凌駕する戦闘能力を備えていた。

 これまでは擬態能力のお陰だろうと思っていたのだが、それだけで説明するには、これはいささか成長が早過ぎるのではないだろうか?


 ……もちろん、真実はわからない。特に、比較的大きな変化があったはずの最初の二名については、リリィはその直前に水島美穂の遺体を捕食している。影響があったところで紛れてしまって、当人にもわからなかっただろう。たとえば、おれ自身が四名同時に、ということなら、話は違っていたかもしれないけれど……。


「……ん?」


 そこまで考えて、おれは眉を顰めた。

 ひとつおかしなことに気が付いたからだった。


 おれは転移者をひとり手にかけたところで、魔力の増加には気付かなかった。

 それでは、十文字はどうしてそれに気付けたのだ?


 なるほど。十文字の発言を聞く限り、それと事前にわかってさえいれば、九人を生贄にすることで得た一割程度の魔力増加を自覚することは可能なのだろう。


 しかし、それが五パーセントならどうだろうか?

 ましてや、事前にそうとわかっていないなら?


 化学の実験でメスシリンダーを眺めているのとは違うのだ。少なくとも、二、三人の犠牲では気付くことなどできないだろう。それこそ一度に十人、二十人と殺さなければならないのではないか?


 けれど、だとするとおかしいのだ。


 なぜなら、十文字の参加した第一次遠征隊がコロニーを出るまでの間、殺人・行方不明を問わず、モンスターに殺される以外に複数名の人間が一度にいなくなるような大事件は起きていないからだ。

 というか、そんな大きなトラブルがあったら、さすがに遠征隊が編成されるような余裕はなかっただろう。


 とすると、コロニーから離れたあとの遠征隊で、そうした事件があったのだろうか?

 しかし、それもなかなか考えづらい。遠征隊はそのメンバーの全員がチート持ちだ。あくまでウォーリアのひとりでしかない十文字が短時間で何名もの人間を殺めることは、不可能ではないが難しい。

 今頃は樹海を進んでいるはずの飯野や、殺された渡辺だって、そのような事件に関して話はしていなかった。

 なにより、意気揚々と勇者として振る舞っていた彼らには、そんな陰惨な事件を経験した気配なんて欠片もなかった。


 彼らの道程はあくまで順風満帆だったのだ。渡辺の首が飛ぶ、そのときまでは。


 そうして突き詰めて考えてみると、そもそも十文字ではなくとも、そんな機会はなかったように思える。不可解だった。


 ……とすると、むしろここは、角度を変えて考えるほうが建設的だろうか。

 どんな事実も、まず最初のひとりに知られることなしに、知識として共有されることはない。


 どんな機会に、どんな人間なら、その事実に気付くことができただろうか?


 何人もの転移者が殺されたり、いなくなったりした事件を探すのだ。

 遠征隊の出発以前はない。出発したあとの遠征隊にもない。とすると、それこそ……。


「……」


 おれは冷や汗がどっと噴き出るのを自覚した。


 ……あるのではないか?

 ひとつだけ。それに該当する大事件が。


 考えられるのは、もうそれくらいしかない。

 そのときなら、確実に何名もの人間が、己の魔力の増加に気付けただろうと確信できる。なぜなら、数人ないしは数十人どころか、それこそ数百人という規模で転移者が殺害されていてもおかしくないからだ。


 ――コロニー崩壊。

 あの惨劇の日であれば、その事実に気付いた者も、相当数いたに違いない。


 だが、あれは十文字がコロニーを離れたあとの話だ。

 そこで知られた事実を彼が知ることは有り得ない。


 ……本当に、そうだろうか?


「ねえ、ご主人様」

「……っ! な、なんだ?」


 リリィの声が耳に入って、おれはびくりとした。

 視線を向ければ、厳しく引き締められた少女の横顔がある。


「前方にモンスターが一体。そろそろ接敵するよ。わたしがいくけど、気を付けていてね」

「あ、ああ……」


 リリィの警告に頷いて、おれは剣の柄を握り直す。

 掌が嫌な汗でぬめっていた。


 ――コロニー崩壊に関わった人間が、そこで得た知識を十文字に伝えた可能性。

 突飛なようだが、考えてみればそうでもない。


 この仮説が成り立つためには、遠距離の通信手段が必要だ。

 この世界には、おれたちの世界にあった便利な通信手段……たとえば、電話なんてものは存在しない。


 しかし、その代わりになるものがないのかといえば、そんなこともないのだ。それをおれは知っている。


 シランが樹海深部の山小屋に赴き転移者を救出したのは、遠征隊が辿り着いたという東の地にあるエベヌス砦からチリア砦に、魔法による通信手段を用いて救出要請が伝えられたからだった。


 この世界にだって、遠方に連絡を取る手段はあるのだ。


 あとは、それを使える者がいるかどうかだ。

 チート持ちのなかには、この世界の人間では第三階梯までしか至れない魔法を、第五階梯まで使いこなす者がごろごろいる。この世界の人間に扱える魔法なら、使える者がいてもおかしくない。実際、おれ自身、かなり遠く離れていても魔法的な繋がりを保てることは、白いアラクネ時代のガーベラに浚われたときに実証済みだ。それこそ、そうした交信に特化した固有能力持ちなら、十分に可能な範疇だろう。


 そして、そう考えると、ひとつの疑問も解ける。

 いつから十文字と坂上が繋がっていたのか、という疑問だ。


 今回の転移者殺害計画の第一段階は、砦に着く直前に坂上がグリーン・キャタピラの撃退を演出した一件だ。だからふたりの結託は、チリア砦到着以前だと考えられる。

 その一方で、坂上が他の転移者とともにチリア砦に来ることになったのは、シランが率いた救出隊に発見されたためだということを考えると、計画が立てられたのはそれ以降でなければおかしい。


 この期間、別ルートでそれぞれチリア砦を目指して移動していた十文字と坂上が直接顔を合わせる機会はなかったはずだ。砦に着いてからはともかくとして、それ以前の彼らが膝を突き合わせて計画を練ることはできなかったのだ。


 しかし、ふたりを繋いでいる存在があったとすれば、そのあたりにも説明がつけられる。


 コロニー崩壊で得られた情報を十文字に流した『何者か』は、彼と坂上とを結びつけてチリア砦襲撃および転移者虐殺のお膳立てをした。

 といっても、遠距離交信能力を持っている以上、本人がどこにいるのかはわからない。あの崩壊するコロニーにいたのかもしれないし、それこそ遠征隊にいて、今頃はエベヌス砦で優雅なティー・タイムと洒落込んでいるのかもしれない。


 ……である以上、その『何者か』と繋がっているのは、十文字や坂上だけとも限らない。


 それに気付いたとき、おれは戦慄を覚えずにはいられなかった。

 ひょっとすると、コロニーを蝕んで崩壊にまで追い込んだ悪意の毒は、第一次遠征隊をも汚染しているのではないだろうか?


 この世界で勇者と称えられるほどの逸脱者たちが、もしも再びその反則級の力を暴走させたとしたら……それも、今度は隔離された深い森のなかではなく、人の世界でだ。


 ……そんなの考えたくもない。間違いなく、恐ろしいことになるだろう。

 おれたちにはこれから先、遠征隊と合流する予定があるわけではない。だから彼らがただ自滅するだけなら、直接的な被害を被ることはないはずだ。


 けれど、おれのなかには漠然とした強い不安が生まれていた。


 果たしてそれだけで済むのだろうか。

 世界というのはどこどこまでも繋がっている。誰かと誰かはどんな小さなものであれ、影響を与え合って生きている。それが、あまりにも大きな力を持つ集団であった場合、暴走した彼らと無関係でいられる人間なんているのだろうか……。


「じゃあ、行くね。ご主人様!」


 ……いまは、考えても仕方のないことか。


 おれは思考を切り替える。いまは、目の前の問題を解決しなければならないときだ。


 先行してモンスターを倒すリリィを追いかけておれは走る。ただそれだけに集中しようとする。

 けれど、頭の片隅にうずくまった黒い影は、なかなか消えてはくれなかった。


   ***


 当然だが、砦の外縁部に近づけば近づく程、攻め込んできているモンスターとの遭遇率は高くなる。おれたちは何度となくモンスターとの戦闘をこなしていた。

 砦の残存戦力との遭遇も想定していたのだが、どうやらかなりの数がやられてしまったらしく、これまでに生存者の姿はほとんど見ていない。


「……戦力の補充は絶望的だな」


 いまここにいる二十人足らずの人員で、どうにかするしかないということだ。

 溜め息を噛み殺したおれに、幹彦が声を掛けてくる。


「でもさ、モンスター引き連れてる孝弘はさっきみたく剣を向けられかねないんだし、面倒事にならなかったっていう見方もできるよね」

「まあな。それに、合流できたところで、ドッペル・ゲンガーが混ざっている可能性もある」

「ああ、確かに」


 話し合っていると、リリィがちらりと後ろを向いた。


「ドッペル・ゲンガーについては、それほど気にしなくてもいいけどね。さっきの内壁の上みたく兵士がひしめいていたら、どれがそうなのか判別つかなくて大変だけど、もうそれほどの戦力は残っていないだろうし」


 暗澹とした気持ちにさせる話だった。

 どれだけの人間が、いまもこの砦のなかで生き残っているのだろうか。坂上を捕えたところで、どれだけの人間を生かすことができるのだろう。おれたちにできることはあまりにも少なかった。


「あっ。また敵。今度は三体」


 無造作に兵士の死体が転がった廊下で、おれたちはもう何度目になるかわからない遭遇戦に突入した。

 基本的にはリリィが相手をしているが、敵が何体も現れればそうはいかない。おれは団長に声をかけた。


「騎士団はグリーン・キャタピラを頼みます! あとはおれたちが!」

「了解しました!」


 突出したリリィが木槍でファイア・ファングの喉元を抉り、あやめがグリーン・キャタピラに火球をぶつけて牽制し、そこに騎士たちが大盾を構えて突っ込む。

 おれ自身は羽毛の生えた腕を持つニワトリのような見た目のモンスター『ガッツ・ガッラス』にアサリナをけしかけた。

 首尾よくアサリナはニワトリの顔面に噛みつくことに成功する。


「うおぉおおっ!」


 アサリナが体を収縮させ、おれはガッツ・ガッラスに高速で近づいた。

 奇声とともに繰り出された拳を身を屈めて避けて、バランスを崩しながらも、すれ違いざまに鳥の足を斬りつける。悲鳴が背後に流れた。


「うっおぁ!?」


 すっ転んで硬い石の床を転がる羽目になったが、噛み付きを解除したアサリナの補助もあって、勢いを殺すことなく立ち上がることができた。

 おれはそのまま通路を走り抜ける。わざわざ敵を倒している暇はないのだ。


 背後で魔法の気配がして、リリィがすぐに追いついてきた。押し通ったモンスターにうしろから追い掛けてこられても困るから、傷の浅かったグリーン・キャタピラを始末してきたのだろう。しかし、このままではきりがない。


「まだ坂上には追いつかないのか、リリィ!」

「臭いは強くなってるんだけど……あっ! また敵!」


 遠く通路の向こうに、モンスターがたむろしているのが見えた。かなり多い。舌打ちをしかけたおれの耳に、リリィの声が飛びこんでくる。


「――と、見付けた!」


 その言葉の通り、よく見れば、そこには坂上の姿があった。

 たくさんのモンスターがいるところに来て安心したのか、座り込んで休んでいる。

 近づいてくるおれたちに気付いた坂上は、慌てた様子で立ち上がった。


「逃がすか!」


 目標を見付けて、おれたちはギアをあげた。とはいえ、まだだいぶ距離がある。加えて、坂上とほぼ同時にこちらに気付いたモンスターが押し寄せてきた。数が多い。


「やれ、リリィ! 出し惜しみはなしだ!」


 リリィが魔法を発動させる。第三階梯の風魔法。狭い通路いっぱいに風の刃が吹き荒れて、そこにあやめの吐き出した火球が降り注いで追いうちをかけた。

 勢いを殺いだところに、おれたちはひと塊になって突入した。

 あとはもう乱戦だった。とにかく突っ切ることだけを考える。盾で殴りつけ、突き出される爪を剣で弾き、足元で閉じる顎を跳躍してかわす。

 何度か危ういところはあったが、あやめとアサリナが守ってくれたお陰で、おれは戦場を突っ切ることに成功した。


「他のみんなは……っ!?」

「まだうしろっ」


 振り返れば、おれとともに突破できたのはリリィだけだった。

 こちらの先制攻撃で深手を与えていたとはいえ、やはり数は脅威だった。重装備故の身の重さと、後衛の幹彦やケイを守っていたこともあって、騎士団は足止めを喰らっている。


「くそ、リリィ。援護を……」

「孝弘殿! 我らのことは気にせず、いまは先に行って下さい!」


 モンスターの壁の向こうで、団長の声があがった。


「いまはまず、坂上剛太の身柄を確保するのが最優先! お願いいたします!」


 団長の言うことは正しい。

 それに、さっきのリリィの一撃で、モンスターには十分にダメージは与えている。騎士たちは精兵だ。置いて行っても大丈夫だろう。


「……。わかりました。先に行きますから、追い掛けてきてください!」


 おれたちは坂上を追って走り出した。


   ***


 身体能力強化の補助があるとはいえ、そろそろ魔力も体力も限界が近い。

 とはいえ、それもあともう少しの辛抱だ。


「気を付けろよ、リリィ」


 半歩先行するリリィに、おれは声を掛けた。


「追われていることがわかったら、坂上の奴がモンスターをけしかけてくるかもしれない。いや。確実に反撃はあるものだろうと考えていたほうがいい」

「うん。そうだね」


 おれたちと坂上では身体能力に差がある。それなりに距離はひらいていたものの、すぐにでも追いつくはずだった。そのときが勝負だ。

 気を引き締め直したところで、進行方向にある部屋のひとつから大きな影が廊下に現れた。リリィが足を速める。


「グリーン・キャタピラが一体。やっちゃうね」

「ああ。十分に周囲を警戒してくれ」

「了解!」


 丁度、ひとつの部屋から出てきた大芋虫の頭部に、高々と跳躍したリリィが組みついた。魔法を使わなかったのは、これが囮で本命の奇襲があったときにカウンターを喰らわせるためだろう。


 頭部を振り回して振り払おうとする芋虫だが、絡みついたリリィの足を引き剥がせるほどではない。リリィが両手で持った槍を深々と突き立てる。何度かそれを繰り返すと、グリーン・キャタピラの巨体は痙攣し、どうと倒れた。

 素早く離れたリリィがあたりを見回す。おれが追いついたときには、槍の穂先についた緑の血液を振り払ったリリィは、眉を八の字にしていた。


「……これだけ?」


 拍子抜けしたようにリリィがつぶやく。

 数秒待ってみるが、敵襲はないようだった。


「ご主人様。どうしよ?」

「とまっていても仕方ない。先に進もう」


 ここで四の五の言っていても仕方ない。

 おれたちは再び走り出した。とはいえ、疑問は残る。


「さっきのはどういうことだ?」

「足止めにしてもお粗末だよね」


 たかだか樹海表層部のモンスターが一匹だけでは、たいした足止めにもならない。戦力を小出しにしてどうするのか。

 かなり数は減っただろうが、砦の包囲に回している分を除いたとしても、この砦の各所には、まだまだモンスターが残っているはずだ。いまそれを招集しない理由がない。雪崩を打ってモンスターが押し寄せてきたとしてもおかしくない場面なのだ。


「十分に戦力が集まるまでの時間稼ぎかも?」

「……考えられるとしたら、その線かな」


 あるいは、あっさりと突破させておいて、気を緩めさせようという腹か。

 そう考えて警戒を新たにしたものの、違和感は残った。

 いやにあっさりとリリィに組みつかれたグリーン・キャタピラ。あれはまるで、おれたちが来ることを知らなかったかのようだった。『坂上を追っているおれたちのことを迎撃しに出てきた』のではなく、『たまたま部屋を出てきた』ところに遭遇しただけのような感さえあった。


 しかし、そんなことが有り得るだろうか?

 それこそ数分前には、坂上もこの廊下を通ったはずなのだ。それなのに、そこにいるモンスターに追跡者の迎撃を指示しないなんてことは、まず有り得ない。


 どうして自分の身を守ろうとしない?

 なにかがおかしかった。


 考えてもみれば、さっきの坂上は護衛としてモンスターの一匹も連れて行かなかった。

 ああ、いや。それ以前に。本性を現した十文字に話しかけた内壁上でのあの場面で、既に坂上には自分が『モンスター使い』であることを伏せる理由はなくなっていたはずなのだ。それなのに、奴はモンスターの一匹も連れずに姿を現した。あれもおかしいのではないか……?


「いたよ!」


 おれはリリィの声に我に返った。

 おれの視界にも、こちらを見て慌てている坂上の姿が映った。たったひとりだ。護衛のモンスターの姿はない。正直、わけがわからないが、チャンスはチャンスだった。


 坂上本人を囮にした罠の可能性を考慮すると、リリィとあまり離れるのはまずい。遠距離攻撃がほしいところだが、発動に多少時間の掛かるリリィの魔法は、もしものときの保険にとっておくべきだ。とすると、いまは――


「――あやめ! 足止めしろ!」

「ぎゃおっ!」


 おれの肩の上で体を膨れ上がらせたあやめが、数個の火球を吐き出した。

 火球は廊下の天井や壁に当たって、小規模な爆発を起こした。壁材の破片が飛び散り、悲鳴をあげて坂上が頭を抱えた。足が止まる。おれは盾を持つ左腕を突き出した。


「ゴシュ、サマ!」


 おれの意志に従って、左手の寄生蔓アサリナが伸びる。

 彼女はその鋭い牙を思い切り坂上のふくらはぎに突き刺した。


「ぎゃあぁああっ、あぁああ!」


 引っくり返って、痛みにのたうちまわる坂上。無数のナイフで足をずたずたにされたようなものだ。これでもう、回復魔法で治癒しない限り、逃げることはできない。

 程なくしておれたちは、転げ回る坂上のもとに辿り着いた。


 リリィには周囲の警戒を引き続きやってもらうことにして、おれは坂上の体を蹴りあげて仰向けにすると、腹に足裏を落とした。


「ぐぼぁ!?」

「追いついたぞ、坂上。いますぐに、砦に集めたモンスターを退去させろ」


 ここですぐに坂上を殺すわけにはいかない。操り手であるこいつを殺したところで、砦に攻め込んできているモンスターがそのまま残ってしまっては、状況はなにも変わらないからだ。坂上には、モンスターを操って砦から引き離してもらわなければならなかった。


「い、痛ぇ。やめてくれぇ!」

「いいから早くしろ!」

「ぎゃあぁああ!?」


 アサリナが噛み付いたのと逆の足に、おれは剣を突き立てた。

 こうして坂上を追い詰めはしたものの、依然としておれたちには余裕がない。状況に追い詰められているのは、おれたちも同じなのだ。


「早々にお前を従わせないと、シランが死ぬ。この砦で生き残っているみんなが死ぬんだ!」

「わ、わかった、わかったよ! だから、やめてくれ!」

「なら早くモンスターを追い払え。いますぐにだ!」

「そ、それは……」


 動揺した様子で、坂上の目が泳いだ。もごもごと口ごもる。

 もう一度、剣を突き刺してやろうかと思った頃に返答がきた。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。すぐにはできない」

「このっ……今更、時間稼ぎをするつもりか!」

「う、嘘じゃない! 嘘じゃないんだ!」


 おれが怒鳴り付けると、坂上は必死で言い募った。


「できないとは言ってない! ただ、すぐには無理なんだ!」


 涙でぐしゃぐしゃになった顔を歪めて、坂上は哀れっぽい声で叫んだ。


「だって、おれにできるのは『モンスターを引き寄せること』だけなんだから!」

「……なんだと?」


 おれは唖然としてしまった。

 咄嗟に出た言い訳にしても、それはあまりにもお粗末過ぎた。


「いい加減なことを言うな!」

「本当だ! 嘘なんてついてない!」

「だったらなんだ、まさか『モンスターに指示なんて出していない』っていうんじゃないだろうな。あのモンスターは、ただ押し寄せてきただけではなかっただろう!」


 おれは坂上の腿から剣を抜くと、血で濡れた切っ先を突きつけた。


 死を身近に感じたためか、坂上は失禁していた。

 そして、怯えきった表情で、おれの思いもよらない言葉を返した。


「『モンスターに指示を与えられるモンスター』がいるんだ! これまでおれは、そいつに指示を出していたんだ。だから、そいつを介さないと、おれは自分が集めたモンスターに指示を出すことができないんだ!」

「……なんだ、それは」

「お前に言っても信じられないかもしれねえけどよ、本当なんだ。おれたち人間みたいに『話ができるモンスター』がいてな、そいつがモンスターに指示してたんだ」


 おれは思わずリリィと目を見合わせた。

 喋ることのできるモンスター。それは、おれ自身の経験からすると有り得ない存在ではない。それだけに、この世界ではお伽噺としてしか知られていないはずのモンスターの情報がここで出てくることは、むしろ坂上の話に奇妙な信憑性を持たせていた。


 おれ自身、モンスターを率いるチート能力を持つが、別にモンスターを意のままに操っているわけではない。

 坂上のモンスター・テイム能力がそういうかたちなのだと言われれば、それを否定するだけの材料はなかった。


 それに、坂上が護衛をつけていなかったのも、待ち伏せや大規模な反攻がなかったのも、坂上自身には直接モンスターに指示をする権限がなかったからだとすれば納得がいく。

 ことの真偽については、すぐにでも確かめればいいだけのことだった。


「そいつはいま、どこにいる?」

「お、おれが呼べばすぐに出てくるはずだ。いつもあいつは、おれの近くにいたから。……ああ、でも。山小屋を出てからは、あのシランとかいう女にバレるとまずいからって距離取ってたんだけど……」

「呼べば出てくるんだな。だったら、さっさと呼べ」

「わ、わかったよ」


 坂上にはもうおれに逆らう気力はないようだ。こんなふうに痛めつけられるのは初めてなのだろう。完全に心が折れている。


「ベルタ! ベルタァ!」


 坂上は叫んだ。


「出てきてくれ。モンスターをひっこめるように命令をしてくれよぉ! このままじゃ殺されちまう!」


 哀願じみた坂上の声が通路に響く。

 おれとリリィはなにがあってもいいように周囲を警戒した。


 一秒、二秒。なにも起こらない。

 ……十秒以上が経過しても、通路はしんと静まり返ったままだった。


「え、あ……嘘だろ」


 坂上の呆然とした声が空しく通路に響く。

 やはり適当なことを言ったのか。それとも、なにか手違いがあったのか……と考えたそのとき、そのモンスターは通路の向こうから姿を現した。


 まさに風のようなスピードで駆けてくる。


「あれは……」


 たなびく長く白い髪。白い衣。

 血のように赤い瞳。

 こちらへと疾走してくる独特の足音は、八本脚が奏でるものだ。


 妖しいほどに美しい少女の容貌が、花咲くような笑顔でぱぁっと輝く。


「おお、主殿! ようやく見つけた!」

「……ガーベラ?」


 おれは目を見開いた。

 こんなところで会うとは思っていなかった姿がそこにあった。


   ***


 まさかガーベラがこのモンスターの襲撃を……とは、さすがに考えない。

 ガーベラはベルタなどという名前ではないし、呼んだ本人である坂上は混乱した様子で目を白黒させているし、そもそも、彼女はおれの眷属だ。


「主殿よ! 無事でよかった!」


 蜘蛛の八本脚を蠢かせて駆け寄ってきたガーベラは、おれに正面から抱きついた。

 ふわりと持ち上がって落ちる白い髪に視界を塞がれ、否応ない力強さで引き寄せられて、ふたつの腕のなかに包み込まれる。

 反射的に彼女のことを抱き返したおれは、至近距離にある美貌に問い掛けた。


「どうしてここに? ローズと加藤さんはどうした?」

「なにを言っておるのやら。主殿の滞在する砦が、あれだけのモンスターに群がられておるのだぞ? 助けに来るのが当然ではないか。――っと、あやめ。お主も元気にしておったかの。主殿をきちんと守っておったか?」

「くうぅーっ!」


 おれの背中に回した手で、ガーベラはおれの肩に座ったあやめを撫でる。

 彼女はおれのことを助けに来てくれたらしかった。

 感謝すべきなのだが、相変わらず、なんというか間が悪いガーベラだった。このあたりはひょっとして、おれに似てしまったのだろうかと思うと、そこはかとなく責任を感じもする。


「とはいえ、時間が掛かったのは事実だがの。それについては、すまんかった。ローズ殿が少し派手に損壊してな。ああいや。心配するほどのことではないのだが、仮宿にしておった洞窟まで送り届けねばならなかったのだ」

「ローズが? お、おい。ちょっと待て。本当に大丈夫なんだろうな?」

「うむ。いまは体を修理しつつ、加藤殿の護衛をしておるよ。さすがに連れては来れんかったがの。まあ、そういう理由もあって、最低限の修理が終わるのを見届けて、妾はこうして主殿を助けに来たというわけだ。しかしまあ、ここまで時間がかかるのは想定外だったがの。主殿の声と、ほれ、そこの男の喚き声が聞こえんかったら、もう少し掛かっておったかもしれん」

「……ん、パスで居場所はわからなかったのか?」

「それがどうも、妙にうまくいかんのだ」


 ガーベラは口元に指先を添えて、美しい顔を顰めた。


「よくわからんが、パスがいささか不安定なのやもしれぬ」

「パスが?」

「ここまで近づけば、さすがに安定しておるようだがの」

「……どういうことだ? おれたちの間の繋がりに影響するような力なんて……まさか」


 おれが視線を落とすと、坂上は慌てた様子で大きく首を横に振った。


「お、おれはなにもやっていない!」

「……」


 モンスターを操るという意味では、坂上もおれに近い能力を持っている。

 ジャミングのようなことをされていたのではないかと疑ったのだが、坂上は否定した。

 痛みに堪えて嘘を貫き通すような意気地など、坂上にはないだろう。こいつは小狡い人間だ。だからこそ、すべてを台無しにしてしまう恐ろしさもあるのだから。


「まあ、こうして合流できたのだからいいがの」


 ぎゅっとガーベラはおれのことを抱きしめた。


「生きた心地がせんかったぞ。特にあの、砦が崩れたときにはの。主殿が巻き込まれておるのではないかと」

「……ガーベラ」

「というか、妾のほうも実は死にかけておったのだがの」


 ぼそっとガーベラはつぶやいた。


「ようやっと砦まで辿り着いたというのに主殿の行方がわからず、はてどうしたものかと途方に暮れておったところで、突然、とんでもない規模の魔法に巻き込まれての。なにかの、あれは。全力での退避が間に合ったからよかったものの、少しでも遅れておったら、遥か空高くまで吹き飛ばされるところだった」


 どうやらガーベラは渡辺の放った魔法に巻き込まれていたらしい。

 本当にタイミングが悪い……いや。そうでもないのか。結果として彼女はこうしてここにやってきてくれたのだから。


「それで、ご主人様。ガーベラと合流できたのはいいとして、どういうわけか坂上のいうところの『モンスターを操るモンスター』が出てこないけど、それはどうしよう?」


 リリィが問い掛けてきた。

 ガーベラが抱擁を解いて、おれは改めて坂上に向き直った。


「お、おれは嘘なんてついてねえぞ!」

「ああ。それはもういいんだ」


 おれは首を横に振った。仲間たちを振り返る。


「坂上がこれじゃあ、モンスターの対処に関してはもうどうしようもない。すぐにでもシランのところに戻ろう。ガーベラがいるなら、おれたちにもできることがあるはずだ」

「あ。そっか。ガーベラなら、十文字にも対応できるかも……」

「む。十文字、とは?」


 リリィとガーベラがそれぞれの反応をした。


「ガーベラ。十文字っていうのは、おれと同じ転移者のひとりで、以前に話したこともある探索隊のひとりだ。この砦を襲わせた人間のひとりでもある」

「ほう」

「いまはおれたちを逃がすために、シランって子が足止めをしてくれている。十文字相手は、ガーベラだけだと少しきついかもしれないが、シランも一緒なら、あるいは……」


 実際のところ、こうしてガーベラが合流した以上、おれたちはもうこの砦を脱出することができる。

 ガーベラなら砦の外を包囲しているモンスター程度、軽く蹴散らすことができるだろうし、団長を始めとした騎士団他の二十名程も一緒に逃がすことが可能だろう。


 ただ生き延びるだけなら、それでいい。


 しかし、その場合は砦に残存している兵士たちは全滅するだろうし、なにより、おれたちがモンスターの包囲を解くのを待っているはずのシランを置き去りにすることになる。

 彼女が寄せてくれた信頼を裏切ることはできない。そんなことをしては、十文字や坂上となにも変わらない。


「ふむ。事情はよくわからぬが、シランとやらは主殿を助けるために命を賭けて戦っておるのだろ。ならば、助けなければなるまいよ」

「うん。わたしもあの子のことは見捨てたくない。ご主人様のことを、あの子は信じてくれたもの」


 口々にリリィとガーベラが言う。

 なら、あとは駆けつけるだけだ。なるべく早くしなければならない。


「と、その前に、後始末はしておかないとな」


 言葉を落とすと、ずるずると這って逃げ出そうとしていた坂上はびくりとした。


「ひっ、ひいぃ! こ、殺さないでくれぇ!」


 坂上は体の向きを変えて床に座り込むと、後ずさりながら泣き喚いた。

 こいつのせいで、どれだけの人間が死んだことか。

 ここでこいつを生かしておく理由はなかった。


「そ、そうだっ。おれは脅されてたんだよ! だから、おれは悪くねえ!」

「悪いが、下手な命乞いを聞いてやる暇はないんだ」


 おれは剣を振り上げた。


「おれたちは早くシランを助けにいかないといけないんだから」

「だったら、遅かったな」


 それは男の声だった。


「――っ!?」


 誰の声か理解した途端、ばっとおれは声のしたほうを振り向いた。

 既にリリィとガーベラも、応戦の構えに入っている。


 そこにあったのは、悠々と歩いてくる長身の少年の姿だった。


 彼は引き摺っていた『なにか』をおれたちのほうに放り投げた。

 それは攻撃ではない。投げ出されたなにかが床に転がった。

 力を失った手足が、投げ出される。


 血塗れになったシランだった。

◆週末更新です。日曜の29時です。

……定期更新ですね。うん。大体一週間です。


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