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魔の王

 この世界にあるのは闇

 この空間にあるのは闇

 闇こそ確かなものである

 ――これが自分に与えられた、運命さだめのような鎖だった



 暗い暗い室内に、少年の嗚咽が響き渡る。

 闇夜よりもなお濃い髪に、眩いばかりの金の瞳。気品溢れる顔立ちに、王を思わす衣と玉座。

 その少年は、齢十五。そんな若さから、王権を授かりし者。その名はあかつき

 ただ王といっても、ただ王権といっても。そればかりではない。

 王の前に魔をつけた、“王”なのだ。

 闇を統べる者。

 魔を使いし者。

 それが、この少年暁に負わされた、魔王という名の称号だった。

「どうして、僕……?」

 そっと呟いた暁は、膝を抱えて玉座に座る。

「別に、僕じゃなくてもいいじゃないか」

 涙で歪む視界に苛立ちながら、更に身を縮めた。一生懸命に無意味な水滴を拭い、ぐっと拳をつくる。

 ――何故、自分なのだろう

 そんな事を思ってしまい、指先に力を入れた。徐々に痛みは増していき

「あ…………」

 赤の液体が滲み出る。

 しまった、と内心後悔しながらも、ひじ掛けにもたれた。つたう赤色を、どうこうしようとは思わないらしい。

 すると、

「また、暁様は泣いておられる」

 そんな声が聞こえた。

「気弱な魔王など、前代未聞ですよ」

「本当に大丈夫なのか」

 立て続けに発せられる、自分を無に還す言葉。何度聞いたかわからない、自分に対する否定の意思。

 しかし、それらは皆、声になっているのではない。心の中で抱いている、必死に隠している思いなのだ。

「まただ、駄目駄目」

 気を抜くと、すぐに読んでしまう。他者の気持ちを汲み取ってしまう。

 いらない事まで、聴いてしまう。

「僕は知らない。知らないよ」

 大丈夫大丈夫。大丈夫大丈夫。

 自らを落ち着け、自身の力を押さえて。

 何も感じない、何も聴こえない。

 全ての感覚に、蓋をした。



この咎は、短編とも中編ともつかないものです。一章一章の長さが短いと思いますが、私の好みで区切らせていただいております。

読みにくいと感じさせてしまった方には、心よりお詫び申し上げます。



初心者で至らない点も多数あるかと思いますが、今後より精進していきますので、よろしくお願いいたします。

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