エピローグ&あとがき:星海に永遠に響く神話【スターライト・レジェンド】
エピローグ:果てしなき超銀河団へ、そして未来へ受け継がれる神話
『局所銀河群』における歴史的な最果てのグランド・オペラ大公演から、さらに時が流れた未来――。
我らが銀河系を起点とした「スターライト劇団」の名は、いまや宇宙のあらゆる星系、あらゆる文明において、神話や語り継がれる奇跡の伝説として刻まれていた。
『新スターライト号』の最上層・天体展望デッキ。
眼下に広がるのは、かつて目標として掲げていた局所銀河群 を遥かに眼下に収める、異次元のスケールを誇る光の渦であった。
数千の銀河がひしめき合い、光の河のように連なる超巨大宇宙構造――おとめ座銀河団 。
そして、そのさらに宙の果て、無数の銀河団が網目のように宇宙全体を紡ぎ上げる究極の領域――超銀河団 ――。
「――全量子エンジン、次元超駆動 シーケンス完了! 超銀河団領域への突入準備、すべて完了したよ!」
最先端のホログラムコンソールを軽やかに叩きながら振り向いたのは、劇団副座長兼メカニックの月影 彗 だ。
知的な眼鏡の奥に宿る少年のような探求心と、信頼する仲間たちへ向ける温かな眼差しが変わることはない。
「彗ちゃん! 突入前の勝負メシ、しっかり準備できたよ〜っ! はいっ、咲良特製・『超銀河団制覇! 全宇宙七色レインボーパフェ・スペシャル』!!」
特大のトレーを掲げて元気に駆け寄ってきたのは、劇団の料理長・花園 咲良 だ。
彼女が腕を振るう「咲良の料理」は、いまや超銀河団のあらゆる星系で「食べた者を絶対に幸せにする伝説の料理」として崇められていた。
「よしっ! 咲良の特製パフェで腹ごしらえもバッチリだ!」
腰のビームブレードをカチリと鳴らし、豪快に笑うのは劇団座長・星原 昴 !
黒のレザージャケットをなびかせ、昴は力強い手つきで、ガラス越しに広がる無数の銀河の群れ――超銀河団の果てしない闇と光を指し示した。
「見ろよ、みんな! 宇宙はどこまで行ってもだだっ広くて、ワクワクさせてくれやがる! 1つの銀河系から始まって、銀河群を駆け抜け、ついに『銀河団』を制覇して……俺たちは今、あの『超銀河団』の入口に立ってるんだ!」
「昴さん……!」
オーロラシルバーの髪を眩しくなびかせ、純白と黄金の歌姫ドレスを身に纏った1号機・奏芽 が、胸の前でそっと手を重ね合わせる。
その隣には、漆黒のドレスに慈愛の笑みを浮かべる2号機・ノワール 。
さらに、真紅の3号機・ルージュ 、蒼空の4号機・シアン 、黄金の5号機・アンバー 、そして双子の6号機・ヴェール と7号機・ヴィオレ 。
7人の歌姫たちは、手を取り合いながら、満天の超銀河団の輝きを見つめていた。
「ノワールお姉様……覚えていますか? かつて私たちが、冷たい暗闇の中で泣いていたあの頃のことを」
「ええ……奏芽。でも、もう誰も泣いていないわ。昴や咲良、彗……そしてあなたたち妹たちと一緒に歌ってきたこの旅路が、私たちの心を……そして世界を、こんなにも温かく変えてくれた」
ノワールが優しく微笑み、奏芽の手を強く握り返す。
「ふふっ、銀河系から銀河群、そして銀河団を超えて超銀河団へ……! どこまで行っても、私たちの『スターライト劇団』の歌声は止まらないわね!」
ルージュが満足そうに胸を張り、シアン、アンバー、ヴェール、ヴィオレも溢れんばかりの笑顔で頷いた。
「よしっ! 歌姫たち、準備はいいか!?」
昴が豪快に叫び、ビームブレードを宙へ高く突き上げる!
「目標! 未知なる超銀河団 全全全領域!! 傷ついた星々を光で満たし、全宇宙の生命に笑顔を届ける……永遠のワールドツアー、出発だぁぁぁっ!!」
「「「「「「「はいっ!!!!」」」」」」」
奏芽、ノワール、ルージュ、シアン、アンバー、ヴェール、ヴィオレの7人の歌姫たちの歌声が、重なり合い、七色の光となって宇宙の暗闇を切り裂いていく。
兵器として生まれ、心を知り、愛を歌った少女たち。
彼女たちを支え、守り抜いた熱き大人たち。
彼らの乗った『新スターライト号』は、永遠に終わらない希望の旋律を奏でながら、果てしなき『超銀河団』の彼方へと――どこまでも、どこまでも高く飛び立っていった。
◇
――そして、数百年、あるいは数千年という果てしない時が流れた、悠久の未来。
遥か彼方、とある未知の超銀河団の静寂に包まれた小さな惑星。
夜空を見上げる子供たちが、星海のあちこちに光の尾を引いて流れる美しい七色のオーロラを指差して尋ねていた。
「ねえ、お母さん。あの綺麗な夜空の光はなぁに……?」
母親は優しく微笑み、胸の前でそっと手を重ねて夜空を見上げた。
「あれはね……ずっと昔、遥か遠くの銀河系から旅立った『スターライト劇団』という、熱い仲間たちと7人の優しい歌姫様たちの歌声なのよ」
「歌声……?」
「そうよ。あの歌声を聴くとね、どんなに悲しい夜でも、どんなに寂しい暗闇でも……胸の奥がぽかぽかと温かくなって、生きる勇気が湧いてくるの。……ほら、静かに耳を澄ましてごらんなさい?」
夜風がそっと吹き抜け、子供が耳を澄ませると――。
星々の瞬きの隙間から、どこか懐かしく、包み込むように温かい『七色のハーモニー』が、今も優しく響いてくるのだった。
兵器として生まれ、絆を知り、愛を歌った7人の歌姫たちと、彼女たちを守り抜いた仲間たちの旋律。
その歌声は――数千年の時を超え、遥かなる超銀河団を越えて、永遠に紡がれる『銀河最果てのスペースオペラ』として、最果ての宇宙へと響き続けていくのだった――。
――(『銀河最果てのスペースオペラ』完)――
あとがき:作者より読者の皆様へ
ここまで『銀河最果てのスペースオペラ』を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
過酷な兵器としての宿命を背負った7人の歌姫たちと、彼女たちを家族として迎え入れ、
泥臭く支え続けた昴・咲良・彗の3人。彼らが織りなす賑やかで熱い旅路を、
最後まで一緒に見守っていただけて胸がいっぱいです。
小さな1隻の船から始まったスターライト劇団の歌声が、銀河系を飛び出し、銀河群、
そして数千年の未来へと広がっていく壮大なラストまで描き切ることができたのは、
ひとえに温かいご声援をくださった読者の皆様のおかげです。
兵器ではなく「歌姫」として笑い合えるようになった7人と、
どんな時も頼もしかった裏方3人組の物語が、皆様の心に少しでも残るものになっていれば幸いです。
兵器から「人を笑顔にする歌姫」へと成長した7人の絆と、それを守る劇団の温かな日常が、読者の皆様の心に少しでも届き、熱い情熱と爽やかな感動をお届けできたのであれば、作者としてこれ以上の喜びはありません。
彼らの歌声と旅路は、これからも果てしない超銀河団の星海で、そして数千年後の未来まで永遠に続いていきます。
また別の星々の物語でお会いできる日を楽しみに懸けて――。
『銀河最果てのスペースオペラ』これにて本当のの完全完結です! ありがとうございました!




