程々に
「えぐっ! この量の仕事 こなすんすか」
男はあまりに 山積みにされている 資料を見て
思わず 後ずさりをした
しかし もう一人の男 彼の先輩が 逃がしてはくれなかった
「こんなん 放棄したやつらに させればいいのに」
などと ぶつぶつ文句を言いながらも 男は手を動かす
「仕方ないやろ 誰かが せんとあかんねんから」
先輩が 男をなだめつつも
やはり自身も 面倒そうな表情を 顔に浮かばせながら
テキパキと 作業をしていた
一通り 目途がついたので 二人は休憩に入った
「なんで今回は 仕事を 放棄されたんすか」
男は ずっと疑問だったことを 先輩に尋ねた
「さあな 気負いすぎでも したんちゃうか」
ぼそっと 先輩が呟いたのを 男はかすかに聞き取っていた
いつも そうだった
この人は 優秀な先輩で だからこそ
彼のようになりたいと 彼の背中を 熱心に追いかけて
そんな人間は たくさんいたけれど
しかし 彼が優秀すぎるが故に 彼と自分とを比較して
勝手に 落ち込んでしまって
やがて 仕事が手につかなくなって 辞めていく人間も後を絶たない
目標を高く持つことは 大いに 結構だが
高すぎる目標は 時に 自身の身を亡ぼすだけだ
人生は 程々にやっていかないと
そうでもしないと 長続きなんてしないものだ




