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第2話|未来の誓い
夜の書斎。
月光が窓から差し込み、机の上の書類を淡く照らす。
ルミエールは静かに机に手を置き、深く息をついた。
この世界の未来——かつての破滅——を、彼女は知っていた。
ヴァルディアを、皇帝を、そして自分自身を失う結末を。
だが今、この現実の中で、あの悲劇は起こらなかった。
全ては回避され、屋敷には静かな平穏が戻っていた。
「……やっと、ここまで来られた」
小さく呟き、ルミエールは振り返る。
ヴァルディアが扉の近くに立ち、彼女を見つめていた。
その瞳には冷徹さの奥に、守護者としての温もりが滲む。
ルミエールは自然と手を差し出す。
指先が触れ合い、互いの呼吸がゆっくりと重なる。
「お前を、二度と失いたくない」
低く、だが確かな声。
その言葉に、過去の恐怖は溶け、信頼と愛が胸に広がる。
ルミエールは微笑み、そっと頷いた。
「ええ、これからも、共に――」
静かな書斎の中で、二人の間に穏やかな未来の約束が芽吹く。
転生者としての知識があったからこそ、守るべきものを確かに守れたのだと、心の奥で噛み締める。
月光が二人を包み込み、夜の静寂は、幸せな日常の予感で満たされていた。




