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あなたを手放すために、結婚しました  作者: 絵宮 芳緒
第8章|和解と日常

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第2話|微笑む日々

昼下がりの庭は、柔らかな陽光に包まれていた。


花壇の花々は揺れ、遠くで小鳥がさえずる。


ヴァルディアとルミエールは、ゆっくりと屋敷の庭を歩いていた。


「……こんな日差しの中にいると、嵐のことも忘れそうです」


ルミエールは軽く微笑む。

その表情を見たヴァルディアの目が、わずかに柔らかくなる。


「忘れるわけではない。ただ、今はこうして過ごす時間も必要だ」

低く、静かな声。


振り返ったとき、二人の視線が重なる。

言葉は少なくても、互いの心はしっかりと通じていた。


花壇の前で、ルミエールは立ち止まる。


「この花、覚えていますか?スノードロップ……」


かすかに指先で花を撫でる。


「侯爵家で、あなたが好きだと言っていた……あの花です」


ヴァルディアは一瞬だけ顔を上げ、無言で花を見つめる。


次の瞬間、そっと彼女の手を取り、自分の手の中に重ねた。


「……守る、あの頃と同じようにな」


その声に、冷徹さはなく、穏やかな誓いが宿っている。


ルミエールの胸が、静かに熱を帯びる。

守られるだけではなく、互いに信じ合う気持ち。


危機を越えたからこそ、今の平穏はより尊い。


庭の奥で風が吹き抜け、二人の間の静かな時間を揺らす。


言葉を交わさなくても、互いの存在が胸に安心を与える。


ルミエールは小さく笑みを浮かべ、ヴァルディアの手を軽く握り返す。


微笑むその顔に、彼も自然と口元が緩む。


嵐の後、ようやく訪れた日常のひととき。


小さな穏やかさの中で、二人の距離は確かに縮まっていた。

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