表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたを手放すために、結婚しました  作者: 絵宮 芳緒
第8章|和解と日常

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/35

第1話|日常の回復

朝の光が、屋敷のリビングに柔らかく差し込む。


窓辺のカーテンが静かに揺れ、外の庭では小鳥の声が混ざる。

ルミエールは椅子に腰かけ、紅茶をゆっくりと口にする。


ヴァルディアは隣に立ち、手を組んで窓の外を眺めていた。


表情はいつも通り冷静だが、その背筋や肩の力の抜け具合に、昨夜とは違う余裕が感じられる。


「……静かですね」


ルミエールは微かに笑みを浮かべる。


「嵐の後には、こんな日もあるのですね」


「……日常は取り戻すものだ」

ヴァルディアの声は低く、抑制されている。


だが、言葉にこもる安堵が、彼の冷静さの奥に見える。


ルミエールはそっと手を伸ばす。

ヴァルディアは一瞬、視線を合わせ、そして静かに指先を絡める。


強く握るわけではない。

だが、この距離感が二人にとって十分だった。


庭では小さな風が樹々の葉を揺らす。


嵐の残した影はまだある。だが、屋敷の中は穏やかだった。


互いに守られ、守るという信頼が、静かに満ちていく。


ルミエールの胸の中に、甘く温かな感情が広がる。


危機を越えた後の、何気ない日常の中にこそ、幸福は静かに息づいていた。


ヴァルディアは無表情のまま、微かに視線を彼女に落とす。


言葉はなくても、確かに伝わる。


「お前がここにいる。それだけで十分だ」と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ