第4話|夜の誓い
夜の庭は、静けさに包まれていた。
月明かりが白い花々を照らし、影が揺れる。
外の嵐は去ったわけではないが、屋敷内の庭はまるで別世界だった。
ルミエールは軽く肩に羽織をかけ、ヴァルディアの横に立つ。
視線を交わすことなく、ただ互いの存在を確認するだけでも心は満たされる。
「……守っていただけるのですね」
小さな声。
確かに、微笑みを含んでいた。
「当然だ」
ヴァルディアは低く答える。
その声に冷徹さは残るが、微かに優しい響きも混じっていた。
ルミエールはそっと手を伸ばす。
彼の指先と重なった瞬間、空気が一瞬だけ止まるようだった。
「……怖くない。もう、あなたのそばにいるから」
その言葉は囁きであり、誓いでもあった。
ヴァルディアの手が、彼女の手を包む。
強く握るわけでも、引き寄せるわけでもない。
ただ、離さないという意思を伝えるだけの静かな触れ合い。
「……誓おう」
低く、確信に満ちた声。
「未来、俺たちは共に歩む。何が来ようとも、必ず守る」
ルミエールの胸に温かさが広がる。
言葉よりも深く、指先の重なりが二人の心を結んでいた。
庭の灯りが揺れる。
嵐の影はまだある。
だが、この夜、この距離、この手の温度が、二人だけの世界を作っていた。
互いの視線が静かに交わる。
言葉は要らない。
ただ、互いに誓い合った未来が、そこにある。




