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あなたを手放すために、結婚しました  作者: 絵宮 芳緒
第5章|陰謀の影

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第1話|不穏な影

午後のリュシアン侯爵邸。

執務室には静かな緊張が漂っていた。


書類の山を前に、ルミエールは何度も目を通す。

未来の記憶が、今日も小さな警鐘を鳴らす。


向かいに座るヴァルディアは、いつも通り冷静で、隙がない。


氷青の瞳は文字を追い、指先は迷いなくページをめくる。

だが、わずかに眉が動き、視線が書類の隅へ走る。


(……何か、いつもと違う)


ルミエールが気づくか気づかないかのうちに、彼の指先が書類の角をそっと押さえ、紙が曲がらないよう調整する。

無言の気遣い。


胸の奥がじんわりと温かくなる。


「……ルミエール嬢、ここに注意した方がいいかもしれない」

低く、静かな声。


命令ではなく、助言に近い。

その一言に、守られているという安心が広がる。


視界の端で、窓から見える屋敷内を行き交う人影が、不自然に動くのを感じた。


未来の記憶が警告する——黒幕の影、動きはまだ表に出ていない。


ヴァルディアは気づいたのか、わずかに目を細め、ルミエールに向き直る。


その仕草は無表情のまま、しかし静かに、彼女を守る意思を伝えていた。


ルミエールも息を整え、心の中で誓う。


(どんな未来が待っていても、私は、この人を守る――)


午後の光が差し込む書斎で、二人の距離感は微かに縮まった。


静かな緊張の中で、胸に確かな決意が芽生える。

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