表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/22

20話 作戦会議

 ミランダの襲撃から四日後。桜庭さんが上に報告をして、上の方で色んなやり取りがあって、その結果がボクたちに話される会議が行われた。

 場所はサクラモリ本部集会室。桜庭さんを上座に、ボク、暁斗、レイラさんの当日の実働に当たる者だけの会議だ。 


 「皆そろったな。先日ミランダ・ハリハーベルことコードネーム・スコーピオンの挑戦の件を上にあげたが、それの対策が決まった。射殺による排除だ」


 「え? バッシュでそのまま戦うんじゃないんですか? 勝ちますよ」


 「いいや。バッシュノードは使わない。決定はスコーピオンの姿が確認され次第の射殺だ。実行役は米国の特殊作戦チーム」


 「アメリカの部隊? どうしてそんな……」


 なんだか話が妙な方向へ向かっていったぞ。


 「スコーピオンのばら撒いた獣化麻薬でもっとも被害を受けた国はアメリカだ。アメリアくんの情報でその出所がわかり、元凶となるスコーピオンの存在を知って排除に動いた。が、見事に失敗。今度こそと大金をかけて準備をし、二度目の特殊作戦チームを編成してマーチャイオに送った。が、肝心のターゲットは日本に渡って空振り。向こうさんも引き下がれんところまで来ているのだろう」


 そうか。ミランダがここに居るってことは、東南アジア某国に奴を倒すために出張ったチームは空振りということなんだ。で、そのチームが日本に来て任務を続行すると。


 「アメリアくんにはヤツをおびき寄せるエサの役割をしてもらう。無論、安全には十分配慮を払う」


 「まぁいいですけど……あ、じゃあ人質になっているメイはどうするんです? そのチームが助けてくれるんですか?」


 「向こうさんは、その責までは負えないと言ってきた。スコーピオンはかなりの難敵。その排除に全力を尽くすため、救出チームまでは用意出来ないそうだ」


 「え? じゃあメイは見殺し? 作戦段階なのに、いきなり切り捨てちゃうんですか? あの子って、もしかして命が軽い?」


 ガタッ

 暁斗とレイラさんはイキオイよく椅子から立ち上がった。


 「落ち着け。これはあちらさんが言ったことで、私は受け入れていない。最初から鳴海くんを犠牲にする作戦には賛同できないと粘った。結果我々サクラモリは、鳴海くんの救出プランの作成と実行をまかされることになった。ただしスコーピオン排除作戦に支障のない形でだ」


 つまり今からメイを助け出す方法を考えるということか。

 暁斗とレイラさんは椅子に座り直した。


 「メイは私たちが助けるのね。いいわ。約束も果たせる形になるし、ちょうどいいじゃない」


 「だな。他人任せにするより、俺たちで助け出すほうが確実だ。やってやるぜ!」


 作戦を考えた結果、メイがミランダに同行していた場合は、暁斗とレイラさんもボクに同行し、交渉でメイを受け取る。万一の場合は、レイラさんがベーネダリアを召喚して彼女の奪還をはかる。

 いなかった場合は、サクラモリのエージェントが捜索して暁斗とレイラさんが奪還するということになった。

 ま、ボクたちの出来る作戦なんて、そんなところだろう。

 準備や当日の方針なんかも決まったところで解散かと思ったが、最後に桜庭さんが、とある疑問を投げかけた。


 「さて、ここからは余談になるが、仮に本当にバッシュノードが天蠍宮(スコーピオン)の星宮獣と戦った場合、勝てるのかね?」


 「勝ちますよ。スピードこそ相手に分がありますが、パワーはこっちが圧倒的です。九十九里浜みたいに開けた場所なら、建物が邪魔になることもなくてバッシュ破壊光線が使えますし」


 「ふむ……やはりな。だがなぜ、奴はそんな不利な勝負を挑んできた? しかもバッシュノードにとって絶好の場所すら向こうの指定だ」


 「そういえば……」


 たしかに変だ。さっきまで決闘で頭がいっぱいで、全然気がつかなかった自分が恥ずかしい。


 「時間にしてもそうだ。一週間も間を開けるのはなぜだ? とくに準備がいるわけでもない。その場で好きな場所に連れていき勝負すれば良いだろう。こちらはおかげで、特殊作戦チームの暗殺の手筈が整えられてしまった」


 うーん? たしかにおかしい事だらけだ。 


 「そもそものバッシュノードに挑む理由すら変ですからね。最強の称号なんて求めるタイプの人間とも思えませんし」


 「やはりこれは罠だな。我々はあえて有利なステージを与えられ、誘い込まれている」


 罠だってぇ!? 戦慄で体がワナワナ震えるぜ。


 「いったいなにが目的で?」


 「わからん。いちおう上には忠告しておくが、スコーピオンを倒せる機会は少ない。罠だとて、彼らは手を引くことはないだろう」


 「んじゃ索敵範囲を広げて警戒するしかないですね。俺たちもヤツと対面したときに、不審なものがないかよく見てますよ」


 「うむ、頼むぞ。当日あらわれる目標が本当に本人かどうかの確認。罠の見極め。当日君たちの役割は作戦の要となるほど重要だ。しっかりやってくれ」


 アメリカ特殊部隊に囲まれながら犯罪組織の大幹部に相対か。しかも人質の奪還、罠の捜索の任務つき。当日はハードなことになりそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>これは罠  どう考えても罠ですね。 それでも行かねばなれない状況に追いこまれてしまっている。 何かいやな予感がするなあ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ