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16話 スコーピオン暗殺任務

 「さて、次の話だ。前に君が述べたブラック・ゾディアックの資金源の話だ」


 「あれですか。役に立ちましたか?」


 「うむ。さっそく上は調査にはいった。が、情報関連の部署は極秘扱いなので詳細はわからないが、どうやら難航しているようだ」


 「たぶん手ひどくやられたんでしょう。天蠍宮(スコーピオン)のマスターはそうとうのクセ者のうえに強いですから。資金源を叩くのは簡単にはいかないでしょうね」


 「君の予測は当たりだ。サクラモリにその天蠍宮(スコーピオン)抹殺を命じてきた。この案件の成功をもって、先の都心破壊の責任を帳消しにすると言ってきた」


 ガーーン

 ついに、その激ヤバイベントがボクにも来たかぁ!!


 「そこまで追い込まれていますか。永田町と国会議事堂と首相官邸壊滅の責任をナシにするほどに」


 「ああ、そうだ。海外の諜報機関と共同で事に当たっていたが大きな被害が出たらしい。日本としてはこれ以上の損耗は避けたい。しかしその外国さんの手前、手を引くとは言い出せない」


 ついでにボクとバッシュも日本から追い出せる。ボクが居るところにブラック・ゾディアックは仕掛けてくるから、結果戦場は海外に移る。みごとな政治だ。


 「断れる立場じゃないし、やりますよ。それでいつ現地に行くんです?」


 「三日後だ。準備や手筈は向こうで整えていただけるらしい」


 うぇっ。ボクたちを早々に日本から追い出したがっているな。

 しかしアニメじゃ、処女宮(ヴァルゴ)の星宮獣ベーネダリアの解毒でヤツの猛毒に対抗していた。でもボクには対抗する(すべ)はない。どうしたらいいんだろう。


 「さて、その件の詳しい話だが……うん?」


 にわかにドアの外から言い争う声が聞こえてきた。その一方は女の人の声。

 いや、これはレイラさんの声? まさか?


 「どうした。騒がしいぞ」


 「はい、じつは秋ヶ瀬レイラさんが来ました。管理教官と話したいと」


 やっぱりレイラさん? でも、どうして?


 「しかたがないな。入れてやってくれ」


 ボクは疑問のまま桜庭に問い詰める。


 「桜庭さん、レイラさんは無事だったんですか?」


 「うん? そう言ってなかったかね」


 「いや、ケガはないけど赤ちゃんになったって……」


 「ああ、勘違いさせてしまったか。そうではなくてだな――」


 と、ドアが開いてレイラさんが入ってきた。

 レイラさんは入るなりボクを凝視する。


 「ゾディファナーザ……本当に居た」


 なんかレイラさんの様子がおかしい。

 それに髪が急に伸びている。前は肩先くらいの長さだったものが、胸のあたりまでになっている。

 それに全体的に妙に若くなっているような?


 「レイラさん、無事だったん……わぁ!?」


 「あなた! お姉ちゃんをどこにやったの! パパはどうしちゃったのよ!」


 お姉ちゃん? パパをボクがどうしたって?

 なんか、まったく話が通じないけど、レイラさんこそどうしたんです!?


 「やめたまえ。その件はもう終わった話だ。彼女は何も知らない」


 「そんなはずはないわ! この子が来てからウチはおかしくなっちゃったのよ! あなた、誰よ。ウチの話に口を挟まないで!」


 え? 桜庭さんのことを知らないって?


 「桜庭さん、レイラさんは記憶喪失にでもなっちゃったんですか?」


 「少し違うな。いまの彼女はサクラモリに来る前の彼女。すなわち三年前の彼女と思われる。聞き取りの結果、そう判断せざるを得ない状態だった」


 「そうか、宝瓶宮(アクエリアス)の時間逆行能力! レイラさんには三年だけ戻したのか」


 「その通りだ。さて、レイラくん。今現在、この世界は君の記憶より三年の月日が経っている。その間に起こった出来事を話そう」


 桜庭さんは丁寧にこれまで起こったことを説明する。レイラさんは信じられないという顔をしながらも、その説明に耳を傾ける。そして話はレイラさんが握っていた紙片のことになった。


 「これを……パパが? お姉ちゃんは生きている?」


 「うむ。どんなつもりでそれを残したのかはわからんが、君のお姉さんは生存している。それを伝えたのだろう。『すでに見ている』という表現は少しおかしい気もするが」


 「おかしいのはそれじゃありません。パパは姉のことを『マリー』と呼んでいました。『マリベル』という呼び方をしたことはありません」


 え? それじゃ、それはドクター・ベルムが書いたものじゃないの?


 「マリベル……この呼び方をする人は……でも、まさか……」


 レイラさんは紙片をしばらくジッと見ていたが、決意の表情で言った。


 「桜庭さん、どうか私も遠征に連れていってください。ブラゾには姉のことを知る人間がいる。そいつと会ってみたいんです」


 「しかし君は三年もの記憶を失い、エージェント訓練の成果も失った。危険なブラック・ゾディアックとの戦いに出すのは問題があるね」


 待てよ。今のレイラさんは三年前のレイラさん?

 だとしたら、もしかして……


 「待ってください。もしかしたら戦力になるかもしれません。もし、すべてが三年前にもどっているのだとしたら!」――




 「星宮より来たれ。愛と慈悲と祈りの聖女。荒れ果てる大地。屍打ち捨てられる戦場に、無垢なる聖歌は響き穢れた世界に癒しをもたらす。祈りよ、天に届け地に届け人に届け。あまねく世界を花で満たせ。ベーネダリア!」


 レイラさんの詠唱が終わると処女宮(ヴァルゴ)の星宮石が輝き、修道女の装束をまとった女性型の星宮獣が顕現した。

 やっぱり三年前はレイラさんは処女だったんだ! まだ誰のチ〇コも入っていないんだ!


 「おおっ、ヴァルゴの星宮獣か! ならば戦力になるな。いいだろう。計画(プラン)に君を入れておこう」


 「ありがとうございます。きっと役にたってみせます。ベーネダリア、戻れ」


 レイラさんが命じると簡単に星宮石に戻った。

 反抗して戻るのをを拒否したり、誰かを殺さないと大人しく言う事をきかないバッシュノードとはえらい違いだ。

 とにかく、これで天蠍宮(スコーピオン)に対抗することが出来る。アニメの知識を使った戦い方も出来るようになった。がんばるぞ!


 

 

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― 新着の感想 ―
3年時間が戻ったから、乙女なのも戻ったって……一応筋はとおるが。
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