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Karte 1 春

4月1日

 

桜が僕の前に舞い降りてきた。 僕はその桜を手で優しく掴み空に向けた。



「もう、春なんだね」


僕は高校の門の前でそう独り言を呟いた。


今の聞かれてないよね?

見た感じ周りに誰も居ないから聞かれてないはず、、 大丈夫、、 大丈夫なはず!


よし、 じゃあ潜る、、 潜るぞ!!


僕、 三日月 春(みかづき はる)の高校生活がスタートした



ま、といってもあまり中学と変わらない。

一人で学校生活を過ごし、 一人でクラスを移動する。 なんら変わりはしない生活だ。


別に友達を作れないわけじゃない。 僕にはもう、 大切な友達が居る。

だから、 中学校でも高校でも僕は友達を作らない、、、 つもりだった、、



「イタたたた、、、」



「あ、ごめん!!」



僕は目の前に居るギャルと廊下でぶつかってしまった。



「ごめん!! えっと、、、 その、、 大丈夫?」



「こっちこそマジごめん!! 友達の投稿が気になっちゃって!」



「いやいや、 僕がボーっとしてたせいだよ。 どう? 立てそう?」



僕は目の前のギャルに向けて手を伸ばした。


「別にそこまで大怪我してないっての〜!! でも、 ありがと!!」



ギャルは僕の手を掴んで立ち上がった。



「ありがと! 手貸してくれて!! えっと、、、 何君だっけ?」



三日月 春(みかづき はる)だよ」



「あ〜!! ハル君!! そうハル君だ!

 私、 今日の自己紹介で君の名前聞いた時から話しかけたかったんだよね〜!」



「、、、? え? なにか僕の悪い噂でもあるの?」



「いやいやそんなんじゃなくてさ?  私と下の名前同じだな〜って思ってさ!」



「、、、ごめん。 僕人の名前覚えるの苦手で、 君が誰だか、、」



「え〜? 自己紹介の時聞いてなかったの〜?」



「自分の自己紹介終わった後、桜見ちゃってたや、、」



「ちゃんとみんなの自己紹介聞かないと駄目なんだよ〜? 

まぁ、でもいい!! 今ここで自己紹介する! 私は、 霜月 春(しもつき はる)!! よろしくね!」



「霜月 春さん、、、 うん、、覚えておく」



「さん〜? さんなんて付けなくていいよ〜! ハル、 ハルって呼んで!」



「そんな、 急にハードル高い事言われても、、」



「じゃあ今は別にハルさんでもいいよ〜! でも、 いつかはハルって言ってよね?」



「うん、 分かったよ。 ハルさん。 じゃあ、 僕ちょっと行きたい所あるからじゃあね」



僕が立ち去ろうとしたその時。 ハルさんは僕の腕を掴んできた。



「ここでぶつかって逢えたのも何かの縁だしさ? LIME交換しようよ!!」



「えぇ、、? まぁ、、 別にいいけど僕LIMEあんまり返せないと思うよ?」



「え!? もしかして、、、 嫌い? 私の事、、」



「いや、別にそういうわけじゃなくて、、 僕はその元々あんまりスマホを触らないよってだけだよ?」



「もう、 びっくりしたじゃん!!  私、嫌われてたのかと思ったよ〜!」



「そんな事ないから安心していいよ。 はい、 これ僕のQRコード」



僕はポケットからスマホをハルさんに向けて出した。


「お〜! これがハル君のQRコード!!」


ハルさんは僕が出したQRコードをキラッキラの装飾をしたスマホで読み込んだ。



「このアイコンに写ってる小さい子ってもしかしてハル君の小さい頃の写真?」



「いいや違うよ。 僕の友達の後ろ姿だね」



「そのお友達さんはこの高校に居るの?」



「、、、いや、 居ないよ」



もうそろそろで約束の時間だ、、、 ハルさんには申し訳ないけど、、 今日はもうここで、、



「ごめんハルさん!! ちょっと僕用事あるからもう帰るね!! それじゃあまた明日!」



「え!? ちょっと急に!! って、 そっち教室の方だよ? おーい! おーい!!

 、、、やっぱり私なんか避けられてる?」



僕は誰も居ない教室に戻って、数枚写真を撮った。 


やばいやばい!! 約束の時間がもうすぐ、、 もうすぐだ!!



僕は急いでバックを持って学校から出た。 

僕は学校近くにあるバス停からバスに乗り目的地に急いで向かい始めた。


________


320号室 冬月 茉莉(ふゆづき まつり)



「おーい、起きてる? 茉莉?」



「ん〜? 今日も来たの〜? 春は」



「来るよ、 友達なんだから」



「別に他の友達と遊んでいいんだよ?」



「僕は茉莉と一緒に話してる時が一番楽しいし、 僕の友達は茉莉だけだよ」



「ふふ、 本当に昔から春は変だね」



「そんな事言うんだったら、僕帰っちゃうよ〜?」



「あぁ、 やだやだ!! 帰らないで〜!!」



「嘘、 嘘だよ茉莉。 今日もいつもみたいに話しにきたんだよ」


「ん〜? いつもみたいに今日の出来事話してくれるの?」



「そうだよ」



「やった〜!! 聞く聞く〜!」



「えっと、 じゃあまずこれから、、、」




僕は病院のベットで茉莉に今日の出来事を話し始めた。


そう、 僕が言っていた大切な友達ってのは茉莉の事だ。


茉莉は幼稚園に入る前に原因不明の病を患ってしまい

そこからずっとこの病院で寝たきり状態で入院している。


茉莉の病室は他の病室と違ってずっとカーテンが閉まっている。 いや、、 閉めている。 

そうしないと太陽の光が入ってくるからだ。 


茉莉の身体は何故か太陽の光を拒むのだ。

少しでも太陽の光が当たると、 何故か骨が折れたり嘔吐したりしてしまうのだ。


だからその対策の為に、 ずっとこの部屋のカーテンは開かないように釘で止められているのだ。



「そうそう、 今日トイレの前でぶつかっちゃった子が居るんだ」



「え? 何々? その食パン咥えた少女がぶつかる的な展開〜!」



「そんなん運命的なものじゃなくいよ〜。 普通に僕の不注意でぶつかっちゃったんだ」



「見惚れる女の子でも居たの?」



「いや、 考え事してた」



「もう、 それじゃあひゃくぱー春が悪いじゃん! それで相手の方は大丈夫だったの?」



「尻もちついてたけど怪我はなかったね」



「ん? てか相手は女性? 男性? どっちなの?」



「茉莉と正反対のギャルみたいな子かな? そのぶつかった子、 僕と下の名前同じだったんだ」



「めちゃめちゃ運命的な出逢いしてるじゃん!! え? そのハルって子はかわいいの?」



「ん〜? どうだろ、、、 僕が茉莉以外の女性をあんまり見ないから分かんないや」



「なんだかそれ、 嬉しいっちゃ嬉しいけどなんか恥ずかしいね、、、」



「ん? なにか僕おかしい事言っちゃった?」



「いや!? 別に言ってないよ? うん、 言ってない!! だから春! 

 私に続きをもっと聞かせてよ〜」



「まぁ、 言ってないならよかったよ。 まぁでも、続きと言ってもLIME交換したぐらいかなぁ?」



「え!? そのハルちゃんって子とLIME交換出来たの?」



「そう、 なんかよく分かんないけど出来たんだ」



「えぇ〜! よかったじゃん! 友達が出来て」



「別に茉莉がもう居るから友達なんて要らないけどね〜」



「春には恥ずかしいとかいう感情がないのかね、、、 

まぁ、 でもさ? こんな外にも出れない友達の所に来るよりも

新しい友達と遊んだ方が絶対に楽しいよ」



「ん〜もう! 僕、いつも茉莉に言ってるでしょ? 

 僕が茉莉に会いたくて、話したくてここに自らの意思で来てるの!!

 だから、 そんな悲観的になる様な言葉言うの駄目!」



「え〜、、、 でも、、」



「茉莉〜?」



僕は優しく茉莉の頬を手でつまんだ。



「茉莉はもっと笑顔でなくちゃ」



「ちょ、、 ちょっと〜 急に何するの〜!」



「ほら、 笑顔笑顔!  ほら、 やっぱり茉莉は笑顔の方がかわいいよ」



「もう、分かったから手離して〜! 恥ずかしいよ〜!」



「はいはい、分かったよ茉莉」



僕は優しく茉莉の頬からつまんでいた手を離した。



「まぁ、 でもさっき言ったことは全部本当だよ? 茉莉」



「へ〜? 『全部』 ね〜」



「そう全部本当だから、ネガティブな事言っちゃ駄目だからね? 分かった?」



「は〜い、分かりました〜。 ほら、 もう注意は辞めて続き話してよ〜!

 私、 気になる〜!」



「うぇ? 急に戻ったね。 話、、 といってももうない気が、、、

 いや、 一つ思い出した事があるんだった」



「え? 何々? 教えて教えて?」



「えっとね、、、」


___________


僕は外が暗くなるまで、茉莉とずっと一緒に話していた。


僕が話すと茉莉はとても喜んだ顔を浮かべてくれる、、 

僕は、、 僕はその笑顔を見るとなんだかとっても救われる気がする、、



「ねぇ、 春。 もう7時だけど帰らなくていいの?」



「え!? もう7時なの? やばいやばい、、 今すぐ帰らないと愛しのペット達が怒っちゃう!」



「それじゃあ今日はここでお開きだね、春」



「うん、なんだか今日はいつもより茉莉との時間が早く感じたや」



「私も春と同じかも」



「アレかな? 話に夢中になりすぎたのかなぁ?」



「うん、多分そうなんだと思うよ? てか、 ほら話してる暇なんかないよ?

 早く帰ってあげないと、、」



「あ、 そうだったね、、、 よし、、 じゃあ今日は帰るね? 茉莉。 また明日来るから!」



「うん、 また明日」



春は病室から学校のバックを持って出て行った。


「もう、、、 春のばーか。 私は話に夢中なんじゃなくて、 春に夢中なのに、、 

 ゴホッ、 ゴホッゴホッ」



やっぱり、、 咳が前より酷くなってきてるなんとかして、、 春には隠さないと、、


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