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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第2章 魔法少女と権力

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2-41.魔法少女のリーダーは誰?

「急にどうしたんですか。年長者アピールなんか始めて」

「これからは! わたしがリーダーだってアピールしなきゃいけないって思ったので! 頼れるリーダーだって、みんなにわかってもらうために!」

「自分でアピールするの、恥ずかしいですよ」

「ラフィオー! 後で一緒にプリン作ろ! 作ってくれるよね!?」

「ハンターも、いきないそんなこと言われても困るでしょ?」

「えー。でも」

「そうよライナー。どうしてあなたが仕切ってるのかしら。年長者でリーダーのわたしに任せなさい」

「年長者はともかく、セイバーをリーダーと認めたことはないですから」

「そんな……じ、じゃあなにかしら。あなたは誰がリーダーにふさわしいと思うのかしら?」

「わたしです! それか、ゆ……覆面の彼です!」

「なっ!?」

「ラフィオー! さっきプリンの素、いっぱい買ってきたの! 後で全部作ろうね!」


 さっきからセイバーとライナーは言い争ってるし、ハンターはプリン作りをすることしか言ってない。


 ラフィオは返事をしようにも、フィアイーターに噛み付いているから無理だった。というか、なにかとても大きな葛藤を前にしているようで動揺の気配が見える。


「ラフィオ! とりあえず敵に集中しろ! おいセイバー! 馬鹿な話してないで、まずはこいつをなんとかしてくれ!」

「んー。仕方ないわねー。かわいいあの子に言われちゃったら頑張るしかないわ。よしライナー。あいつのコアを壊した魔法少女がリーダーってことにしない?」

「そうしましょう! 負けませんから! 魔法少女シャイニーライナー行きます!」


 話はまとまったらしい。セイバーとライナーは前に踏み込んだ。


「フィアアアァァ!!」


 フィアイーターも、新しい敵が来たことは承知している様子。花を手にとって投げつける。魔法少女に当たらなくても、その方向には市民たちがいる。その誰かに当たるのはまずい。

 けど、心配なかったようだ。


「ラフィオ! もう少し頑張ってね!」


 ハンターが背中の弓を手にとって射る。飛んでくる細い花を見事に射落とし、続けてもう一本の矢を放った。

 それはフィアイーターの利き腕の方に命中。力が抜けたのか、拮抗していた力比べが一気にラフィオの側に傾く。

 フィアイーターの体を押し倒すようにしながら、ラフィオは胴体に当たる部分を両前足で押さえつけた。


「よくやったハンター! もう片方の腕も潰せ! 射抜き続けろ!」

「うん!」


 ハンターは客席の背もたれの上に立つと、器用にその上をぴょんぴょん飛び跳ねながら前に駆け出していく。

 狙いがつけづらいであろうその状態でも、ハンターの狙いは正確で両方の腕を交互に射抜き続けていた。


「フィアアアアッ!」


 痛みから悲鳴を上げる怪物は、足をばたつかせる。それがラフィオの胴に当たりそうになって、彼は咄嗟に飛び退いた。

 押さえつける獣がいなくなったフィアイーターは、再度起き上がろうとしたけど。


「させないから!」


 自慢の脚力で誰よりも先に舞台に到着したライナーが、その勢いのままにフィアイーターを蹴る。

 起き上がった直後のフィアイーターは、これをまともに受けて後方にすっ飛び、壁に体を激突させた。


 普通の花瓶なら割れるところだろうけど、残念ながらフィアイーターの体は頑丈。けど背中にヒビが入ったのが、うつ伏せに倒れた奴の姿から確認できた。


「よっしゃー! リーダーの座はいただき!」


 そのフィアイーターに駆け寄ってライナーは何度も胴体を蹴る。舞台の照明を吸収して輝く左足が、何度も花瓶にぶつかる。

 ヒビが大きくなってやがて割れ、中の暗闇がさらけ出される。コアは見えなかった。

 フィアイーターもやられてばかりではない。無事な足と、負傷しながらも動かないわけじゃない両腕を使って転がる。


 こんな形だから、勢いがつけばかなりのスピードで転がることになった。


「うわっ!?」


 それに足を取られてライナーは転倒。そんな彼女を無視してフィアイーターは再度客席側に戻ってきて。


「チャンス! リーダーはわたしよ!」


 そこで待ち構えていたセイバーが、転がるフィアイーターに対してすくい上げるような軌道で剣を振った。

 胴の真ん中あたりが大きく裂ける。けど、コアを破壊するには至らない。


 勢いのまま立ち上がったフィアイーターに、セイバーは再度剣を振った。フィアイーターの胴がさらに傷つく。


「フィアアア……」


 あからさまな劣勢を悟った怪物は、臆したような声をあげつつ、両手を頭に伸ばして花をいくつかまとめて掴んだ。


「ふふん。お花なんかでどうするつもりかしら」

「気をつけろ! その花、硬いぞ!」

「うわ本当だ!」


 花を切り裂こうと剣を振ったセイバーだけど、受け止められてしまう。


 その後何度かセイバーは斬りつけるけど、結果は同じ。二本の手にそれぞれ持った花の茎は、剣で両断することはできない。

 フィアイーターの方も、腕を負傷している以上は受け止めるのが精一杯という様子。けど、それもいずれは回復するのだろう。それを狙って、奴はゆっくり後退している。敵とぶつかるよりは、時間を稼いで回復を待つ作戦か。


「ラフィオ! あいつの後ろに回り込んで押さえつけてくれ!」

「わかった!」


 ラフィオも状況は俺と同じくらい把握している。


 俺が言うまでもなくフィアイーターの後ろに周り、前足で押さえつけた。

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