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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
最終章 決着

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15-40.みんなのこれから

 この数日間、メディアは魔法少女の戦いが終わったことの話題でもちきりだった。

 けど、それも時が経てば落ち着く。他のニュースも出てくるし、話題は自然とそちらに移っていった。


 夕方のローカル番組もそう。しばらくは魔法少女の戦いを振り返る特集なんかを組んでいたけど、やがて市内の話題のスイーツ店の訪問とかの内容に切り替わっていった。

 それでいいのだと思う。平和だってことだから。


 澁谷が新感覚スイーツのお店に訪問してる映像を見ながら平和を実感していた。

 そんな澁谷から、ある夜電話があった。


『電源車とレールガンですが、市立科学館に寄贈することになりました』

「科学館?」

『はい。フィアイーターがいなくなって、もう使い道はないはず。局としても永遠に駐車場に置いておくわけにはいかないので』


 元は、古くなりすぎて廃棄が検討されていた電源車だからな。


『しかし捨てるのも忍びない。局が魔法少女の戦いに協力していた、大切な証ですから。あと、レールガンの扱いはもう少し面倒でして』


 武器だからな。普通に、銃刀法に抵触する代物だから。


 いつ怪物が現れるかわからない状況だと、超法規的な何かで民間が所持していたのだけど、今後もそのままというわけにはいかない。

 だから公的機関に預けるというわけだ。市立でやってる施設なら、まだ言い訳は効く。


 今後、何かに使うことがあるかもしれない。だから電源車もレールガンも動態保存しておく。そして何に使わなくても、昔の機械と最新の機械というものを展示しておくことで、科学館を訪れた子供たちに自然科学への興味を持ってもらうことにした。


 有効な使い方だ。水族館にある潜水服と同じような使われ方だし、兄貴と同じように夢を見つける子供が出てくれば嬉しいな。

 電話の最後に、澁谷はこう付け加えた。


『皆さんの戦いに協力できたこと、光栄に思います。またバーベキューするなら呼んでくださいね』


 すぐにでもやりたいな。もうすぐ春だし、花見とかどうかな。




 さらに数日後、大学の合否発表がされる時期になった。

 陸上部の元部長とか元生徒会長を始めとして、知り合いの受験生はみんな大学に合格して、無事に進路を決めた。


 もちろん剛もだ。その日の夕方、俺たちの家に合格報告に来た。

 なぜか麻美を連れて。


「剛先輩。おめでとうございます。でもなんで麻美さんと一緒なんですか?」


 と、遥も首を傾げている。


「ふふっ。前から話していたでしょう? 大学生になったらもう、僕と麻美は対等な関係になるってこと。社会人と高校生が付き合うのはちょっと常識的にまずくても、大学生の僕と社会人の麻美なら問題ないってこと。それをみんなにも見せたいと思って。ね、麻美?」

「つ、剛。やっぱりなんか恥ずかしいというか……」


 確かに前々から聞いてたことだけど。お互いにタメの口調で会話するふたり。


 剛はずっとこうしたかったのだろうな。だから見せつけにくる。まだ慣れなくて戸惑ってる麻美の様子も、彼は微笑ましく見つめていた。


「なるほどねー。こうなったら剛も頼れる男って感じがするじゃん。麻美、大切にされるのよー。ほら飲みなさいな」

「あ、ありがとうございます……」

「剛も麻美のこと、からかいすぎないようにするのよー」

「あ、はい。了解です。って、なんで僕にもビール注ごうとしてるんですか!?」

「大学生なんだから。飲酒は当然でしょ? どこもそんなもんよ。今から練習しておきなさい」

「ええ……」


 こうやって自分のペースに持っていくのは、愛奈なりのフォローだったのかな。


 まあ、このカップルも楽しそうだし、こういう形もありなのかもしれない。




 翌日は樋口が家に来た。大量のビールと肴を持って。


「警視庁を辞めたわ」

「ええええ!?」


 晩酌相手が来たとウキウキで準備していた愛奈が驚いた声を上げる。

 驚いたのは俺たちも一緒だけど。


「ということは樋口さん、無職なの!?」

「いいえ。県警の公安に転職したの。市長の口添えのおかげで転職はスムーズに行ったわ。県警も、魔法少女には感謝してるわけだし。これでわたしも模布市民ね」

「へえー。じゃあ、これからも樋口さんはわたしたちの飲み友達ってことになるの?」

「ええ。そういうこと」

「でもどうして? 東京にいた方が出世はできるでしょうに」

「そうね……魔法少女の事件が解決した今、わたしの仕事はおしまい。東京に帰るよう命令があったの。それが嫌だから。……この地に魔法がある限り、また何か起こるかもしれないからね」

「あまり起こってはほしくないけどね」


 ラフィオはが静かに呟いたのに、樋口も頷いた。それから。


「あとはまあ、この街をわたしも好きになったってのが大きいかしら。それに……飲み友達とお別れしたくなかったしね」


 それが本音なんだろうな。

 すると愛奈が満面の笑みを浮かべた。


「そっかー! なるほどね! それはもう、これからもじゃんじゃん飲みましょう! ええそれはもう倒れるまで!」

「まったく。あなたは全然成長しないわね」

「でしょー! じゃあ、樋口さんの新しい仕事を祝して! かんぱーい!」

「別に仕事は変わらないのよ。乾杯」

「えへへー。あ、ねえ樋口さん。わたしたちそんなに仲いい飲み友達になったなら、そろそろ本名教えてくれてもいいと想うんですよね。樋口一葉は絶対に本名じゃないですよね?」

「ええ。そうね。本名は……内緒。もう少ししたら教えてあげるし、あなたたちも樋口呼びに慣れてるでしょ?」

「それもそっかー。あはは」


 既に酔っ払ってるのか、樋口にはぐらかされたことを愛奈は全く気にしなかった。

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