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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
最終章 決着

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15-34.一斉攻撃

 弾丸は、今度は金のシャチホコの横っ腹に命中。大きな風穴を開けた。貫通はしなかったかな。コアも砕いてはいないはず。けど、ここから傷口を広げればコアが見えるはずだ。


「よし! 行ってきます! 待っててねラフィオ!」


 レールガンを屋根に置いて、ハンターは地面に飛び降りて戦いの場に戻っていく。走りながら矢を放って、邪魔な黒タイツたちも殺していった。


「ちょっ! 屋根に置いたままにしないで! 重くて戻すの大変なんだから! 剛くん! 手伝って!」

「後でね。剛、フィアイーターの方へ行くわよ。魔法少女たちがとどめを刺す手伝いに」

「ああっ! 待って!」


 樋口と剛が駆け出したら、麻美たちの困惑した声が聞こえた。


 まあ、電源車はもう放っておいてもいいかな。キエラは足を射抜かれてバランスを崩してしまって倒れて、ろくに動けない。頭の位置はこっちを向いてない。電源車に砲撃が来ることもないだろう。

 黒タイツも、主人を守ることにだけ動員されていて、電源車に襲いかかることもなさそう。


 樋口も同じ判断だから、自分と剛をフィアイーターの方へと向かわせた。


 それに先行するハンターは、走りながら黒タイツを矢で射抜いていく。向かう先はひとつだ。


「ラフィオー!」

「はいはい。わかった。フィアイーターの足の傷を広げるから、ハンターは僕を守ってくれ」

「うん!」


 ラフィオに跳び乗ると、彼はキエラの足へと移動する。言われた通り、邪魔な黒タイツたちを殺していった。

 レールガンで撃ち抜かれた後ろ足だけど、魔力によってすぐに回復するだろう。この街にはまだまだ、魔力が溢れているのだから。


 だからラフィオは、傷口に取り付いて躊躇いなく手を突っ込んだ。そして広げていく。


「ふぃぁぁぁぁぁぁぁ! ふぃぁぁぁぁぁ!! ラフィオおおお! なにをおおおお!?」

「お前は! 死ななきゃいけない! 僕はお前と一緒になんかなれないし、他に好きな子がいるからね!」

「あああああああああ!」


 こちらを振り返って恨めしげに唸るキエラ。


 ハンターはそんなキエラの顔に矢を放つ。奴の片目に刺さった。


 見たか。ラフィオはわたしの彼氏なんだから。お前には絶対にあげないから! 見るのも駄目だよ!



――――



 ハンターが放ったレールガンが、フィアイーターの足と胴体に大穴を開けたのは俺も見た。

 フィアイーターの動きが鈍る。片足が動かなくなって倒れたけれど、回復はすぐに始まっている。


「バーサーカー! 胴体の傷を広げろ!」

「わかってる! 援護してくれ!」

「ああ! ライナー行くぞ!」

「はーい。てい! やー! とりゃー!」


 ライナーが黒タイツたちを蹴散らしていく。俺もまた棒を振り回して黒タイツを薙ぎ倒していった。

 バーサーカーがフィアイーターの体にとりついて、穴を広げていく。陶器が割れるバキバキという音がする。


 フィアイーターにとっても激痛が走っているらしくら体を大きく震わせて、無事な手足をバタつかせて抵抗していた。


「姉ちゃん!」

「ええわかってる! あいつの手足とかをグサグサ刺せばいいのね! あと腹筋も!」


 そうだな。体を震わせるのに使う筋肉は、腹筋とか横腹だから。


 黒タイツたちを斬り殺しながら、セイバーは無事な方の後ろ足にかけていき、剣を一閃。分厚い毛皮ながら、かなり深く切れたらしい。そこにもう一度刃をきらめかせる。

 フィアイーターが前足を伸ばしてきてセイバーの排除に動いたけれど、セイバーはそれも斬りつけた。痛みにフィアイーターが大きく仰け反る。

 もう片方の前足も、バーサーカーへ刺すべく伸びる。こっちの足は義足付きで、これまでと同じように先端が尖っていた。


「まったく! 義足は武器じゃありませーん!」


 迫ってくるそれに、もっともな指摘をするライナー。自分からそっちに突っ込んでいき、ステップを踏んで先端が刺さるのを回避しながら義足の側面に回り込み、蹴る。

 大きくなった義足が外れて吹っ飛んでいった。


「おい! あったぞ! コアだ! うわでけぇ!」

「壊せそうか!?」

「やってみる!」

「よし! わたしも手伝う!」

「一斉に攻撃したら壊せるでしょ!」

「ラフィオ! わたしたちも!」


 バーサーカーが拡げた穴に、他の魔法少女たちも殺到していく。


「喰らえー! セイバー突き!」


 セイバーが身を乗り出して剣を突く。そこにライナーの蹴りとバーサーカーのパンチも乗るし、魔法少女たちでぎゅうぎゅうになった穴の僅かな隙間をハンターの矢が通り抜けた。

 四つの光を同時に受けたコアにヒビが入り、砕けた。



「ふぃぁぁぁぁぁぁぁ! ふぃ、フィァァァァァァァァァァァ!」


 苦しげな咆哮をあげるフィアイーターだけど、いつもと様子が違う。元のシャチホコに戻らない。


「アァァァァ! アアアアァァァァァァァ!」

「うわっ!? なになにっ!?」


 フィアイーターの体から、黒い蒸気のようなものが強く噴出された。その勢いで俺は吹っ飛ばされかけたけれど、魔法少女の誰かがぎゅっと体を抱きしめて耐えられた。

 その蒸気はすぐに晴れた。そしてフィアイーターがいた場所には。


「はぁ……はぁ……」


 傷だらけのキエラがいた。足から血を流して、義足も外れて片目が潰れている。

 それから。


「フィァァァァァァ!」


 フィアイーターは、まだ生きていた。

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