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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
最終章 決着

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15-33.二連射

 そんな話をしている間に、陸上部員たちは野次馬の中に道を作り、警察に話をつけて規制線を外させて、そして野次馬たちが中に入らないように代わりに壁になってくれていた。


「よし! じゃあ遥たちのこと、頼みましたよー!」

「魔法少女として戦っているのは、わたしの学校の生徒です。どうか力になってあげてください」


 元部長と元生徒会長に見送られながら、電源車は走る。模布城までもう少しだ。


 道中、警官の姿をよく見かけた。市内全域から、動ける人員は片っ端から動員しているとのことだ。

 規制線の見張りをしている人員が少ないのは、内部で逃げ遅れた市民を保護するために人員を割いているから。


 民家や施設を訪問して、人がいれば保護して規制線の外へ連れていく。そして黒タイツに遭遇すれば倒す。発砲も許可されてるそうだ。実際、黒タイツと戦闘している警官の姿も見た。少数の黒タイツを容易に制圧していた。


 彼らは戦いに臨む緊張こそあれ、恐怖は感じていないようだった。


 いける。きっと勝てる。



――――



「あ! ラフィオ見て! 電源車来たよ! 行こう!」

「ハンターひとりで行ってくれ! 僕はこいつの足止めで精一杯だ!」

「えー!?」

「ラフィオ! ラフィオ! らふぃおおおおおおお!!」


 電源車に砲撃が行く事態を阻止しなきゃいけないのは間違いなくて、その役目としてキエラの気を引くのはラフィオが適任なのはわかっていて。


「うー! わかった! すぐに戻るから! 待ってて!」


 ラフィオとキエラが見つめ合ってる時間があるのが嫌だった。睨み合うと言うべきなのかもしれないけれど、どっちにしても嫌だ。

 嫌なものはすぐに終わらせるに限る。


 キエラの動きを牽制しつつ、周りに砲撃を喰らわせようとするとすかさず頭部に体当たりして軌道を逸らせる動きをし続けるラフィオの上から、降りる。そして電源車に向かってダッシュした。

 魔法少女の脚力をもってすれば、数百メートル離れた箇所にいる電源車に到達するのにも時間はかからない。


「澁谷さん!」

「レールガンの準備はできてます! というかこれ、重いですね!」

「そうですよねー。猫さんの力がないと、わたしも持つの大変です!」

「あの! それより! こっちにも黒タイツが来てるんですけど!」


 大人のお姉さん三人がかりでレールガンを持ち上げて電源車の上まで運ぶ様子を見る。ハンターは魔法少女だから、持ち上げるだけならひとりでなんとかできる。狙いをつけるには、ももちゃんのエプロンがいるけど。

 そんなことより黒タイツが来てる? 受け取ったレールガンを電源車の屋根に置いて、弓でそっちを狙う。確かに黒タイツが十数体、こっちに迫ってきていた。


 矢で一体を射抜く。そして次も狙おうとしたけれど。


「あなたはレールガンを撃つのに専念して! ここはわたしがなんとかするから!」


 樋口に止められた。


 彼女は拳銃を取り出して黒タイツたちに発砲。狙いは正確で黒タイツに胴体を次々に当てて無力化しているけれど、銃弾には限りがある。そして黒タイツの方が多かった。

 弾切れになった銃を電源車の中に放り込んで、樋口は格闘戦に切り替える。悠馬に戦い方を教えた、樋口もまた師匠なわけで。


 基本に忠実な戦い方で、黒タイツの一体を転倒させて頭を地面に強く打ち付けて動けなくしていく。


 しかし黒タイツの方が数が多くて、少ししたら樋口は劣勢になった。一体の首根っこを掴んで投げたと同時に、別の一体が手を伸ばして樋口の腕を掴んだ。

 けど、黒タイツもそれ以上は動けなかった。背後から迫ってきた赤い魔法少女が、トンファーで黒タイツの頭をかち割ったから。


「危ない所でしたね、樋口さん」

「別に。あれくらい自力で対処できてたわよ。でもありがとう。でも、どうしてこっちに? 主戦場は向こうでしょ?」

「僕が砲撃で狙われたら、避けれないので。こっちの方が安全で役に立てるかなと。それに、彼女の近くで守ってあげたかったので」

「剛ー! 格好良かったよー!」


 電源車の窓から身を乗り出して手を降る麻美に、剛も振り替えした。

 仲いいな。


「お喋りはそこまでよ。黒タイツがまた来る。やるわよ。シャイニーファイター」

「公安お墨付きで魔法少女と認められて、光栄です」


 ファイターは殴りかかる黒タイツの首をトンファーで突いて動きを止めた後、さらに押し込んで転倒させて止めを刺す。

 危なげない戦い方だった。


 電源車の下でそんな戦いが繰り広げられているのを見ながら、ハンターも自分のやるべきことに集中していた。


 そんなに時間はかけない。ラフィオの所に早く戻りたいから。猫のエプロンを首から下げてレールガンの銃身を吊るす。そしてよく狙う。パスコードを入力したら、いつでも撃てる。


 キエラはラフィオと睨み合いを続けていて、ちょこまかと動き回っていた。けど、キエラは他の魔法少女を狙って砲撃を喰らわせようとする。その瞬間は動きが止まるし、ラフィオもそこにぶつかりに行く。

 それを狙って、撃つ。


 ハンターの想定通り、弾丸はキエラの後ろ足を貫いた。動き回っていた彼女の動きが大きく鈍る。これで、飛び跳ねることもできないだろう。


「ハンター! もう一発撃てますか!? すぐに充電できます!」

「うー……わかりました!」


 早くラフィオの所に行きたいのに! けど、レールガンがこの戦いで有効なのはわかっている。

 敵が大きいから、普通の弓ではダメージを与えられない。この大事な戦いで、黒タイツ狩りを専門でやるのも気に入らなかった。


 充電はすぐに完了。そして撃つ。

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