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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
最終章 決着

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15-30.シャチホコは硬い

 俺は先行した結果見えてきた敵の戦略を手短に伝えてから。


「ラフィオ、フィアイーターはお前に執着するはずた。ライナーと一緒に黒タイツの群れに突っ込んで、フィアイーターに接近しろ。ハンターは黒タイツを殺して、動き回りやすくする。セイバーとバーサーカーもその援護をしてくれ。剛も、常に砲撃に注意しながら戦うこと。俺も行くから」

「ああ。わかったよ。いくぞハンター!」

「うん!」


 黒タイツに突っ込んでいくラフィオ。ハンターはその道を作るべく、次々に黒タイツの頭を射抜いていった。他の魔法少女たちもそれに続く。


「悠馬。あなたはわたしから離れないで。あなたに砲撃が来たら避けられない。わたしが抱えるから」

「うん。姉ちゃん頼む」

「お姉ちゃんに任せなさい!」


 黒タイツを一体、剣でばっさりと斬り捨てるセイバー。俺はその背中にぴったりとくっついて、黒タイツたちと戦いながら周りの様子を見ていた。


 朝早くとはいえ、この公園にも人通りはそれなりにあったと思う。突然現れた怪物に逃げ遅れた人も多いだろう。

 この公園には過去にも怪物が現れたことがある。その時、人々はどこに避難していた? あの公園の管理事務所に、今回も人はいるだろうか。このフィアイーターの砲撃は、あの小さな建物も容易に破壊してしまうだろう。


 そういえば、あの建物はここの近くに建っていたはずだ。


「悠馬避けるわよ!」

「うおっ!?」


 そこまで集中力を欠いていたわけではない。ちゃんと目の前の敵は倒せていた。黒タイツの胸にナイフを突き立てられた。

 けど、セイバーはそれ以上に集中してたし、魔法少女たちを狙って砲撃を放ち続けるフィアイーターをしっかり見ていて、危ないとなったら俺を片手で抱えあげて跳び上がった。


 うん、俺の指示をしっかり守ってくれていたってことだ。突然すぎて俺が驚いただけ。


 ジャンプしたセイバーの着地地点にも黒タイツは群がっていたけれど、セイバーはそこに容赦なく剣を振るう。

 朝焼けの日差しを浴びた剣は煌々と輝いていて、切れ味は抜群だった。黒タイツたちの首をひと振りで三つ切り落とした。


 倒れて消滅しかける黒タイツの体をクッション代わりに荒っぽく着地した俺は、他の黒タイツが手を伸ばしてくるのをかいくぐって、そいつの懐に潜り込みながら腹にナイフを刺した。


 戦闘が始まってから、このナイフをどれだけ使っただろうな。いつもよりは比較的持ってくれたそれも、限界を迎えて折れた。ああ、よく戦ってくれたよ。黒タイツの数が多すぎて、残りを倒すのに心もとなくなってきただけだ。


「あいつ、魔法少女なら無差別に攻撃して来るわね……」


 黒タイツの一体を斬り捨てながら、セイバーが忌々しげに言う。常にフィアイーターを警戒しながら戦っているから、黒タイツ相手に全力を出せないでいる。

 フィアイーターはまた、黒タイツとなる欠片を口から吐き出した。これではフィアイーター本体に近づくことはできない。


 機動力のあるふたりは別なようだけど。


「キエラ! こっちだ!」


 ラフィオがフィアイーターの真正面に到着した。ハンターに黒タイツの排除を任せて道を作れるから、移動がしやすかったのだろうな。


「ふぃぁぁぁぁ!! らふぃお! ラフィオ! らふ、ふぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 フィアイーターと同化してしまったキエラだけど、ラフィオのことはちゃんと認識しているらしい。正面に来たラフィオと、その上のハンターに目を向けた。


「ラフィオ! ラフィオ! 好き! 青いの! 嫌い! きらい! きらい! ふぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ラフィオごとハンターを吹き飛ばしかねない勢いで砲弾を発射。ラフィオは跳び上がってこれを回避。そしてフィアイーターの頭の上に乗った。


「ああああああああ!」

「おっと」


 フィアイーターが激しく体を揺らしてラフィオを振り落とそうとする。ラフィオはそんなフィアイーターの上をぴょんぴょん跳ね回ってなんとか落とされないようにしていた。


 自分の体の上の的は狙えない。フィアイーターは苛立ったように頭を上げて、砲弾を放つ。もちろんラフィオには当たらず、射線上に不幸にしてあった模布城の天守の外壁に当たって大きな穴を開けただけだった。


「ラフィオにばかり構ってていいのかなー?」


 フィアイーターの近くに接近できた者はもうひとり。むしろラフィオよりも早くに近づけていて、周りの黒タイツを倒しながら攻撃手段を探っていたライナーは、その場でぐるぐる回ってラフィオを落とそうとするフィアイーターの足元へ駆け寄って、蹴った。


 しかし。


「こいつの毛皮思ったより厚い! あんまりキックが通じてない! このこの!」


 キエラが元になっている、太い後ろ足を何度か蹴っているけれど、フィアイーターの方にはさほど影響はなさそうで。

 フィアイーターがその場で動き回ったり体を震わせたりするのに巻き込まれないよう、ライナーは蹴っては離脱して襲ってくる黒タイツの相手をしなきゃいけないから、あまり効果的な攻撃もできてないらしい。


 それでも、キエラに蹴りでダメージを与えるのは難しい様子。


「こっちもです! こいつの体、矢が通りません!」


 フィアイーターの体の上で跳ね回るラフィオの上で、ハンターが何度か敵の背に矢を放っていた。

 四本の足と頭はキエラのものでも、胴体と尻尾は金鯱だ。


 あれって別に全身が金でできてるわけじゃないんだよな。表面が金箔なだけで、中は瓦と同じ素材のはず。つまり陶器で、硬い。


 矢が刺さらないわけだ。

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