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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
最終章 決着

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15-8.SNSの活用

 その道路にも黒タイツは何体かいて、こちらから離れて暴れている黒タイツをハンターが狙撃していた。電源車はもちろん、マスコミが来る気配もまだない。黒タイツが一掃されれば、フィアイーター以外の危険は排除されたと見て、近くまで来てくれるかもしれないけど。


「こいつでけえな! この! このっ! やられろ! 死ね! うわー!?」


 フィアイーターの足元まで駆け寄り、とりあえず膝のあたりを殴って転倒させようとしたバーサーカーだけど、苦戦しているようだ。膝の位置がバーサーカーの身長よりも高いし、フィアイーターは図体の割に俊敏な動きをしている。細身だからな。緩慢なタイプではないのだろうな。


 建物から離れて数歩道路側へ移動させられたのは良かったけれど、巧みなステップでバーサーカーの拳を回避して、逆に蹴飛ばした。ギリギリで避けたバーサーカーだけど、バランスを崩してアスファルトの上に倒れてしまう。

 しかし蹴ったということは片足があがったということ。ラフィオはそこに駆け寄った。膝が狙いにくいなら、踵へと変更すればいい。地面についているままの軸足の方に接近して、噛み付く。


 硬い。こいつの体、めちゃくちゃ硬い。噛み砕くのは無理だ。

 さすが、何十年も前から模布駅のシンボルであり続けた頑丈さは伊達じゃない。


 鉄製ではないから、セイバーがいれば傷はつけられそうだけど。


「ラフィオ駄目! 矢が刺さらない!」


 ハンターがフィアイーターの膝裏に矢を放ちながら教えてくれた。やっぱり強度が強いのか。見れば、表面が微かにへこんではいるけど、大したダメージにはなってなくて。


「ハンターは目につく黒タイツの片付けを優先してくれ。おいバーサーカー! こいつを転ばせるぞ! 僕がバランスを崩させるから、押してくれ!」

「わ、わかった! わかったけど、うわー!?」


 フィアイーターは足だけではなく、細長い手でバーサーカーを追い払おうとした。ほんと手足どっちも長いなあ。しかも頑丈だ。体全体が大きいから、細い手でも普通の人間と比べると圧倒的に太いし、パワーもある。

 バーサーカーは自分に迫る手から逃げ惑っていた。しかしそんなことしてても埒が明かない。


 自身にまっすぐ向かってくる手に、真正面から挑むことにした。フィアイーターの真っ白な指を両腕でしっかり掴み、抱きかかえるようにして逆に引っ張る。


「力比べならなあ! 誰にも負けねえんだよ! このまま引っ張り倒してやるから覚悟しやがれ!」

「フィアアァァァァァァ!」


 力比べに持っていくことにしたバーサーカーは、そのまま巨大な手を捻るようにして転倒させるのを試みた。

 一方のフィアイーターはといえば。


 掴まれてない残った指で、バーサーカーの体を摘んで持ち上げた。パワーはあっても体重はそこまでではないバーサーカーは容易く持ち上げられて、そのままひょいと投げられる。


「うわー!? なんでだー!?」


 葉が生い茂る街路樹の中に突っ込んだバーサーカーは、そのまま地面に落ちる。髪の毛に葉っぱがついていた。


「なにしやがんだよこの野郎! 力比べしろよ! おい! 聞いてんのか!?」


 聞いてなさそうだなあ。

 駄目だ。これはまずいぞ。



――――



 銀行の中のフィアイーターを片付けたライナーは、モモちゃん人形の本来の持ち主である百貨店の中に入った。その中にも黒タイツがいるかもしれないから。

 実際にいた。逃げ遅れたらしい客に襲いかかっていた。仕事終わりですみたいな格好のお姉さんに黒タイツの真っ黒な腕が伸びる寸前、ライナーの蹴りが炸裂。黒タイツは首が折れて死んだ。


「大丈夫ですか?」

「あ、ありがとうございます! あの!」


 お礼を言いながら、お姉さんはスマホを取り出した。写真を撮ってSNSに上げるのかな。そういうのは遠慮してもらうべきかな。でも魔法少女の使命を考えれば、ネットの人気者になるのもありなのかな。

 いやそんなことより。


「スマホ! ちょっと貸してください!」

「え!?」


 お姉さんのスマホを強奪すると、SNSを開く。


 本当は誰かに電話をかけられれば早いんだけど、電話番号とか覚えてないし。


 アカウントを追加でログイン。魔法少女として澁谷に最初に接触するために使った、猫のアイコンのアカウントだ。あれ以来使ってないけど、澁谷との繋がりはある。


「お願い通知に気づいて……」


 DMを送る。電話番号教えて下さい。あとレールガンの準備を願いします、と。

 澁谷も暇ではないだろうけど、番組出演の時間は終わっているはずだ。


 幸いにしてすぐに気づいてくれた。送られてきた番号にかけ直す。


「ええっと、敵が思ったより強そうです。愛奈さんにも救援をお願いするよう伝えてください! たぶん麻美さんたちと一緒にいるはずなので!」

『ええ。わかったわ。すぐに電源車を向かわせる。ちょっと待っててね』

「はい! できるだけ早めにお願いします!」


 とりあえずこれで、大人たちが連絡を共有できるようになった。こっちは戦いに専念しよう。

 アカウントをログアウトさせて、発信履歴もしっかり削除。澁谷の個人情報を知らないお姉さんには渡しません。


「ありがとうございました! お礼に写真くらいなら撮ってもいいですよ! ピース!」

「え、あ。はい」


 と、お姉さんにスマホを返して、一枚だけ撮らせてあげてから、ライナーはダッシュ。黒タイツは他にもいそうな気がするから。さっさと倒して、苦労してそうなバーサーカーたちの援護に回ろう。

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