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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第14章 好きの行方

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14-17.外飲み

 テレビもふもふの一階にあるグッズ売り場には、目当てのチョコレート以外にもグッズが並んでいて。


「お菓子とかが多いわね。あと珍味も。モフ鳥さんスルメだって」

「なんでスルメのパッケージに鳥が描かれてるんだろうな」

「モフ鳥さん、一応は有名キャラだからねー。なんでも絵をつけとけば売れることもあるんだよー」

「これがなー」


 県外でも人気なのかな。


 模布市から他の地に移動した人が懐かしむことはあるかもな。


「鳥ジャーキーだって。これはモフ鳥さんぴったり案件だね」

「モフ鳥を食べてるみたいで変な気分になりそうだ」

「もー。そんなこと言っちゃ駄目だよ。楽しまないと」


 と、制服姿の愛奈は鳥ジャーキーや味付けうずらの卵なんかをカゴに放り込んでいく。


「買うのか」

「うん。なんかこれ見てたら、お酒飲みたくなって。というか飲酒したい!」

「おいやめろ」


 高校の制服姿でそんなことを言うな。


 一応、このグッズ売り場ではアルコールは扱っておらず、だから制服姿の愛奈でも問題なく会計することはできた。チョコレートはいいとして、酒の肴ばかり買う愛奈に店員が不審な顔をしてたのは、見なかったことにしよう。

 しかし愛奈の飲酒欲はとどまる所を知らず。


「よし! 居酒屋行くわよ!」

「おい」


 なんでそうなる。


 ここは布栄。飲み屋はいくらでもあるし、愛奈の目にも留まっていることだろう。けど行きたいと言い出すとは思わなかった。


「だって! おつまみ見てたら飲みたくなったし! というか、ここ居酒屋多すぎなのよ! 戦った後だからなんかこう、一杯飲んで発散したいというか!」

「一杯飲んだだけで終わらないだろ!」

「あのお店にしましょう! すいませーん。ふたりです! わたしちゃんと二十歳超えてます!」

「おいやめろ!」


 財布から免許証を出して飲酒可能年齢アピールをする、制服姿の女。店員が困惑するのに謝りながら、俺は愛奈を外に連れ戻した。


「駄目なんだよ! 俺の高校の制服着た奴が飲酒してたら! 誰かに見られたら大問題になる!」


 学校にクレームが行くとかで。そうなるとうちの学校は、存在しない生徒の誰が飲酒したのか、答えの出ない調査を強いられることになる。

 愛奈も、それはまずいと察したらしい。


「うー。それは確かに。悠馬に迷惑はかけられない。でも、お酒飲みたいんです」

「無茶を言うな」

「お店では飲んじゃ駄目ってことよね?」

「そうだ」

「コンビニで買って、外で飲むって言うのは?」

「……」


 素直に家で飲めと言いたくなったけど、愛奈がそれをしたくない理由も察せられた。

 家に帰ったらデートは終わってしまうものな。


「わかった。マンションの裏の、人気のないところでやろう」

「やったー」


 愛奈は俺の手を握り、上機嫌にスキップしながら駅の方まで歩いていく。日が暮れようとしていた。



 家の最寄り駅にある、愛奈がいつも利用しているコンビニでビールを何本も買う。あとペットボトルのコーラと、追加の肴も。

 ちゃんと免許証を出して大人と示したから、問題なく買えた。店員はやはり困惑してたみたいだけど。


 さっき言った問題が起こらないように、ちゃんとコンビニ内に他の客がいないことを確認してから買ったぞ。目撃者は少ないに限る。


 マンションの外から、俺たちの家があるはずの場所を見る。明かりがついている。遥たちは今頃、何してるのだろうな。俺たちの帰りを待ってるのかな。

 待ちわびてるなら仕方ないけどもう少しデートを続けさせてもらおう。


 マンションの駐車場と建物の境目に、腰くらいまでの高さの金属製の車止めがある。アーチ型のやつだ。それにふたり並んで腰掛ける。


「ぷはー! この一杯のために生きてるのよね!」


 ビールのロング缶を開けて一口。愛奈が、おっさん臭い台詞を吐く。


「外で飲むっていうのも乙ねー。星空ってほど星は見えないけど、暗い夜空を見ながら飲むのは楽しいわ」

「そうだな」


 二月の上旬。正直言うと寒い。ブランドものの服を着てるとはいえ、防寒機能はそこまでない。


 愛奈はよく平気だな。制服のスカートは短めで、生足を出してるのに。寒くないのか?

 酒のせいで体が温まってるのか?


 俺もコーラを飲んでみた。さっきまでコンビニの冷蔵庫に入っていたから冷たい。かなり寒い。こういうのは、冬は屋内で飲むに限るな。


「あー。鳥ジャーキーおいしい。戦いの後の体に染みる」

「そんなこと言う女は、この世界でも珍しいだろうな」

「戦いの後は珍しいかもしれないけど、仕事のあとは言う人多いわよ」

「それはそうだ」

「ねえ悠馬」

「なんだ?」

「足、ちょっと寒い」

「やっぱり寒いのかよ」


 愛奈が言いながら体を寄せてきた。


 元々、人が座ることを意図してない車止めだ。ふたりで腰掛けるのも無理があるからから、体はくっついている状態。

 なのに愛奈はぐいぐい来て。


「なんでJK時代は平気だったのかしら」

「今みたいに、外でじっとしてることはなかっただろ」


 通学中は歩いているかバスの中。校舎の中は暖かい。


「なるほどー。ねえ悠馬、温めて」

「嫌だ。おい足を絡めるな」

「いいでしょー」

「良くない! おい! やめろ!」


 短めスカートで足を動かし俺の足に絡みつかせようとする愛奈。もう酔っ払ってるのか? 顔が赤いな。ロング缶がすでに空になっている。


「えへへー。悠馬。デート楽しかったわよー」

「そうか。わかった。一旦離れよう」

「やだー」


 スカートがめくれてショーツが見えかけているのから目を逸らす。

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