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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第14章 好きの行方

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14-13.食料品売場で大暴れ

 向こうはまだ余裕があるらしい。再度俺に向けて振ってきたかから慌てて回避する。振り抜いたポールの底面が、食品を陳列しているガラスケースに直撃。派手な音と共に割れて、中のケーキが破片を浴びる。

 もったいない。食べ物を粗末にする人間にはバチが当たるぞ。具体的には死ぬとか。


 しかし奴を殺す手立ては今の俺にはなく、仕方がないから距離をとってセイバーに助けを求めることにした。しかしセイバーもまた、他の黒タイツの相手に忙しいようだった。


 どこから持ってきたのか、黒タイツは包丁や麺棒で武装してセイバーとチャンバラしてる。そりゃ食料品売り場なら探せばあるよな。リーチの問題でセイバーの方が有利だし危なげなく戦ってるけど、それでも俺を助ける暇はなさそうだ。


 包丁による一撃を回避して、その隙に肉薄しながら黒タイツの腹を剣で刺す。そんなセイバーの背後から麺棒を振り下ろしてくる黒タイツだけど、セイバーは消えつつある包丁黒タイツの体を使って一撃を受け止めた。うまいな。


 俺に向けて、さっきのポールをまた振りにきた黒タイツ。こいつもしつこいな。黒タイツの腕力であれをぶつけられたら、俺は死ぬか大怪我は免れない。

 回避しようとして、何かの店舗のショーケースに背中が当たった。逃げ場が無いと一瞬思ったけど、そうではない。行儀が悪いとは自覚しつつ、少し横に動いてから、その店のカウンターに飛び乗った。


 振られたポールはガラスケースに当たって、やはり破片を飛び散らせる。黒タイツがすぐさま狙いをつけ直そうと、こちらに踏み込みながら再度ポールを振り上げた。


 俺はその黒タイツよりも高い位置にいる。ポールも目線の下だ。ポールが最大高さに達した瞬間に、それを蹴り上げた。バランスを崩した黒タイツが転ぶ。


 追撃しようとしたけれど、他の黒タイツが俺をカウンターから落とそうと群がってきた。一体は胸のあたりを蹴って撃退。殺すには至っていない。

 さらに三体ほど、俺に同時に迫ってきた。それに対処するのは無理だと判断して、俺はカウンターの向こう側に跳び降りた。


 普段は店員が立ってる側だ。こんな状況じゃなければ、こっちからの景色が新鮮だとか感動できてただろうけど、あいにくそれどころじゃない。


 ここ、スペースが狭くて逃げ場がないんだよな。そこに黒タイツもカウンターに跳び乗って迫ってきて。


「悠馬これ!」


 セイバーが、さっき倒した黒タイツが持っていた麺棒を投げて渡してくれた。力加減する暇もなかったのか、ものすごい勢いでぶん投げて、俺の後ろに掲げられていた店名に突き刺さった。


「姉ちゃんありがとう! できれば直接助けてほしい!」

「それはちょっと手が離せないの! そうしたいけど!」


 肉屋から持ってきたのだろうか。黒タイツが切れ味が良さそうな肉切り包丁を持っていた。それによる一撃を剣で払い、接近しつつ奴の体を肩で押してバランスを崩させつつ斬り捨てていた。

 なるほど忙しそうだ。


 俺は背後に刺さった麺棒を引き抜き、目の前に着地した黒タイツの頭を横ざまにぶん殴った。昏倒したそいつの首を足で踏みつけ体重をかけて折りながら、次の黒タイツの腹を麺棒で突く。

 カウンターから落ちていく黒タイツが、それだけで死ぬかはわからない。確認してる暇もない。次の黒タイツがすぐに迫ってきたから。


 そいつの首根っこを掴んで、隣にあったショーケースに叩き付ける。お前の仲間が割ったやつだよ。


 破片だらけのそこに顔面からぶつかった黒タイツは、大きく悲鳴をあげた。その後頭部に思いっきり麺棒を叩きつけて、永遠に黙らせた。


「次は誰かしら!? そろそろ大将と直接戦いたいんだけど!」


 セイバーの声が聞こえた。黒タイツを斬り捨てて、消えゆく死体を蹴って転がしながら挑発。

 フィアイーターは、どうやらそれに乗るつもりらしい。


「フィァァァァァ!」


 咆哮と共にどしどしとやってくるフィアイーター。巨大なプリンはあまり俊敏な動きはできなさそうだった。


「来たわね! うおおおおおおおお! 覚悟ー!」


 剣を構えて突進するセイバー。おい。あんまり考えなしの攻撃をするな。危ないから。


「フィァァァァ!」


 直後、フィアイーターが頷くように前傾姿勢を取る。すると頂点、プリンのカップの開口部から黄色いゲル状物質、というか要するにプリンの欠片が発射された。

 それはセイバーの前に落ちて、突進しているセイバーはそれを踏んづけてしまった。プリンは滑りやすいから。


「ぎゃー! ぐえっ!」


 その場で派手に転んでしまうセイバー。そこに、落ちていた肉切り包丁を拾った黒タイツが襲いかかる。

 まずい助けないと。


 ところが、その心配は無用で。


 黒タイツの頭に光る矢が刺さった。ようやく援軍が来てくれたようだ。


「ラフィオ! 見て! プリンのフィアイーターだよ!」

「ああ! 度し難いね! 貴重なプリンをフィアイーターにするなんて!」

「デパートのプリンおいしいもんね! ここでもプリン売ってるってことだよね!」

「その事実には興味があるな!」


 ラフィオとハンターが黒タイツたちを蹴散らしながら話している。やっぱりラフィオは気になるよな。

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