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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第13章 鬼

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13-41.フィギュアのフィアイーター

「フィアァァァァァァ!」

「むむ! その太刀筋! なかなかやるでござるわね!」

「おいセイバー! 変なこと言ってる場合か!?」

「だって! こうでもしないと負けそうで!」


 剣を振り回すフィアイーターを相手に、セイバーは苦戦を強いられていた。


 古い民家のそこまで広くはないリビングの中で、間合いを取りながら相手の攻撃を受けて流す。フィアイーターは本当になかなかの剣客のようで、その一撃を受けることはないまでも、防戦一方のようだった。


 セイバーが反撃をしようと試みると、途端に引いて距離を取る。バーサーカーにも時折目を向けているようで、彼女が動こうとした瞬間に離れる動きを見せた。


「もう! ちょこまかと動いて!」

「フィァァァァァ!」

「うるさい! 短いスカートで動き回るなパンツ見えてるわよ! 全然色っぽくないけど!」

「だから! あんまりそういうの言うなって!」

「だってー!」


 激しい斬り合いでフィアイーターのスカートは何度も翻り、白いショーツが見え隠れしている。確かになんの色気もない純白のやつだけど、わざわざ言うことじゃないだろ。

 セイバーにとっては必要なのかもしれないけど。こうやって軽口叩くことで自分を鼓舞してるとか。こっちはうるさく感じてるけどな。


「とりゃー! やっと倒せたー! 狭いキッチンで戦うとか大変だったんですけど!」


 するとキッチンからライナーが出てきた。機動力が売りのライナーにとっては、確かにキッチンは戦いづらいだろうけど。

 そんな彼女はフィアイーターの姿を見た。


「おー。お姉さん苦戦してそうですね。魔法少女の力にかまけて、剣術を学んでこなかったのが駄目なんですよ。ちょっと本格的に剣を使える敵が出てきたら負けちゃうやつ」

「うるさいわね! お姉さん言うな! てかライナーだって武器の使い方とか学んでないでしょ!」

「わたしは日々走り方のイメージトレーニングしてるからいいんです! そしてお姉さんは、棒術を習得した悠馬を尊敬してください! 使う機会あまりなさそうですけど!」

「尊敬してるわよ! てか愛してる?」

「それは余計です! そりゃー!」


 なんの意味もなさそうな会話というか言い争いをしている最中に、ライナーは突然キッチンにあったらしい白い皿を投げた。それはセイバーと鍔競り合いをしている最中のフィアイーターの後頭部に直撃。

 一瞬だけ、フィアイーターの動きが怯んだ。そこにセイバーがすかさず踏み込んで斬る。


 樹脂製の鎧が大きく切り裂かれた。中のコアは見えないけど、フィアイーターの動きが若干鈍くなる。


「じゃあふたりとも、あとはよろしく! バーサーカー、今みたいな感じでお皿投げ続ければ援護になるから! わたしは上に行きます! なんか悠馬が激しく戦ってるみたいだから!」


 ライナーはそう言い残すと、階段めがけて走っていった。確かに上から激しい戦闘音が聞こえる。


 周りをちゃんと見て、それぞれに助言と助力をしつつ自分のやるべきこともちゃんとやる。ライナーはすごいな。頭がいい。勉強は全然できないけど。あと。


「ちょっ! 待ちなさい! 自分だけ悠馬に良い所見せようとか思ってるんでしょ!」

「あははー!」


 悠馬への執着が強すぎるのも、バーサーカーはどうかと思っていた。セイバーも同じだろうし、バーサーカー自身も同じって自覚はある。


 とにかくライナーは高笑いしながら階段を駆け上がっていく。こちらもフィアイーターをさっさと殺して悠馬を助けに行かないと。いや、倒した時点で戦いは終わりだから意味ないのか?


 かすかに傷ついたフィアイーターだけど、動きはさほど変わっていない。そして時間が経てば傷も塞がってしまう。セイバーはなんとかこの傷を広げて、中のコアを見つけなきゃいけない。それを援護しなきゃいけない。


「えっと、皿、皿……うわっ破片だらけ! あいつキッチンで好き勝手に暴れやがって! 格好いいこと言ってたと思ったけど! 人の家荒らしまくりじゃねえか!」


 棚に置かれていたと思われる食器が全部割れていた。無事なのはほとんどなかった。

 プラスチック製のコップがあった、それは無事だ。あと冷蔵庫の中に作り置きのおかずがあった。


「食い物ごと投げるのは、なんか嫌だよな。皿だけ投げるのはいいのかって話ではあるけど!」


 作り置きと思われる唐揚げを口に入れる。冷蔵庫で冷やしたままのは、あまり美味しくない。よし、これを投げるのは無理があるな。


「ねえバーサーカー! 援護するなら早くしてくれないかしら!? ちょっときつい!」

「わかってるよ! でも唐揚げか冷たいんだ!」

「意味がわかりません!」


 だろうなあ。


 とにかく、冷たい唐揚げを食べたくない。電子レンジで温める暇もない。

 ん? 電子レンジ?


 キッチンの隅に電子レンジが置いてあった。これも戦闘の余波なのか、前面のガラス部分に大きなヒビが入っている。たぶんライナーが、黒タイツの体をここに叩きつけたとかだろう。

 これはもう使えないな。ライナーのせいで。オレのせいではなく。よし。


 コンセントを引き抜き電子レンジを持ち上げ小脇に抱えると、床に転がっているプラスチック製のコップも手に取った。


「これでも喰らえ!」


 リビングに戻ってコップを投げる。正直、コントロールは良くはない。自覚は十分にあったから、ライナーみたいに頭に当てるのは自身がなかったから、狙いを変えた。

 フィアイーターの足元めがけて投げた。足に当てるのが目的ではない。


 バーサーカーのパワーによって、軽いプラスチックが大きな音を立てて割れた。床も多少砕けた。


「フィアッ!?」


 足元で何か起こった。そこにフィアイーターが一瞬意識を取られた瞬間にセイバーが踏み込む。


「余所見してんじゃないわよ! セイバー斬り!」

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