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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第13章 鬼

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13-39.民家の中

 豚座の家まで駆け出すけど、いつもよりも感覚が違った。膝のサポーターと靴のせいだ。シークレットシューズは、これを履いて運動することを前提に作られてない。

 走ることには慣れているけれど、それ故に普段との違いを強く感じた。


「ビート! シャイニーバーサーカー!」


 背後でアユムが叫んでいた。変身は一瞬で完了。


「闇を砕く鋼の意志! 魔法少女シャイニーバーサーカー! よっしゃ悠馬行くぜ!」

「家の外に転がり出た奴から殺してくれ!」

「おう!」


 バーサーカーが俺を追い抜いて黒タイツへ接近。奴が反応する前に腕を掴んで引っ張り、さらにぶん回して家の壁にぶつけた。

 黒タイツを殺せたのはいいけど、壁に微かにヒビが入る。


「あ、やっちまった」

「気をつけろよ」

「わかってるって!」


 豚座という男は気に入らないが、この家の持ち主である両親には罪がない。だから戦いの余波で家が破壊されるのは避けたい。

 とはいえ、この家が今から甚大な被害を受けるのは間違いなくて。


「フィー!」

「フィー!」

「おっと。おいでなさったか」

「敵を広範囲に散らばらせたくない。家の中だけに戦いを封じ込めよう」

「わかった! おら! 死にやがれ黒タイツ!」


 広範囲に被害を出さないために、この家には犠牲になってもらおう。


 玄関のドアを開けて黒タイツが出てきたのを、バーサーカーが真正面から迎え討つ。先頭の一体に強烈な膝蹴りを食らわせて昏倒させ、後続を巻き込ませながら倒した。


「悠馬さん!」


 ラフィオに乗ったハンターの声。少し遅れてライナーやセイバーもやってきた。


「ねえ悠馬。ここって」

「豚座の家だ。なんの因果かここの家の中に出た。ライナー、勝手口があるはずだから、そこから外に出ようとする敵がいたら倒してくれ」

「わかった! この家から出さないってことだね!」

「じゃあ僕とハンターはあの窓から敵を狙う。いなくなったら窓から入るよ」


 封じ込めの方針をみんな理解してくれたようだ。ライナーは家の裏手に周り、ラフィオは家の前の塀に飛び乗った。


「うわー! やっぱり出てきてた! とりゃー! 覚悟! そしてここからキッチンに入ります!」


 姿は見えないけど、ライナーの声は聞こえてきた。独り言というよりは、こっちに状況を教えてくれてるのだろう。


「悠馬、わたしたちも行くわよ」

「ああ。さっさと終わらせよう」


 玄関から出ようとしていた黒タイツたちは、バーサーカーが怪力により押しとどめていた。しかしその横からすり抜けて出ようとする数体を、セイバーは順次斬り捨てていく。俺もまた一体の首根っこを掴んで、家のドアに思いっきりぶつけた。


 扉の角になってるところに頭部が直撃した黒タイツは一瞬で死亡。


 バーサーカーが先陣切って入っていくのに続いて俺とセイバーも建物内にお邪魔させてもらう。古い感じがするが、普通の民家って感じの内装だ。


 玄関でシークレットシューズを脱ごうかとも考えたけれど、床はフローリング敷きだった。靴下で戦ったら滑るかもしれないし、それまで脱ぐ時間はない。破片が床に散らばっていたら怪我するだろうし。

 だから土足で失礼させてもらう。


 案の定、リビングに踏み込めば黒タイツが暴れた後なのか、割れた花瓶がフローリングに散乱さていた。


「おら! 死ね! さっさとぶっ倒れろ! 死にたい奴から来やがれってんだ馬鹿ども!」


 教育的には良くない言葉を吐きながら、バーサーカーはリビングに置いてあった椅子を振り回して黒タイツたちを圧倒していた。

 リビングからは仕切られて見えにくいキッチンから、食器がバリンバリンと割れていく音がする。あと黒タイツの声も。ライナーが頑張ってるのはよくわかる。


「フィァァァァァァ……」

「おっと。主役のお出ましみたいね」


 背後から足音が聞こえた。振り返ればフィアイーターがいた。


 フィアイーター、なんだと思う。顔がそうだから間違いない。材料になったのは……フィギュアってやつなのかな。


 ファンタジー系のキャラクターのフィギュアらしい。実用性はあんまりなさそうなタイプの鎧をまとっていて、一方でスカートは短くてそこは防御力を捨てているという謎の格好。胸が大きなキャラらしく、鎧も胸の曲線に合わせた作りをしている。このキャラはこの鎧を特注したのかな。

 見た目としてはかわいくて魅力的なのかもしれないけど。


 でも、肝心の顔がフィアイーターの恐ろしい形相に変えられてしまったなら台無しだ。


 そんなフィアイーターは剣を装備していた。鎧を着てるのもあって、女騎士って感じの格好だな。


「おら! これでも喰らえ!」

「フィッ!?」


 バーサーカーがリビングで暴れていた黒タイツの一体を掴んでフィアイーターに投げつけた。


 フィアイーターの方はそれが味方である意識は希薄なようで、あっさり剣を振って迫る黒タイツを斬り捨てた。


「なるほどね。なかなかの使い手と見たわ。悠馬下がってて」


 セイバーが剣を構えながら前に出て、フィアイーターと対峙。向こうも同じ武器の使い手がいると知って、真正面に剣を構えた。


「バーサーカー。セイバーが危なそうなら、援護に回ってくれ。俺は二階に行く」

「おう。わかった」


 リビングの中で武器になりそうなものを探すバーサーカーに後は任せて、俺は階段を見つけて駆け上った。上からも物音が聞こえたからだ。

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