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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第11章 クリスマス回

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11-45.暴走トラック

 バスの外には、バーサーカーが壊して取り外しては外に放り投げた座席がいくつか転がり、無残な姿になっていた。

 俺はそのひとつを手に取ってバスの反対側に回る。


 そっち側では、ラフィオとティアラの戦いが繰り広げられていて。


「おい! その武器でこいつを殴り殺してくれ!」


 ラフィオがちょっと期待した声で言う。キエラもそれを予見したのかすぐに俺から距離を取ったから、攻撃は届かなくなる。


「ごめん! 後でな!」

「いいよ!」


 ラフィオの言葉を背に、俺は反対側の前輪にも椅子を差し込んだ。そして上を見る。


 バーサーカーが運転席をバキバキと音を立てながら破壊して、窓を割りながら外に放り投げた。俺の頭上からガラスの破片と椅子が降ってきたから、慌てて横に退避。

 俺のちょっとしたピンチなど全く気づいてないバーサーカーは、壊した椅子の下を覗き込んで。


「くそっ! ねぇじゃねえか! どこだよコア!? ……ここか?」


 と、運転席にあるハンドルに目をつけた。正確には、その向こうにあるメーターや各種の表示がされるパネル。


「よっしゃ! ここだ!


 と、ハンドルを引きちぎり、そこにできた穴に指を突っ込んで音を立てながら無理やり広げていく。

 バスが無残な形になっていき。


「あった! コアだ!」


 破壊活動の結果、ようやく見つかったらしい。角度的に俺からはその様子はよく見えなかったけど、バーサーカーがパンチをしたら車体から黒い粒子が抜けていく。生えていた腕も消えた。バスのフィアイーターが、ただの壊れたバスに戻る。


 とりあえず一体は倒した。


「バーサーカーよくやった! 他の敵に向かってくれ!」

「人使い荒いな! オレ、めちゃくちゃ頑張ったんだからな!」

「わかってるよ」


 俺だって休みたいけど、すぐに戦いに戻るんだから。


 バーサーカーが放り投げた運転席を持つ。やっぱり重いな。振り回すのは無理がある。けど、敵の頭をぶん殴るにはちょうどいい。

 キエラとラフィオが噛み合わない会話をしていて、ラフィオはティアラと相変わらずのぶつかり合いをしていた。


 そこに視線を向ければ、キエラもそれに気づいて身構えるように半歩下がる。しかし彼女の視線はラフィオの上のハンターに向いていて、こちらにはそこまで注意は行ってない。


 キエラかティアラ。どちらかをこれで殴れば相当なダメージになるし、あわよくば殺せる。そう考えながら一方踏み出したら。


「危ない!」


 と、ハンターが明らかに俺を見ながら叫んだ。


 直後、俺に向かって暴走トラックと化したフィアイーターが突っ込んできて、俺は慌てて椅子を放り出して逃げる。

 回避はなんとか成功。直前まで俺がいた位置をトラックが通過して、壊れたバスに激突してさらに壊してしまった。


「うぎゃー!?」


 まだ中にいたバーサーカーの悲鳴が聞こえたけど、大丈夫そうだな。



――――



「ねえ! よく考えたら! わたしだけでこんな大きなフィアイーターなんとかするの無理じゃないでしょうか!?」

「フィアアアァァァァ!」

「うるさい! あんたに言ったわけじゃないから!」

「フィー!」

「あんたも違う!」


 敵の数が多いということで、単独でトラックのフィアイーターと対峙することになったライナーは、誰ともなしに文句を言いつつ黒タイツを蹴り殺した。


 フィアイーター単体でも、ひとりで相手するには大きすぎる。こんな大型トラック、蹴りだけでなんとかできるものじゃない。走りで翻弄しようにも、こいつの目的はライナーを倒すことではなかったし。

 どこかにいる優花里さんを見つけて殺すこと。それを阻止するのがライナーの当面の目的なんだけど、この巨体を止めるなんて無理だ。

 しかも黒タイツもいるし。


「フィー!」

「ああもう! 邪魔!」


 黒タイツをフィアイーターの方へ蹴飛ばしながら、そのフィアイーターの動きはいまいち邪魔できてないことに苛立ちを覚える。

 側面から攻撃してくる黒タイツも邪魔だし。人手が足りないから仕方ないのかもしれないけど。


 すると、都合よく人手が来てくれた。


「ライナー、僕の力が必要かい?」

「先輩! はい必要です! わたしの背中を守ってください! できれば、トラック止めてください!」

「トラック止めるのは僕には荷が重すぎるかな……黒タイツは任せてよ」


 赤い魔法少女のコスプレをした剛先輩がトンファーを持って駆けつけてきた。近くにいる黒タイツたちを次々に殴り倒していく。


 頭を殴ればかなりのダメージがあり、黒タイツたちは痛みに悶えて地面に横たわる。剛はそいつの首にトンファーを引っ掛けて、さらに体重をかけて折ることで確実に殺していた。

 よし、これでだいぶ楽になる。自分はトラックのフィアイーターに専念して、こいつを倒そう。


「フィアアアァァァァ!!」

「いやいややっぱり無理だって!」


 大きさというか体重が違いすぎるそれが、こっちに突進してきた。もちろんライナーに止められるものではない。

 脚力には自身があるから追いかけっこはできるし、力任せのキックもできるだろう。けどこの大きさの相手だとさすがにこっちが負ける。


 というわけで回避。するとトラックはバスの方へと突っ込む動きをした。


 ちょうどそこに悠馬がいた。なんとか避けたようだけど。

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