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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第11章 クリスマス回

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11-25.のんびりした時間

 気がつけば、一時間ほど寝てしまっていたらしい。そんなに疲れてたのか?


「よう。少しは休めたか?」

「ああ。ありがとう」

「悠馬、めちゃくちゃ気持ち良さそうに寝てたぞ」

「寝顔見るなよ」

「あはは! 悪い悪い! けど悠馬がのんびり過ごせてオレは嬉しい」

「アユムも嬉しい、か」


 その感覚は、なんとなくわかる。


 とはいえいつまでもアユムの膝に頭を乗せてるわけにもいかず、俺は座り直した。アユムだって長時間の正座はきついだろうから少し足を崩そうとして。


「くあー! 痺れた!」


 思ったより足に来ていたらしい。そのまま転がってしまった。

 デニムの硬い生地が足に食い込んで跡になってるし、それも痛かったのだろう。


「ゆ、悠馬! オレも膝枕してくれ! 足が回復するまで!」

「あー。うん。わかった。でもその前に」

「おう」

「スカートめくれてるから直してくれ」

「おおおっ!?」


 横になった勢いで大きく太ももが露出しているアユムから目を逸らす。見ちゃまずいよな。


 俺も正座になって、これアユムが回復したら今度は俺が痺れるのではという疑念も頭にありつつ、アユムの頭を乗せる。

 人の頭というのは重い物らしいと聞いていたけど、実際にやればそこまででもなかった。


「なあ悠馬」

「なんだ?」

「膝枕、されるのって気持ちいいな。するのも気持ちいいけど」

「そうだな」

「頭撫でてくれないのか?」

「あー……恥ずかしいけど、いいぞ」

「ついでに足もさすってくれ。痺れてるから」

「それはしない」


 さすがにそれはセクハラが過ぎる。向こうからやれと言ってきたとしてもだ。というか、痺れてるのに外部からの刺激を増やすんじゃない。


「撫でるぞ」

「ん……」


 色っぽい声を出すな。やりにくい。


 とはいえアユムの頭を撫でてやると、彼女は心地よさそうに目を閉じた。このまま寝ちゃってもいいぞ。今度は俺が一時間、正座を続けるだけだ。

 というわけで。


「痺れた」

「やっぱりかー。じゃあ、今度はオレが膝枕して」

「無限ループになるぞ」

「だな! ふたりで寝転がるか!」

「うおっ!?」


 アユムが俺の肩を掴んで強引に寝転がせた。アユムもそれに沿うように横になる。


 顔を向き合わせて笑い合い、そのまましばらく過ごした。


 大きな街を前にして、遊び回るでもなく緑地でじっとしてる。なんて贅沢な時間の使い方だろう。


「あー。こういうの、いいな! 楽しい!」

「そうだな。ありだと思う」

「この前の名所とか全然知らないオレだけど、これを提案できてよかった!」

「ああ。さすがアユムだ」

「だろ!」


 最後に大きく伸びをして、アユムと俺は立ち上がり、レジャーシートを片付ける。


「帰りにどこか寄るか? 食事は……帰ったら遥たちが用意してるから避けるか。買い物に行きたいところ、あるか?」

「んー。特に思いつかねえんだよなー。デパートまでなんとなく行ってみるのはどうだ?」

「デパートか。いいぞ」

「地元にはあんなのなかったからな」

「そうか」


 俺からすると、服屋ばかりであまり興味の沸く場所ではない。けどアユムはそういうの、好きになったのかも。

 今もおしゃれしてるし。似合ってると思うし。


「はー。こんなでかい建物がいくつもあるってすげえよなー」


 駅の近くにいくつかある百貨店に入りながら、文明の威容を惜しげもなく口にするアユム。

 東京とか行ったらどうなるんだろうな。俺も実は行ったことないから、もしかしたらアユムと同じように驚き倒れるかもしれないな。


「服屋以外にもいろいろあるぞ。キャラクターグッズとか」

「あるなー。あのネズミのキャラクターショップがあるんだよな」

「アメリカのアニメ映画の?」

「それもあるし、黄色い電気ネズミのショップもある」

「行ってみようか」

「欲しいものあるのか?」

「無くても行くんだよ。気に入ったのがあれば買う。それでいいんだ」

「なるほど……」


 正直、どっちのネズミもあんまり詳しくない。映画はたまに見ることもある。サブスクにあるからな。

 だけどキャラクターに興味があるかと言うとそうでもなくて。


「キッチン用品とかあるぞ」

「ん? そうだな?」

「キャラの絵が彫られてるけど、日用品として十分使えるやつだ。買うか」

「いや、なんでだ」

「料理してて楽しかっただろ?」

「……まあ、確かに」

「これからも、たまにはしたいって思ったか?」

「思った」

「オレも同じだ。いつまでも遥にばっかりキッチンを任せちゃおけない」


 遥以外にも、ラフィオもつむぎもいるんだけど。

 でも言いたいことはわかる。


「遥に教わりながらやることになるけどな」

「それは……まあいい。いつかオレが遥を追い越してやる」


 競うものでもないけれど、やる気があるなら結構だ。


 うちのキッチンに既にあるものを買っても意味はない。無いものがなんなのかは、正直わからない。

 ないだろうって変わった便利グッズを求めるって手もあるけど、キャラクターグッズ売り場だから凝った物は売ってない。


 結局、キャラクターがプリントされた食器をいくつか買った。あとキャラのぬいぐるみも。

 つむぎへのおみやげだ。食器も遥たちにあげることにしよう。俺たちがデートしている間にも、料理を頑張っている遥たちにはお礼が必要だから。


 その上で、これからも料理を教えてくれとお願いする。よし完璧。


 このデパートにはキッチン用品売り場もあるけど、それは寄らないでいいかな。


「ろくに使いもしない便利グッズなんか買っても、遥に怒られらるだけだろうからな」

「だなー。ネズミショップに普通のグッズしか置いてなくて良かったな」

「ネズミが描かれた変な調理グッズは、遥は貰っても困るだろうからな」

「悠馬があげたら、遥なら喜ぶんじゃないか?」

「喜ぶかな。喜ぶだろうなあ……」


 でも、アユムとのデート中に買うのはやめておこう。

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