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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第11章 クリスマス回

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11-22.クリスマスプレゼント

 愛奈にとっては、よくわからないことの様子。


「えー? そうなの? どう見てもウサギのぬいぐるみなのに」

「僕はウサギじゃないウサー。モッフィーだウサー!」

「ウサウサ言ってるのにウサギじゃないのは無理があるっていうか、うわっ! ちょっ! やめなさい!」

「モッフィーキックだウサー!」


 つむぎがぬいぐるみの足を愛奈の顔に押し付ける。ちなみにモッフィーはアニメの中ではそんな技は使わない。


「いいぞつむぎ。そのまま姉ちゃんを部屋まで押し込め」

「はーい」

「うわー! モフモフに襲われてるのに誰も助けてくれないです!」


 日頃の行いのせいだ。


 愛奈は本当に部屋まで押し込まれて、そのままベッドに倒れ込むと寝てしまった。疲れてるなら素直に早く寝ればいいのに、酒を飲むのを止められないってのが厄介だ。


「ほら。つむぎとラフィオも早く寝ろよ。サンタクロースがプレゼントくれるかもしれないから」

「あ! たしかに! モッフィー、今夜は早く寝ようねー」

「僕もプレゼント貰えるのかい?」

「わからないけど、サンタクロースが見てたらな」

「そうか。見てるといいな」


 どこか浮かれた気分を隠せないでいるラフィオは、寝る前に歯を磨くために洗面所へ向かう。つむぎもモッフィーを抱えながらついていった。


 そうだ。明日はクリスマスだ。みんなが楽しめる日。


 キエラの動向は気がかりだけど、それはそれとして楽しい日を過ごしたい。





 翌朝。起きた俺は肌寒さを感じながら、リビングのエアコンをつける。少しすれば暖かくなるはず。

 遥とアユムも同じらいの時間に起きてきた。パジャマ姿で少し眠そうにしながら、キッチンに並ぶ。


 卵焼き、茹でたウィンナー、唐揚げ。サラダ類。きんぴらゴボウ。その他お弁当っぽいものを遥の指示に従って作っていく。

 俺が前に作っていた料理の数々と比べれば、まだ手が込んだメニューだ。けど思ってたより作りやすかった。


「悠馬、前に言ってたよね。料理は手を抜くのが正義だって。それは正しいんだよね。悠馬は手を抜きすぎてたけど」

「そうだな。さすがに楽しすぎてた」

「楽するのはいいんだよ。まずは基本のやり方を身に着けなきゃね。その上で、どう手を抜いたりアレンジしたらいいかを自分で考えていく。型破りっていうのは、基本の型をわかってるからできるんだよ」


 卵焼きを苦労しながら作る俺に、遥が背後から話しかけてきた。

 ありがたいな。こんな、教えを授ける師匠みたいなこと言えるんだな。ちょっと意外だった。


 勉強ができない馬鹿な遥のイメージが強いからな。これと同じ感じで、授業も真面目に受けてくれれば嬉しいんだけど。

 あと。


「おい遥。悠馬にくっつくな」

「えー。でも松葉杖で体支えるより、こっちの方が楽なんだもん」

「普段はそんなことしないだろ」

「いいじゃんいいじゃん。アユムちゃんだって後で好きなだけ、こういうことできるよ!」

「やらねえよ! もっとこう、普通のデートがしたいんだよ」

「これは普通だよー」


 遥が俺の背中に抱きついていた。胸が当たってる。


 俺に調理法の指導をするとかそんな理由でくっついてるらしいけど、明らかに無意味だ。俺より背の低い遥は、俺の肩に手を引っ掛けて背伸びしつつ、そこから料理の様子を見ている。

 片方しかない足で背伸びしても辛いだけだろうから、さっきから体がプルプル震えている。


 何が楽だよ。絶対こっちの方が疲れてるだろ。


「ほ、ほら。アユムちゃんそろそろウィンナー茹で上がったんじゃないかな! 茹で時間も大事だよ!」

「はいはい。わかったよ」


 そんな体勢でキッチンの様子を見てる遥。なんとか出来てるのは立派だ。楽にやればいいのに。料理は楽するのが正解とはなんだったんだ。

 それでも遥は俺の背中を譲ることなく、無様にしがみつき続けていた。


 仕方がないから、このまま料理を続ける。すると興奮した声がリビングに飛び込んできた。


「おい! みんな! 聞いてくれ! サンタクロースが僕にも来た!」


 なにか大きな箱を抱えたラフィオが駆け込んできた。


「見てくれ。昭和の時代に放送された伝説のテレビドラマ、永遠の逃避行のBlu-rayBOXだ。当時のメイキング映像やスタッフのインタビュー映像なんかの貴重な特典映像が満載のコレクターズエディションだ!」

「そ、そうか」


 恋愛ドラマが好きすぎるラフィオは、ついに昭和のドラマにまで興味を持ち始めたらしい。伝説のドラマらしいけど俺は聞いたことがない。有名なのかな。

 特典映像はサブスクでは見られないことも多いし、ソフトを入手する意味は十分にあるか。


 サンタクロースは、そんなラフィオの要望を読み取ったらしい。さすがよく見守っている。


「ラフィオラフィオラフィオ! サンタさん来たよ! キングカピバラシリーズのBlu-rayBOX!」


 つむぎも大きな箱を抱えてやってきた。


「モフイラムって映画会社が作ってる、おっきなカピバラが暴れる映画シリーズか全部入ったやつです! サンタさんすごいプレゼントくれました!」


 でかいカピバラか。ちょっと想像がつかない。


 パッケージを見せてもらった。『キングカピバラ』『キングカピバラvsジャイアントシャーク』『キングカピバラvsキングオクトパス』『キングカピバラ軍団の逆襲』『キングカピバラとフライングアルバトロスの冒険』などなど。


 かなりの作品が作られてるようだ。いずれも低予算CGのモンスターと、無名の演技力の低い役者しか出てこない安っぽいB級映画ながら、モンスターが遠慮なく暴れる様に惹かれるファンが多いらしい。

 サメ映画なんかも色々出しているらしいな、このモフイラムという映画会社は。


 こういう作品はサブスクでの配信も少ない上に配信停止も多いから、ソフトを持つ意味は大きいのだろう。


 なぜか映像作品のソフトを揃って貰ったちびっ子たちは、どっちから見るかをワイワイ楽しそうに話しながらソファに並んで座った。


 クリスマスが楽しく過ごせそうで良かった。

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― 新着の感想 ―
素直にプレゼントを喜ぶラフィオに可愛さを感じます! あと、悠馬に料理の極意(?)について語るつむぎが少し大人っぽいです。
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