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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第10章 秋の学校行事

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10-47.お化け屋敷作り

「うー。お姉さん、もう一回お風呂入ってもらえないでしょうか」

「お断りよ。遥ちゃんも早く入りなさい」

「はーい。……お姉さん、文化祭の本番、覚悟しててくださいね」

「楽しみに、じゃないのね」

「はい! 覚悟です!」

「いいけど」


 遥に付き合ってあげる姿勢だけは尊敬できる。


「えへへー。わたしたちも行くんだよね、文化祭」

「ああ。そうだな。僕は一応、文化祭の脚本担当だから。出来栄えは確認しておかないとな」

「ラフィオすごいね。大人の文化祭に参加するなんて」

「変な言い方だなあ。高校生はまだ大人ってわけじゃないよ。十分に年上ではあるけど」

「お化け屋敷、あれよりは怖くないといいね」

「それはうん。そうだ」


 つむぎは、今日のところはモフモフは諦めたらしい。ラフィオの代わりにぬいぐるみを抱きしめていた。


 さすがに、あのお化け屋敷ほど怖くはならないはずだ。




「さあ! みんな張り切っていくよー。舞台は昭和の頃から放置されている民家。元は有名な外科医が住んでいるお屋敷だったんだけど、ある時からこのお医者さんは狂ってしまって、医療ミスを装って患者をわざと殺す、殺人にのめりこんでしまったの。やがて殺された患者たちの怨念がお医者さんを殺すんだけど、屋敷には今も怨霊が蠢いていて訪れた人を呪い殺そうとする! そんな設定です!」


 放課後。ブレザーを脱いで白装束に着替えた遥がクラスのみんなに指示を出す。


 ラフィオが考えた設定も、そこからどんな感じの演出にするかも俺たちで話し合って決まっていた。

 あとはみんなで作るだけ。どのおばけを誰が演じるかのシフトや、おばけ以外の驚かせる仕掛けをどう分担して作るかも決めていかなきゃいけないが、完成への道のりは見えていた。


「コンセプトは、明るくて怖い。天井の明かりをちょっと覆って、真っ暗じゃなくて薄暗い感じにするの。周りは見えるけど、それが怖さを演出するみたいな。教室中に怖さを思わせるものを置いて。それから、怖くないものも少し!」

「怖くないものも? どういうこと?」

「いい質問だね、るっちゃん! 怖くない物を置いて、自然にお客さんの視線をそっちに向かせて、そしておばけがバーンと出てくる!」

「それは怖い!」

「あとは、床だけ見てれば怖くないって考えてるお客さんのために、足元にも絵を描いたり。血を垂らしてみたりするの! 逃げ場を無くしちゃいます!」

「血を垂らすってどうするの? 床を汚すのってまずくない? お客さんの服を汚しちゃうかもしれないし」

「ふふん。考えてます。悠馬!」

「はいはい」


 あのお化け屋敷だと、客のかなり前に赤い液体を落としてたな。そして客が過ぎた後に拭き取ってたんだと思う。


 こっちはもう少し回収が簡単なやり方をしよう。というわけで、黒いビニール袋を裁断してさらに小さな袋にして、それに水を入れて縛った物を用意する。手のひらに乗るような小さなサイズだ。

 上から落とせば、ボトンと音がして黒い水滴が床についたように見える。


「これで行こうかなって。薄暗くすれば血に見えます。なんなら照明もちょっと赤っぽくする予定だし。大小サイズ違いを作れば、割と血に見えるよ。もしビニール袋だとわかっても人の脳は血と認識してくれるはずです! たぶん!」


 そこはちょっと自信無いのな。


「そして! お客さんがなんだろうと思って上を見るとおばけがいるの!」

「なるほどー」


 それは怖い気がする。


「あとはお化けの衣装とか作ります! こういう白装束とかじゃなくて、普通の私服が血で汚れてるとかボロボロになってるみたいな格好でいこうかなって! あとメイクで血とか青白い顔を演出する方針で! それで行こう!」

「うん! 怖そうなのが出来る気がしてきた!」

「やるぞ。一番怖いお化け屋敷作ってやる」

「白装束の幽霊が出ないなら、なんで神箸はあんな格好してるんだ?」

「小さいビニール袋の血って、もう少し見せ方考えないと血に見えないような気がする。工夫するか」

「クライマックスの片足のおばけがは遥ちゃんがやるんだよね? 遥ちゃん以外のシフトは誰がやるの?」

「俺、この文化祭で彼女作るんだ……」


 それぞれが一斉に作業に入っていく。普段とは違う雰囲気になっていく教室の様子。クラスメイトと、いつもとは違う作業を一緒にするという非日常感。

 なんだか、わくわくする気持ちもわかってきた。


「いいねいいね。青春だね。はー、楽しい! 実行委員やって良かった!」

「気が早い」

「えへへー。でも、楽しいでしょ?」

「それはわかる。アユムちゃんも頑張ってるー?」

「おう。田舎の学校でも文化祭はあったけど、こっちの方が規模がでかいな。あと学校もやる気がある」

「そうなの?」

「オレの高校、地元の中学生がみんな入っていくからな」

「なるほど。どの高校に入るかの選択肢がないのか」

「そういうことだ」


 都市部だと、私立に行くとか公立に合格するかとか、そんな心配を高校受験の際にすることになる。田舎だとそもそも高校の数がないから、選べない。

 文化祭に中学生が来て高校の雰囲気を見てここに行こうと決める、みたいなのは無いのか。


「うんうん! 都会の良いところだね! アユムちゃんも頑張って、来年の後輩を楽しませてここに来たいって思わせようね!」

「おう! この高校に入ろうって考えてるやつを死ぬほど怖がらせればいいんだな!」

「そういうこと!」


 怖がらせたら、入学したくなくなるんじゃないか? まあいいけど。

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