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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第10章 秋の学校行事

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10-24.姉と混浴

 小さい頃は日焼け跡が目立ってた気がするけど、今はそうでもない。走り回ることを咎められていたんだろうな。


 水着のブラは正面から見れば大胆だけど、大きめの胸を支えられる構造にするため背中側はしっかりとしたバンドと金具で留められていた。

 だから雑に洗っても水着がズレる心配はない。雑に洗う気はないけど。


 遥の時と同じように、優しく触れた。


「あひゃっ! な、なんだこれ! ははっくすぐったい!」

「静かにしてろ」

「無理だろ! あはは! んんっ! ひゃあっ!?」


 なんか、いけないことしてるみたいな気分になってきた。普通のことではないのは間違いないけど。


「ちょっ! くすぐった! やめっ! でもなんか気持ちいいような」

「はい。終わりだ。流すぞ」

「おあっ!? 終わり……?」


 顔を赤くしたまま、物欲しそうな目を向けてきた。


 そんな顔されてもやらないからな。こっちの気がおかしくなりそうだから。

 アユムにシャワーを当てて泡を洗い流して、揃って風呂場から出た。




 三人目。愛奈の場合。


「なあ姉ちゃん。なんか狭いんだけど」

「えー? それはお姉ちゃんの胸が大きいから圧迫されて」

「姉ちゃんの姿勢の問題だ」

「ふぁい……」


 浴槽に寄りかかって足を伸ばし、背中も壁にぴたりとつけるわけではなく寝転がるように体を斜めにした姿勢のおかげで、対面に座る俺が窮屈なんだよ。

 遥もアユムも、ちゃんと座ってたもんな。そういう気遣いができていた。


「いいじゃない。こうやって足を伸ばすのがお風呂の醍醐味でしょー?」

「俺が伸ばせないんだよ。少しは遠慮しろ」

「やだ! それに、お姉ちゃんの綺麗な足を近くに感じられて嬉しいでしょ? うりゃうりゃー」

「やめろ蹴るな」


 俺の体に足を伸ばして絡めようとする愛奈。俺はその足首を掴んで、足裏をくすぐった。


「ひゃわっー?! ちょっ!? なにすんの!?」

「綺麗な姉ちゃんの足を近くに感じてるんだよ。姉ちゃんが言ったことだろ?」

「そ! そうだけど! ひゃんっ! ちょっ! やめっ! はゃっ!」


 逃れようと暴れて、バシャバシャと水飛沫があがる。


 しかし愛奈は、変身していなかったら無力な女だ。俺から逃れる術はない。


「許してほしいか?」

「うん! ゆるしっ! 許してください!」

「じゃあ、姿勢を正してちゃんと座れ」

「はい……」


 ようやく俺の窮屈さが解決された。


「ううっ。弟が厳しい……」


 本当に厳しい弟なら、こんなことしないから。


「そろそろ上がるか。姉ちゃん、背中洗ってやる」

「え? いいの?」

「まあ、遥にもアユムにもやったし」

「やったー!」

「おいこら! なんで脱ぎ始める!?」

「だって水着が邪魔でしょ?」


 愛奈の薄い胸を覆う水着は、ふたつの三角形を結ぶのは細い紐だ。それを背中と首の後ろの二箇所でリボン結びして留めている。


 雑に背中を洗えば紐が転がり、結び目が解ける危険があった。だから愛奈も背中には優しく触れるべきだと思ったんだけど、まさか最初から脱ぐとは思わなかった。


「もう。あんまりジロジロ見ないでよ」

「見てない」


 結び目の解けた水着を胸元で押さえて落ちないようにしてる愛奈。俺はそれから露骨に目を逸していた。


「見てもいいのよ?」

「どっちなんだよ。見ないからな。ほら座れ。背中洗ってやる」


 そして、ボディーソープを背中に塗りたくって雑にゴシゴシ洗う。


「ちょっ! 悠馬もっと優しく! 痛いんだけど!?」

「早く終わらせたいからな」

「遥ちゃんたちにもこんな感じだったの?」

「いや。あのふたりにはもっと丁寧にやった」

「なんでよ!?」


 抗議する愛奈は浴室の鏡に対面するように座っていて、曇った鏡には水着を脱いだ愛奈が映っていて。それを見ないようにしながら素早く背中を洗い流した。


「はい終わり。あとは自分で洗え」

「あの! なんか! わたしの扱いが雑すぎではないでしょうか!?」

「姉ちゃんならこれで十分だ」

「なんでよー!?」


 叫ぶ愛奈を置いて、俺はさっさと風呂から出た。




 さすがに長居しすぎた。リビングまで向かってる途中で、軽い立ちくらみがあった。


「君も大変だね。ほら、水を飲め」

「ああ。ありがとう……」

「ゆっくりだぞ。一気に飲むなよ」


 ラフィオが出してくれた氷水を手に取る。温まった体を急に冷やすのは良くないんだったか。


 異世界の妖精のくせに人間以上に人間を知っている気遣いに感謝しながら、ゆっくり飲んでいく。

 冷たい液体が体に染み渡っていく。


「ううっ。混浴ってもっとロマンチックなものだと思ってたのに……」


 バスタオルを巻いた愛奈も戻ってきた。


「お姉さんが悠馬になんか変なことしたんじゃないですか? わたしたちは楽しかったですよ」

「おう。かなり恥ずかしかったけどな。あれは楽しかった」

「またやりたいねー」

「俺はしばらくやらないからな」


 立ちくらみもしなくなった。なんとなく、のぼせてぶっ倒れかけていたのではと思う。

 そう頻繁にやるものじゃない。


「そっかー。残念。けど、アユムちゃんもだいぶ慣れたんじゃない?」

「……なにがだよ」

「水着で過ごすの。これで海に行くのも平気だね! 男子に見られても恥ずかしくないよね!」

「いやいやいや! 恥ずかしいからな!」


 このふたりは元気だなあ。

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