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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第1章 魔法少女チームの結成

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1-48.デートの尾行

「ねえラフィオ。一線を越えるって、どういうこと?」

「お? それは……」

「キスするとか?」

「そうだな。それだ。恋人じゃないとできないことだからな」

「あのふたり、付き合ってるんだよね。なんか憧れるね!」

「付き合ってはないからな。それに。お前に恋は早い」

「ひどい! わたしだって恋ぐらいできるんだから!」

「お待たせ!」


 そんなに待ってないけど、愛奈はきっちり着替えてボサボサだった髪も整えていた。


「短い髪はこういう時に便利なの。さあ、行くわよ!」

「行ってどうするんだい?」

「ふたりがなんか危ない雰囲気になったら邪魔するの!」

「好きにさせてやればいいのに。というか、僕たちまで付き合う必要はなんだい?」

「手伝って!」

「いいじゃんラフィオ。楽しそうだよ。一緒に行こ?」

「この魔法少女たちは駄目だ。まともなのが僕しかいない」


 三人が家を出た時、廊下から悠馬と遥の姿が見えていた。

 ちょうどバスに乗ったところだった。


「追いかけるって、どうするつもりだい?」

「変身するわよ。それならバスくらい簡単に追いかけられる」

「こんなつまらない理由で魔法少女の力を使うなんて」

「ライトアップ! シャイニーセイバー!」

「デストロイ! シャイニーハンター!」

「こいつらは!」



――――



「混んでるな。日曜日だから当然だけど」

「ちょっと前に怪物が現れたとは思えない人出だねー。噂だけどさ、魔法少女がお店を褒めたから、ここの知名度が上がったらしいよ」

「マジかよ」


 セイバーのあれ、効果あったんだ。


「まずは服だね。新しいスカートほしいな」


 俺は自然と、遥のスカートに目が行く。

 持ってるじゃないか。


「新しいのがほしいんです!」

「なるほど」


 個人の意見だ。尊重すべきだな。


 スカートの方が、障害が見えて助けてもらいやすいというのは、前にも説明された。

 見やすいというならば。


「つむぎちゃんみたいな、ショートパンツはいいかもね」

「似合いそうだな、そっちの方が」

「えー? そう? 悠馬が言うなら試してみよっかなー」


 こいつ、癖なのかアピールなのか、欠けている左足をよく動かすから。時々目のやり場に困るんだ。


「えへへー。ペアルックとかもしたいな」

「それはやめろ」


 恋人じゃないんだから。たとえ、そういうことになったとしても。



――――



 悠馬と遥のデートを、ラフィオたちは遠巻きに尾行していた。


 もちろん変身は解いている。そしてラフィオはつむぎに掴まれたままだった。

 傍から見れば、休日にお買い物をしている年の離れた姉妹に見えるかな。それか親戚のお姉さんに連れられた子供とか。親子って年齢差には見えないはず。

 そしてラフィオは、妹の方に抱きしめられてるぬいぐるみだ。


 小学生も高学年になったら、ぬいぐるみを抱いて出歩くのはさすがに変だぞ。そんなラフィオの想いは届かなかった。


「楽しそうね、あのふたり」

「そうですねー。ねえラフィオ。後でペットショップ行かない?」

「嫌だ。お前にモフモフされる動物がかわいそうだ」

「もー。ラフィオってば素直じゃないなー」

「素直なんだよ。ずっと素直に言ってるんだよ」

「後でプリン買ってあげる」

「本当か!?」

「あんた、本当にプリン好きなのね」


 愛奈がラフィオを見ながら、少し呆れたような口調で言う。同時に、微笑ましいものを見るようでもあった。

 自分の個人的な感情から尾行しているのに付き合ってくれてることへの微笑みかな。それとも、子供っぽいやり取りに対してか。


「もちろんだ。あんな美味しいものは他にない」

「じゃあ、いっぱい買ってあげるね! だからモフモフさせて」

「それは……」

「本気で迷ってるあたり、モフモフされることはそんなに嫌じゃないの?」

「嫌に決まってぐえー」

「もー。ラフィオはちゃんと、ぬいぐるみのふりしなきゃ駄目だよー?」

「だったら、もう少し優しく扱え。それか人間の姿にさせろ」


 ラフィオの抗議は、やはり届かなかった。


「ふたりとも。遊んでないで行くわよ。見失っちゃう」

「遊んでないからな。僕は常に真剣だからな」



――――



「どうかな? こういうの似合う?」

「あー。俺にはよくわからない。けど可愛いと思う」

「こっちと、どっちが好き?」


 正直に言えば、違いがわからなかった。


 若い女性向けの服が並んでいる店舗で遥が提示した、同じ色同じくらいの丈の二枚のスカート。違いがあるらしい。

 なるほどよく見ればデザインの差はわかったけど、じゃあどっちが遥に似合うかなんて、わからない。

 男の服装にすら興味が薄いのだから、女のファッションに対する見解を求められても困る。


「もー。悠馬の前じゃ選び甲斐ないな」

「ごめん。本当にわからない」


 というか、服の選び甲斐ってなんだ。そういうものがあるのか。


「もう少し、周りに関心持ったほうがいいよ」

「そうか。持ってないわけじゃないんだけどな」

「ファッションとか料理とか、興味なかった?」

「なかった」

「そっかー。そこからだね。おいしいもの食べて、かっこいい服着て、人生を楽しもう! 悠馬は素材がいいんだから、似合う服着たらきっとモテるよ」

「そうか?」

「でも、あんまり女の子から人気集めちゃ駄目だからね!」

「どっちだよ」

「じゃあ、ちょっと試着してくるから、悠馬はちゃんと感想聞かせてね!」

「おい。質問に答えろ」


 遥は愉快そうに笑いながら、試着室に消えていった。

 車椅子で試着ってどうやるんだろうな。器用だし片足は普通に動くから、問題なくやってのけるんだろうけど。

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