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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第10章 秋の学校行事

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10-21.もうすぐ修学旅行

「お姉さん、昼間はなにして過ごしてたんですか?」

「ベッドに寝転がって、ずっとウトウトしてた。お昼ごはん食べてからは、テレビ見てた」

「駄目な人ですね……」

「あと、もし今フィアイーター出たら面倒だろうなって考えてたわ。出ないようにお祈りもした」

「わたしたちのお出かけが中断されるの、心配してたんですか?」

「それもあるけど、遊園地から離れた所に出たら、しばらくわたしひとりで戦わなきゃいけないじゃない?」

「まあ、それはそうですけど。……その心配ですか? さすがに、その時は急いで駆けつけますよ」

「今日みたいなお出かけはいいのよ。でも、もうすぐあなたたち修学旅行でしょ?」

「あー……」


 文化祭の準備もしているけど、その前に確かに修学旅行がある。


 飛行機に乗って沖縄まで行って、なんか勉強したり遊んだりするだけの行事。楽しそうだけどやることはそんなにないから、あまり気に留めてなかったけど。

 俺も遥もアユムも県外に出るし、もしフィアイーターが出てもすぐに駆けつけられない距離だ。


「出てこないことを祈りましょう。あと、出てきた時はわたしとつむぎちゃんとラフィオと樋口さんで、なんとかするしかないわねー」


 祈るだけではなく、万一の時は戦う覚悟をしているあたりは、ちゃんと年長者なんだよな。


「僕は修学旅行に行けないのかい?」

「ラフィオはわたしとお留守番だよー。あ、来年わたしの小学生で修学旅行あるよ! その時は一緒に行こうね!」

「あー。うん。わかった。いいとも。そうか、つむぎと旅行か」


 しばらく先の話だけど、変なことするなよ。




 お化け屋敷の詳細を詰めていく俺たちの活動をよそに、クラスの雰囲気はだんだん修学旅行モードになっていった。


 修学旅行は基本的に、学校側が色々取り決めて行うもの。生徒のやることといえば、班分けと自由行動時間の計画ぐらいだ。

 それでも、クラスが賑やかになっていくのがわかる。


 海で遊ぶ日も設けられていて、クラスメイトの水着姿に思いを馳せる男子も結構な数を見かけた。


「わたしと悠馬は夏合宿でお互いの水着姿見てるから、別になんともないけどねー」


 俺が修学旅行へのモチベーションがあまり上がらない理由を、遥が自慢げに言う。


 あの夏合宿、結構楽しかったからな。酒飲みどもの相手は大変だったけど、気心の知れた仲間と日常を離れて過ごすのは良かった。

 海も好きなだけ入れたし。


 修学旅行がそれより楽しいかは、正直微妙だと思ってる。だからそんなにテンション上がらない。


 遥が自慢した対象であるアユムは悔しそうだけど。


「あー! もっと早く魔法少女になれてたら! オレも悠馬の水着見たかった!」

「俺の水着なんてそんなに気になるか? てか、もうすぐ修学旅行で見れるだろ」

「悠馬の半裸は早く見てぇんだよ!」

「半裸って言うな」


 そう言うアユムだって、クラスの男子からは期待されてるらしい。脱いだらすごいんだろうなって。

 本人には伝えないけど。


「オレだってさ。海辺で水着を着たまま一日過ごすってのやりたかったんだよ。なんか都会って感じがして」

「いやいや」

「都会じゃないから。水着で街を歩いたら通報されるから」

「合宿も、市から出た人里離れた別荘地だからな」

「そ、そうか。でもオレもやりたかったんだよ!」


 楽しかったのは確かだから、それはいいんだけど。


「ふふん。じゃあアユムちゃん。今夜はみんなで水着で過ごそっかー」

「お? 家の中でか? ありだと思うけど」

「じゃあ! 早速放課後アユムちゃんの水着を買いに行こう!」

「おあっ!? なんでそうなる!?」

「セクシーなビキニがいいよね! 愛奈さんが着てたみたいな三角ビキニ!」

「び、ビキニ!? いやそれはオレにはなんかハードル高いってか」

「問答無用! アユムちゃんの水着はわたしが決めるの!」

「なんでだよ!?」


 そして放課後、宣言どおりにアユムは街に連れ去られて、シーズンが終わって安売りされている水着を色々試着させられることになった。

 しかも露出多めのやつばかり。


 そして選ばれたのが。


「じゃーん! これです!」

「いや恥ずかしいって!」


 帰宅して、部屋で着替えさせられたアユムが出てくる。


 変身後の色に合わせた薄緑のビキニ。胸を覆う二枚の三角形には数層のフリルがついているけれど、別に胸の形を隠すものではない。しっかり三角形の形に切られていて、アユムの胸の膨らみをしっかり見せていた。

 ショーツも結構なローライズ。布面積が小さすぎる気がするけど。


「いくつか提案した中で、アユムちゃんがこれを選んだんだよねー」

「そうだけどさ! 遥が見せた中でこれが一番マシだったんだよ! オレはもっとおとなしいやつがよかったのに!」


 両手で必死に体を隠しながら、アユムが顔を真っ赤にして叫ぶ。


 これより大胆な水着ってなんなんだろうな。ちょっと想像できない。


 いや、見たくはないぞ。決してな。


「あははー。アユムちゃんはスタイルいいから、これくらい大胆な方が映えるんだよー」

「だからって!」

「男子からの視線も釘付けだよー。修学旅行で彼氏ができちゃうこともあるかも? 悠馬以外のねー」

「あ! てめぇそれが狙いだな! 他の男とくっつけさせるために!」

「あははー。でも、これくらいの水着の方が都会的なのは間違いないよ?」

「都会的!? そ、そうか。じゃあ、今回くらいはいいか……」


 いや。納得するな。


「というわけで! みんなも水着に着替えましょう! 夏合宿の時みたいに! アユムちゃん、水着で過ごすのなんか気に入ってたみたいなので! またやりましょう! わたしも着替えるので!」

「やりましょう! ね! ラフィオもやろ!」

「はいはい。わかったよ」


 つむぎの水着、ラフィオは見たいんだろうな。夏合宿の時点ではまだ付き合ってないわけで。今見たら違うとかそんな理由で。


 ほかが全員着替えるんだったら、俺もやらなきゃいけないよな。ちょっと楽しいと思いながら、部屋に向かった。


 俺はこのイベントを、修学旅行より楽しいと思っているらしい。

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