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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第10章 秋の学校行事

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10-18.遊園地を楽しむ

 そもそも、プロが考えて潤沢な予算をつぎ込んで作られたお化け屋敷に、高校生が挑んで勝てるとは思わない。

 もちろん参考にすべき所は取り入れるべきだけど。


 本気で取り入れたら、たぶん愛奈は完走できない。


「うん、人がいい感じにお化けを演じてるのが怖かったね!」

「遥としては、どこが参考になると思った?」

「えっと……人が迫力いっぱいに出てくるところとか? ばーん。どどーん! って」


 駄目だ。怖かったことしか覚えてないらしい。楽しみ方としてはそれでいいけど、研究としては全然駄目だ。


「もう一回入るか」

「無理無理! それは駄目!」

「絶対駄目だからな! オレは行かないぞ!」

「わかったから」


 冗談で言ったのに、思ってたより強めの否定が来た。俺だって本気でやろうとは思わないけど。怖かったから。


「だったら、思い出せる限りで怖さの理由を探して文化祭に取り入れるぞ」

「うん。なんか、逃げ場がないっていうのが怖かったよね」

「エレベーターとかな。あと、目のやり場に困るというか」

「それはなんか別の意味になっちゃうね。言いたいことはわかるけど。どこ見ていいかわからないって怖いよねー」

「下を見ればいいと思ったら血が落ちてくるし」

「強制的に上見させてくる仕掛けがあったな」

「ああ。あれは怖かった」

「あと、ロッカーがあるだけて怖くなるのもすこいよね。何かあるって思わせるテクニックというか。うん! なんか怖いお化け屋敷が作れそうな気がする!」


 遥なりに必要なヒントは得られたらしく、元気に言い切った。強引に話題を打ち切ったとも言える。


「よし! じゃあここからはめいいっぱい遊園地を楽しもう! なんか乗り物いっぱい乗って! なんかほら! おとなし目のやつがいいな! 絶叫マシンとかじゃなく!」

「おう! そうだな! オレもジェットコースターの気分じゃなかったんだよ! 別にビビってるわけじゃねぇけど! もっとおとなしいやつ乗ろうぜ!」


 怖さはもう体験したくないのか。気持ちはわかるけど。

 おとなしい乗り物もここにはたくさんあるよな。例えば。


「メリーゴーランド。小さい頃好きだったなー。片足でも乗れる? 乗れるって!」


 馬がくるくる回るのに乗る、遊園地の定番乗り物に遥が向かっていく。


「これ、モフモフっぽい見た目なのにモフモフじゃないんですよね」


 つむぎはちょっとテンション低めだった。


「ねえラフィオ。モフモフになって、馬に混ざって一緒に回ってくれる? わたしそれに乗りたい!」

「無茶を言うな。ほら行くぞ」

「うー……」


 モフモフの見た目でモフモフじゃないものに触れるのは嫌だったらしく、つむぎとラフィオは馬ではなく、それに引っ張られているという設定の馬車の荷台を選んで乗った。

 ファンタジー世界のお姫様が乗るような豪華な装飾の馬車にふたり並んで座ること自体は、ふたりとも楽しそうだった。


 それから遥たちは。


「ひゃっはー! 楽しい!」

「ひぇっ! これ落ちないよな!? 思ったより早いんだけど!」

「しっかりその棒握ってれば落ちないよー」

「もし手が滑って離しちまったら!?」

「足でしっかりお馬さん挟んでたら大丈夫!」


 遥も途中までしかない左足で、しっかり姿勢を保っている。


「アユム、メリーゴーランドも初めてか?」

「いや! 小さい頃に乗ったけど! もっとゆっくりだった気がして!」

「子供って楽しさに夢中になって、怖さに気づかないことあるよな」

「オレも大人になったってわけか!」


 そういうこと、なのかな。


 アユムも、怖がりながらも大騒ぎしていて、なんだかんだ楽しんでるように見えた。




『モッフィー、なんか大きくなっていませんか?』

『なんかこうなっちゃったウサ! でも大きい体楽しいウサ!』

『そうですか……』


 中央ステージでミラクルフォースショーが始まるとアナウンスがあったから、みんなで行ってみることにした。


 普段は手のひらに乗るようなサイズの妖精であるモッフィーが、人間が中に入る着ぐるみサイズに巨大化してしまっていた。主人公である七海が戸惑った様子を見せながら会話している。

 モッフィーをショーに出すには、こうするしかないんだろうな。


「すごい! モッフィー大きい! モフモフだー!」

「そうだな。モフモフだな」

「モフモフしたい!」

「やめろ。ステージに乱入しようとするな」


 何をしでかすかわからないつむぎの手を、ラフィオはしっかり握っていた。


「ミラクルシャークだけじゃなくて、変身前の七海ちゃんの着ぐるみまで作ってるの、こだわりを感じるよね」

「そうか?」

「だって。単純に着ぐるみ作るお金が倍になるじゃん。それを受け入れた上で作るっていうの、良いショーを作ろうっていう気概を感じるよね」

「お化け屋敷の着ぐるみも大量に作ってクオリティを上げるか?」

「お、お化け屋敷の話はしばらくいいかな!」


 お前がやりたいって言ってるんだろうが。


「てかさ。お化け屋敷のお化けは着ぐるみじゃないだろ? よく見えなかったけどボロボロの服? みたいなのを着てた」

「だよねアユムちゃん! 看護師さんとか、入院してる人の服をボロボロにした感じ。……お化けの衣装も作らないとね。あ! それよりミラクルシャークが戦ってるよ!」


 ステージでは、大量の敵が現れていた。七海はミラクルシャークに変身してそれを次々に倒していく。殴る、蹴る、武器の大鎌で切り裂く。敵の首を掴んで、床に頭を思いっきり叩きつける。

 表情が変わらず、少し笑顔を浮かべた顔で残虐なアクションをする様は、アニメで見るのとは別の迫力があった。

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