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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第10章 秋の学校行事

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10-7.文化祭と生徒会長

 さて、そんな感じでクラスとしての調整は済んだ。けど他にも調整しなければいけないことがあって。




「皆さん、クラスでの出し物について、大まかに方向性が決まったことでしょう。では改めて、各種の注意点の確認を」


 翌日の放課後。俺たちは他のクラスの委員と一緒に生徒会室に集められていた。


 生徒会長である三咲さんが話している。心構えみたいなのはすぐに終わって、あとは店の形態ごとの実務的な注意事項だ。

 模擬店をやる時は衛生管理を具体的にどうするか、みたいなもの。


 俺のところみたいなお化け屋敷や、展覧会的な出し物をするクラスはそういう注意事項は聞かなくてもいいのだけど、全員が一度に集められて話を聞く。

 途中で出し物の内容変更をしたがるクラスもいるから、結局はこっちの方が効率的なのかも。


 ちなみにお化け屋敷の注意事項は少ない。来訪者に直接触れるのは禁止。あまり怖がらせすぎるのも良くない。特に小さな子供が来たとして、泣かせてしまったりするのは良くない。

 この程度。


 この数少ない注意事項を、遥は。


「すー……」


 居眠りしてて聞いてなかった。


「くかー」


 アユムも同様だった。


「起きろ」

「うひゃっ!?」

「んあっ!?」


 両隣に座っている女ふたりの背中を軽く叩いて覚醒させた。

 三咲さんはこっちを見て、咎めはしなかったけど微かにため息をついた。それから。


「フミ! 起きなさい!」


 別の居眠りしてた生徒を起こした。

 陸上部の部長で、生徒会長の親友だ。


「おわっ!? あははー。バレてたか」

「当たり前です! 真面目な話をしてるんですから。ちゃんと聞いてください!」

「あははー。でもほら。聞いてなくてもサキ、後でまた教えてくれるし。いいかなーって」

「よくありません! 二度も同じことを説明するのは手間なんです!」


 教えてはくれるみたいな口ぶりだった。


「相変わらずあのふたり、仲いいよね」

「そうだなー」


 いつも一緒にいるイメージだ。それぞれ立場があって忙しいだろうに、それとは別に会っているのだから仲の良さは相当。


「でも、なんで部長がいるんだ?」

「陸上部でも出し物するんだよ。体力検査に挑戦、みたいな感じでグラウンドを借りて毎年してるんだって」

「そうなのか」

「この高校が気になってる中学生なんかにやらせて、見込みがありそうだと言うんだよ。『君、いい体してるね。この学校に入って陸上部で活躍しないかい?』」


 やっぱりそれ、陸上部の定番の誘い文句なんだな。


「と、とにかく! 皆さん事前の準備は計画的に! 抜かりなく! しっかり行って文化祭を迎えてください! わたくしも、この文化祭が生徒会長として行う最後の大仕事。全力でサポートいたします!」

「頑張れサキ!」

「あなたも頑張るのです!」


 もはや漫才みたいな掛け合いにみんなが笑い始めたから、会長は強引に説明会を終わらせた。

 すると遥が早速部長に挨拶しに行く。


「部長! 今年も身体測定体験ですか?」

「そうだよ。けど、それだけじゃない。グラウンドの端で、オープンテラスカフェの模擬店をやろうと思ってるんだ。陸上部カフェだよ」

「陸上部カフェ!? ということは、店員さんはもちろん」

「そう! 陸上部のユニフォームで接客する」


 どんなカフェだ。


「でも、文化祭で外のカフェって珍しいっていうか、初めて聞きました。許可出たんですか?」

「もちろん。サキには事前に相談済だよ。実現のために色々頑張ってくれるってさ!」

「おお! さすが生徒会長!」

「いやー。頼れる友達を持って幸せだよ」


 友達のために頑張らされる生徒会長が、少し不憫だとは思う。


 そんな三咲さんは、脳筋陸上部員たちを見てため息をついてから。


「あなたが女川アユムさんですね。挨拶が遅れて申し訳ないです。わたしが生徒会長の佐伯三咲です」


 最近転校してきたアユムに声をかけた。さすが生徒会長。転校生の名前も完璧に覚えている。


「お、おう。よろしくお願いします。アユムです」

「はい。よろしくお願いします。あなたがこの学校で充実した日々を送れるよう、残りの任期も少なくなってきましたが全力でお手伝いいたします」

「は、はい。ありがとうございます……?」

「ですが、居眠りは程々にしてくださいね?」

「うわー!? バレてた!?」


 そりゃそうだろ。


「双里さん。あなたのクラスの文化祭の成功の可否は、あなたにかかっているようですわね」

「俺に?」

「神箸さんは大まかな内容を決めるのは楽しくやるでしょうが、実際にそれを作ったり必要なものを手配する作業は苦手でしょうし」

「まあ、それは確かに」

「女川さんは……まだ学校に慣れていませんし」


 見るからに性格が雑とか、堂々と居眠りする奴は駄目だとか言いたかったんだろうけど、なんとか堪えたという様子だった。


「なるほどなー。じゃあ悠馬が頑張らなきゃいけないわけだ! 頼んだぜ!」

「アユムも頑張るんだよ!」

「おう! 頑張る頑張る! 力仕事ならやる!」


 お前、変身してない時は力もそんなにないだろ。体を動かすのが好きではあるし、座学よりは得意かもしれないけど。

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