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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第10章 秋の学校行事

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10-3.ラジオ体操の銅像

「姉ちゃん!」

「悠馬! なんかキエラがなんかやってた! あと手伝って! 今日のフィアイーターも硬い!」

「なんかってなんだよ」


 俺とライナーが駆けつけると、セイバーが既にある程度の黒タイツは倒していたようだった。けれど、まだまだ残っている。


 周辺にいた人間の避難は進んでいるようだけど、フィアイーターがそっちに行こうとするからセイバーは阻止しなきゃいけない。だから黒タイツに構ってばかりもいられない。


 広い公園だから、黒タイツたちも広範囲に散らばって人々を襲うことだろう。セイバーひとりじゃ手が足りない。

 そんなフィアイーターだけど、銅像のようだった。薄いズボンとランニングシャツという薄着で、よく引き締まった体つきを見せている青年の像。


 ああ。見覚えがあるな。元は、小さな銅像が体を横に反らす運動をしている、ラジオ体操の像だ、


 この公園はなぜかラジオ体操の聖地となっていて、毎朝老人たちか集まってはラジオから流れる音楽に従って励んでいる。その象徴が人間サイズに大きくなったのが、あのフィアイーターだ。

 つまり金属製で、表面が硬い。セイバーの剣で傷つけられてはいるけど苦戦している。


「ライナー! 公園内を走り回って散らばった黒タイツを片付けてくれ!」

「おっけー! 行ってくる! すぐ戻るね!」


 ライナーなら、この広い公園内を一周してもそれほど時間はかからないだろう。そっちは任せて、俺は車椅子から取り出していたナイフを開き、フィアイーターの近くの黒タイツへ攻撃を仕掛ける。

 セイバーは、鉄の剣でフィアイーターの体をガンガン叩いていた。体に穴を開けるには至ってない。


「レールガン必要そうか!?」

「こいつブロンズだから! わたしの剣はたぶん鋼鉄で、それよりは柔らかいから! なんとか勝てはすると思います!」

「そういうものか?」

「鉄は銅より優れているの! 世界史を習ってると最初の方に出てきます!」


 鉄器文明と青銅器文明か。それはなんか聞いたことがあるな


「その分精錬もしにくいけど! イオン化傾向の並びを見ても明らかです!」

「イオン化……?」

「フィアアアアア!」

「うるさい! 今化学の授業中!」


 フィアイーターは、普段からラジオ体操で鍛えているしなやかな両腕を振り回してセイバーを殴打しようとしていた。


 セイバーもすかさず後ろに引く。そして敵にできた隙を見逃さずに奴の胴体を蹴って下がらせた。


「銅より鉄の方がイオン化傾向が高いし、それよりアルミの方が高いからアルミ精錬は長いこと難しかったの! ちなみに一番低いのは、金です! あれは自然界にそのまま出てくる! 砂金とか!」

「さっきからなんの話をしてるんだよ!?」

「あそこに入るために受験勉強した時に学んだ知識です!」


 と、公園の隣にある模布工業大学を指差した。セイバーの母校だ。


「懐かしさから語っちゃいました! 悠馬も来年は受験生なんだから! こういう勉強もするのよ!」


 なんか急に保護者みたいなことを言い出した。立派だけど今ではない。


 セイバーが蹴飛ばしたフィアイーターが、後ろにいた黒タイツを巻き込んで倒れた。俺はそいつを踏みつけて押さえようとしたけど、別の黒タイツが後ろから襲ってきたから中断。

 そいつの拳をよく見て回避。逆に懐に潜り込んで低い位置で押してバランスを崩させて倒し、ナイフで止めを刺す。


 その間にフィアイーターは起き上がっていたらしい。


「ああもう! 鍛えてるからか動きが俊敏だし重い! 人手が足りない!」

「フィアァァァァ!」

「あと! その憎たらしい顔で鳴くのムカつく!」


 笑顔でラジオ体操に励む、親しみやすい銅像なんだけど、セイバーは理不尽な怒りをぶつけていた。


「お待たせしましたー! バーサーカーもいます! ラフィオもモフモフです!」

「その情報は余計だ!」


 すると、ラフィオに乗ったハンターたちが駆けつけた。ハンターはすぐに、周りの黒タイツに矢を射掛けて次々に殺していく。脅威と見なして一斉に飛びかかってくる黒タイツは、その全員が射殺されるかラフィオに首を噛みちぎられて死んだ。


 一方、バーサーカーは何をすればいいかわからず、おろおろと周りを見ていて。


「バーサーカー、とりあえずラフィオから降りろ。あの怪物をぶん殴れ」

「お、おう! わかった!」


 指示があると素直に聞く。そしてフィアイーターに駆け寄ると。


「食らえ!」

「フィアッ!?」


 その足に強烈なローキックを食らわせた。殴ってはないけど、まあいいか。


「ナイスよバーサーカー! そのまま後ろからフィアイーターの動きを封じて!」

「封じるって!?」

「手足を掴んで動けなくするの!」

「わ! わかった! おいこら! 動くな!」


 さらに数度フィアイーターの足を蹴って、セイバーと対峙するのの邪魔になると思わせた。フィアイーターは後ろにいるうざい敵を排除するべく、振り返ろうと身をねじりながら腕を振る。

 その腕をバーサーカーが掴んだ。渾身の力で押し返した結果、フィアイーターの腕はピンと伸びた状態になり。


「そのまま!」


 セイバーが言いながら剣を振り下ろす。フィアイーターの片腕が根本からばっさりと切り裂かれ、胴と生き別れになった。


「うわぁっ!? なんだこれ!? てか重い!?」


 支えが無くなった銅製の棒は重いのだろう。人の形をした物の四肢を切り落とすという行為にも引いたようで、バーサーカーは持っていた腕を慌てて放り投げた。

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