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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第9章 追加戦士

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9-38.新しい魔法少女がやるべきこと

「田舎で、女の子はこうあるべきって押さえつけられてたのじゃなくて、自分のあるがままに振る舞いたいって願いだよ」

「あー。なるほど。あるがままに……その格好で?」

「この格好になりたいって思ったことはねえからな!」

「自由に暴れまわりたいという希望だろう? 動きやすそうでいいじゃないか」


 ラフィオが小さくなって、つむぎの腕の中に収まりながら得意げな顔を見せた。


「おいてめえ! ラフィオ! お前がこの格好になるようにしたのか!? 恥ずかしすぎるんだよ!」

「格好の細かな意匠は、初めて変身した時にランダムに決まる。僕が意図したわけじゃないよ」

「でも、魔法少女みんなのスカートが短いのはラフィオの趣味なんだよね?」

「……まあ、それはそうだけど」

「おいこら! このエロガキ!」

「ぐえっ!?」


 ミニスカートが趣味である時点で自業自得だ。バーサーカーも同じ発想に至ったらしく、ラフィオの体を強く掴んだ。


「なんとかしやがれ! こんな短いスカートやってられるか! オレはもっと豪快に戦いたいんだよ!」

「ぐえー。離せ……」

「あー! アユムさん……じゃなくてえっと?」

「バーサーカーだ」

「そっか! バーサーカーだけずるいです! わたしもラフィオモフモフしたい!」

「うおおっ!?」


 小さい体で、しかしかなりの勢いで突っ込んできたハンターを見て、バーサーカーは圧の強さに思わず後ずさった。

 が、それでもラフィオの体は離さなくて。


「ぐえー。離せ……。おいハンター、助けろ」

「助けたらモフモフしていい!?」

「……いい」

「やったー!」

「うわっ!?」


 バーサーカーはハンターの背では届かない高さまで腕をかかげてラフィオを持ち上げていたけど、ハンターは軽く跳躍してあっさり奪取。


「あははは! ラフィオ! モフモフ! あはは! あはははは!」

「ぐえっ! モフモフするにしても! もっと優しく!」

「ラフィオ大好き!」

「大好きなら話を聞いてくれ!」


 かわいそうに。自業自得だけど。


「あー。ハンターの方が先輩なんだな。魔法少女の力というか、体の動かし方がうまいというか。オレ、力任せに殴るしかできない」


 最後以外は殴ってすらいなかったけど。


「あの! アユムさん! 魔法少女への変身おめでとうございます! 取材させてもらっていいでしょうか!?」

「うおっ!?」


 澁谷がタイミングを見計らって話しかけてきた。てかマイクを向けてきた。


「あ、それより先にここから退避しましょう。すぐに人が戻ってくるので! さあ電源車に移動して。送りますよ」

「お、おう。ありがとう……」

「あー。わたし仕事が残ってるんだったー。会社に戻らないとー」

「先輩? わたしたち定時上がりしましたよねー?」

「うわ麻美。来てたの!?」

「まあ、一応。戦いの役に立つかはわからなかったですけど。樋口さんにも、魔法少女が増えたって連絡はしました!」

「そっかー。なんか面倒なことになりそうだから、さっさと逃げたかったんだけど」

「面倒なこと?」


 澁谷に送ると言われて何も疑いもせずに電源車に乗り込んだバーサーカーは、変身解除したセイバーの言葉に首をかしげた。


 他の魔法少女たちも変身を解いてるけど、バーサーカーは勝手がわからないのかそのまま。ラフィオを抱いて座席に座ってるつむぎも、いつの間にか車内に運ばれていた車椅子に座る遥もバーサーカーに同情的な目を向けていて。

 そして電源車であるバスは、まっすぐテレビ局に向かっていた。


「ではバーサーカーさん! 改めて取材の件、よろしくお願いします! そのまま変身した状態でいてください!」

「え? ええっ!? いやいや。このまま!?」


 自分だけ変身を解いてない、極端に派手で露出多めな格好をしている事実に赤面をしている。


 けど、それで終わるはずがなくて。


「はい! 弊社は魔法少女への取材を独占して行う契約を持っているので! 新しい魔法少女の登場についてもしっかりと取材させていただきます! インタビュー映像を撮って、明日の夕方には放送します!」

「ほ、放送!? しかも明日!? 今から撮影!? この格好で!?」

「はい! 新しい魔法少女の姿、県民の皆さんにしっかり覚えてもらいましょう!」

「無理無理無理無理! 恥ずかしすぎるって! この格好でテレビなんて!」

「ですがバーサーカーさん。これから戦うのでしたら、嫌でも世間からの注目を浴びると思いますよ!」

「そ、そうなのか……」

「まあ、それは本当だ」


 SNSで魔法少女と検索すれば、彼女たちの写真やファンアートが次々にヒットする。非公式ファンクラブのサイトも大量にある。


「マジか……いや、知ってはいたけどここまでとは……」


 俺にスマホを見せられたバーサーカーは、愕然とした表情を見せた。

 そういうものと知識として知っていても、いざ当事者になれば戸惑うのはわかる。


「なので! 弊社の取材で世間への露出の方向性をある程度決めておくことは重要だと思います!」

「ろ、露出!?」


 慌ててスカートを押さえるバーサーカー。そういう意味ではない。


『あと、本当に魔法少女になっちゃったなら、その心構えも教えないといけないわね。あと、あなたのこと本格的に鍛えないと』


 誰かのスマホから樋口に繋がったのか、そんな声が聞こえた。

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