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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第9章 追加戦士

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9-37.風穴を開けろ

「いた! 悠馬さん!」

「フィアイーターはいるかい?」

「まだ見えない!」


 電源車の屋根に乗っかったハンターとラフィオは、既にレールガンを構えていた。猫のエプロンを銃身にくくりつけて、悠馬が出てきた方へ向ける。

 充電済でコードも入力。いつでも撃てる。


 周りにこんなビルが立ち並ぶ中で使うなんてね。まあ、一発で決めちゃうし周りへの被害なんてないと思うけど。


 悠馬は、店内をちらりと振り返った後で外に出た。つまり、店内では自分がなにかしなければいけない事態にはなっておらず、魔法少女たちに任せれば解決するということだ。

 果たして、真っ黒なボディの巨大なフィアイーターが突き飛ばされるように出てきた。


 そして三人の魔法少女によって壁に押さえつけられる。

 そう、三人いた。


「アユムさん魔法少女になったんだ!」

「みたいだね! ハンター、狙えるかい!?」

「もちろん! 胸のあたりを狙えばいい?」

「ああそうしてくれ! ボディに風穴を開けてくれ!」

「はーい」


 なんとも気楽そうな返事と共に、弾丸が発射された。

 狙いは正確。フィアイーターの胴をまっすぐ貫き、そこに穴を開けた。


「よし! 僕たちも行くぞ! コアを見つけないと!」


 ハンターは既にレールガンを放り出していた。そんな彼女を乗せたラフィオが駆ける。



――――



「フィアッ!?」


 魔法少女たちに押さえられているフィアイーターが悲鳴のような声をあげた。次の瞬間には風穴があいていた。

 黒い体の中も黒だから、穴の存在は見づらい。けど、たしかにあった。


「引きずり倒せ! 穴を広げろ!」

「よっしゃ任せろ!」


 俺の指示にバーサーカーがすぐさま答える。より強く地面を踏みしめながら、肩から全力でタックルを食らわせれば、フィアイーターが大きくバランスを崩して転倒。俺はすかさずかけ寄って、立ち上がろうとする奴の足を押さえた。


「セイバー!」

「ええ! とりあえずセイバー突き! そしてセイバーグリグリ!」


 嫌な技だ。出来た穴に剣を突き立てて、グリグリと動かして穴を広げていく。弾丸が貫通した金属板は内側に凹んで裂け目も出来ているため、横からの力には弱かったらしい。

 剣のグリグリによって、穴はだんだん広がっていくし裂け目も深くなっていく。


「バーサーカー! お前も穴を広げろ! コアを見つけるんだ!」


 フィアイーターの両足をなんとか押さえながら命令する。ラフィオが隣まで来て、俺を手伝ってくれた。ハンターは広がっていく穴の縁のできた裂け目を狙って矢を射て、塞がっていくのを阻害する。

 敵の片腕はライナーがなんとか押さえていた。もう片方はセイバーがグリグリしながら片足で踏みつけている。


 そしてバーサーカーが、穴の縁を両手で掴んだ。


「おりゃあああ!」


 気合いの入った雄叫びと共に、これを無理やり引っ張った。

 メリメリと音をたてながら、円筒形の金属がめくれていく。とんでもない力だ。


「おい悠馬! こいつの中真っ暗で何も見えねぇぞ!?」

「暗い中になにかあるはずだ! 変身する時の宝石と同じようなもの! 小さな黒い石が!」

「黒い石!? 黒い石! あった! これか!?」


 怪物の足を押さえつけるのに忙しい俺には、バーサーカーが見たものを覗き込む余裕はない。けど、フィアイーターの中に異質なものがあるなら間違いなくそれはコアだ。


「砕け! その拳に光を集めろ!」

「お、おう! 光!」


 バーサーカーがどこまで理解しているかは不明だけど、彼女はガントレットのはまった右腕を高く掲げた。

 夕日がそれに当たり、光が補充されていく。


「うおおおお! 喰らえー!」


 今度こそバーサーカーは、ガントレットが装着された腕を正しく使った。

 握りこぶしを作って、コアを殴る。技術なんかは身についておらず、ただ拳を突き出すだけの単純な殴打。


 それでも、聖なる光がコアを砕いたらしい。


「フィ……ア……」


 俺が押さえつけているはずの足が、黒い粒子と共に霧散して消えていった。

 人間よりちょっと大きいくらいの巨体になってたけれど、元は手持ちマイクだ。一気に縮小されていって、押さえつけていたみんなは足場が消えた感覚に揃ってバランスを崩して、転びそうになって踏ん張った。


「おわー!?」


 魔法少女としての感覚に慣れてないバーサーカーだけが、そのまま素直に転んでしまう。カラオケ店の裏口で、大きく手足を広げてうつ伏せに倒れた。


「いてて……」

「ちょっ! アユムちゃん! じゃなかったバーサーカー! スカートめくれちゃってる!」

「うおっ!? やべっ! てか! このスカート短すぎやしねえか!?」


 慌てて立ち上がって、たしかに短いスカートの裾を掴んで下に引っ張ろうとする。そんなことして、何が変わるというわけでもないけれど。


「というか、バーサーカーやっぱりその格好、わたしたちの中で一番大胆よね」

「ですよねー。アユムちゃんの願望が反映されてるってわけでもないですし」

「そういえば、アユムちゃんなんで変身できたの? 強い思いがどうとか前に話してたけど」

「あー……なんだろ? オレにも実はよくわかってない」


 わかってないのかよ。まあ、戦うのに必死だったから、覚えてないってことだろうけれど。

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