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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第9章 追加戦士

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9-27.変身ができない

 二射目を放とうとしたけど、黒タイツたちが襲ってきたからそっちに狙いを変えた。そしてフィアイーター自体も向きを変えてこっちに突進してきたから、ラフィオも逃げなきゃいけなくなった。

 駄目だ。手数が足りない。セイバーもいてくれないと。


 そして、なお悪いことに。


「うわっ! やべえ見つかった!」

「フィー!」

「フィー!」

「おいおい……」


 黒タイツがアユムを見つけてしまった。というか、アユムの隠れ方が下手すぎた。


「誰か! 助けてくれ! いや違う! アタシが戦うんだ! 言葉、言葉……」


 迫ってくる黒タイツを前にして、逃げるのではなく宝石を握りしめて変身を試みる。しかし。


「駄目だ何も思い浮かばねえ! なんでだよ! 戦ってるときならいけんじゃねえのか!?」

「フィー!」

「あぁっ!」


 アユムに迫る黒タイツのうち、一体はハンターが背後から射殺した。けどこっちにもフィアイーターが再度の突進をかけてきたから、もう一体の対処をする暇もなくラフィオは飛び退いた。


 怯えて何もできないアユムに、黒タイツの拳が迫って。


「そういう乱暴は好きじゃないな」


 いつの間に着替えたのか、赤いコスプレ魔法少女が鉄パイプ製のトンファーで拳を受け止めた。


「魔法少女シャイニーファイター、アユムちゃんを助けに来たよ」

「ま、魔法少女……四人目!?」

「ふふっ。ただのコスプレさ、アユムちゃん」

「あ、剛先輩か。その格好」

「似合ってるでしょ?」


 トンファーを持ち替えて鈍器のようにして、黒タイツを殴打しつつ、さらりと会話する剛。頼りになるな。


 襲ってきた黒タイツを倒して、なおアユムの前から離れない。彼女を狙う黒タイツが他にいるから。


 アユムのことはこれで心配なくなった。とりあえず剛に任せればいい。

 そんな、頼れる先輩の背中をアユムは複雑そうに見つめていた。


「そうか。四人目の魔法少女って、もういるんだな……」


 ぎゅっと宝石を握りしめる。けど、言葉は浮かばないようだった。



 それは心配ではあるけど、今は目の前の敵に対処しないと。


 相変わらず、関節部に矢は刺せてない。黒タイツは減らしてるけど、まだ数は多い。

 手数が足らない。あとひとり魔法少女がいないと。アユムがどうしても変身できないと言うなら、頼るべきは。


「うえー。到着。魔法少女シャイニーセイバー、頑張ります……」


 二日酔い真っ最中のセイバーがやってきた。


 これは駄目かもしれないな。



――――



 避難客が大勢いるショッピングセンターの一階から入るのは、ちょっと抵抗があった。酔ったセイバーの姿を一般人の目に晒したくない。魔法少女は、頼れる格好いい存在じゃないといけない。

 だから、バックヤードにある二階の窓をぶち破って侵入した。悪いと思ってるよ。けど、フィアイーターの被害と比べれば大したものじゃないだろ。


「水……」

「後でな」

「水道水!」


 給湯室みたいなスペースがあって、そこで水を補給したセイバーは少し元気になった。そして戦いの場に立つ。


 鉄のトリケラトプスが暴れていた。よくわからないけど、メタルレックスの仲間なんだろう。

 俺たちを視認した途端、メタルトリケラは角をドリルのように回転させて突進してきた。


「わたしの安全宣言ー。回転体には手を出しません! ヨシッ!」

「いきなり何を言ってるんだ」

「製造現場でよくやってるやつ。回転体扱い時には手袋はしません! ヨシッ! あ、これは手袋がドリルとかに巻き込まれて大惨事になりかねないからなのよ。おっと」


 俺をフィアイーターの進路から突き飛ばしつつ、セイバーもドリルによる突きを回避。そして周りを見た。

 玩具売り場だけど、その隣にはキャラクターもの雑貨が売っている。文具やお弁当箱。キャラが印刷されたハンカチやタオルといった布製品。


 手袋が巻き込まれるなら、布製品も巻き込まれの危険がある。


 巻き込んだ時に大惨事になるのは、人間だけではない。ドリルの方も同じだ。


 セイバーはタオルを数枚まとめて手に取って、ドリルに近づけた。布とドリルが接触した瞬間に手を離せば、回転しながら巻き込まれていく。

 布が裂ける音がした。けど、完全に引きちぎられるわけでもなく、ドリルの根本に布が食い込み回転が止まる。


「こんなもんよ」

「姉ちゃん……」

「どう? 見直した?」

「うん。二日酔いの癖に格好いい」

「二日酔いは余計よ。事実だとしても」


 ドリルの動きを止められたフィアイーターは混乱しつつ、なおも尖った角を突き刺そうと突進をかけてくる。セイバーはそれを容易に避けつつ、敵の側面に回って剣を振る。

 額の角の片方が折れた。


「フィアアアァァァァ!?」

「突進しか能がないのね。ティラノサウルスの方が、まだ器用だったわ」


 頭と尻尾をブンブン振ってセイバーを攻撃するフィアイーター。けど、二日酔いのセイバーがフラフラとした動きで回避し続け、剣で払っていた。

 そんなセイバーを抑えようと迫ってくる黒タイツは、俺が片付けていた。やっぱり、セイバーひとりだと少し心配だな。


 不意に、フィアイーターの体勢が崩れる。後ろ足に力が入らなくなった様子で、体が沈み込んだ。


「尻尾の防御が無くなればこっちのものだ!」


 ラフィオの吠える声。その上で、ハンターが矢を放って追撃。それぞれの足の関節。さらに尻尾の付け根。フィアイーターを横から狙って次々に傷つける。

 四足歩行の怪物の動きがふらつくと見るや、ラフィオとライナーが横から迫ってきた。


「とりゃー! 突進返し!」


 どんな技なんだろう。

11日(日)と12日(月)は小説の更新がありません。13日(火)も、普段より遅い時間帯の更新となる予定です。

旅に出ます。ご了承ください。

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