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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第9章 追加戦士

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9-23.望めばなれるものでもない

「しばらくすれば、こっちからキエラの居場所に殴り込めるようになるよ。そうなれば、この戦いも終わりだ。それまでに、魔法少女たちにはさらに強くなってもらうとして」


 ラフィオの視線はアユムに向いていた。


「四人目の魔法少女が誰になるかの問題は、まだ解決していない。最有力候補はいるけど、本人には聞いてないからね」

「な、なんだよ。アタシか?」

「そうだ。女川アユム。君は魔法少女の適性がある。なってみないかい?」


 魔法少女のことを知っていて、俺たちの知り合い。秘密を公言するようなことはしない性格。アユムならぴったりだ。


 本人は戸惑ってる様子だけど。


「アタシが、魔法少女に?」

「そうだ。外にいる大人たちも、半ばそれを期待して集まってきている。もちろん、決めるのはアユム自身だけど。僕としては、君になってほしい」

「そうか。悠馬はどう思う? アタシが魔法少女になったら、嬉しいか?」

「嬉しい……と思う」


 その感覚はよくわからない。けど、アユムが味方になれば頼れるし、四人目の魔法少女を作らなければいけないならアユムが最適解。

 それを、嬉しいと表現するのは間違ってないはずだ。


「よし! わかった! だったらやってやる! 悠馬が喜ぶならな! それに、仲間になったら悠馬ともっと仲良くなれるからな!」

「あー。うん。そうだねー。悠馬はわたしの彼氏だけどねー」

「違うからな」


 この場のみんなが知ってることだ。


「それでラフィオ。魔法少女になるにはどうすればいいんだ?」

「この宝石を握って、思い浮かんだ言葉を叫べばいい」

「おう、わかった! 言葉……言葉……」


 ラフィオに言われたとおり、緑色の宝石を握ったアユムはしばらく目を瞑り言葉を探していた。


「駄目だなんも思い浮かばねぇ!」

「え。なんで」

「ラフィオ。本当にアユムに適性はあるんだよな?」

「そうだよ。きっと、魔法少女になりたいっていう強い思いと共に願わないといけないんだと思う」

「強い思い?」

「あー。なるほど。姉ちゃんは、俺を助けるために必死だったもんな」

「わたしは、自分の足で走りたいって思ってたからねー。あの時の気持ちは、確かに強かった」

「わたしはラフィオをモフりたいって思ってました!」

「それは強い思いなのか?」

「はい! アユムさんも、ラフィオを撫でながらだと言葉が思い浮かぶかもしれません!」

「そ、そうか。やってみるか……」

「やめてくれ」


 つむぎの場合は考え方が特殊すぎるから、あまり参考にはならない。けど、嘘は言ってないんだよな。


 共通することは。


「アユム。たぶんだけど、強い願望というか、願いが必要なんだと思う」

「願い?」

「アユムの望みはなんだ?」

「それは……悠馬と、その、付き合う」

「はいそれまでー! アユムちゃん他の願いを見つけよっか!」

「おいこら」


 遥が俺とアユムの間に割って入った。


「わたしだって悠馬のこと好きだけど! それとは別の願いで魔法少女になりました! だからアユムちゃんも他の願いで変身した方が、なんかフェアだと思います!」


 なんでフェアプレーの精神が出てくるんだよ。てか、なんで俺なんだ。


「アユムちゃんが模布市に来た理由を思い出して!」

「それは……悠馬を探すため」

「都会に憧れたからだよね! 都会の空気を浴びるために来たんだよね!?」

「まあ、そういう面もあるけど」

「よし! それで変身しよう!」

「無茶を言うな」

「おあっ!?」


 押し切ろうとする遥の額にデコピンを食らわす。


「アユム。こいつの話をまともに受けることはない。自分のやりたい方法で変身すればいい」

「悠馬のことでもいいのか?」

「あー。うん。いいと思う」

「わかった……」


 再度宝石を握るアユム。けれど言葉は出てこなかったらしい。


「そういうこともあるだろ。他のみんなは、怪物がいる状況で変身したんだ。アユムも、次にフィアイーターが出た時に試せばいい」

「そ、そうか。そうだよな。うん。怪物って、いつ出るんだ?」

「それはわからない」

「そっか。まあ、出てきてほしい物ではないもんな。焦らず待つしかないよな」

「魔法少女になるまで、僕みたいにコスプレして戦うのも手だよ。本当に変身できた時への備えにもなるし」

「コスプレ!?」

「剛の言ってることは気にするな」


 急に出てきた剛を止める。


 こいつの場合は、ちょっと特殊すぎる。戦力になるのは嬉しいけど。


「剛くぅーん。こんな所にいたー。寂しいじゃない!」


 飲みすぎて既に出来上がってる麻美がフラフラしながらリビングにやってくる。

 ラフィオが、麻美が魔法陣に踏み込まれないよう立ち塞がった。酔っ払いへの警戒が出来ていて偉い。


「はいはい。麻美さん庭に戻ってください。お肉はまだありますか?」

「料理いっぱい残ってるよー。肉も野菜も。ピザも! おにぎりも!」


 俺たち未成年組は、酔っ払いから逃げるべく屋内に退避したわけで。

 今度は俺たちがバーベキューしないと。


「ゆうまー」

「ゆうまくん! お姉さんたちを放っておくとはどういうことですか!?」

「国家権力への敬意が足りてないわね!」

「うるさい」


 姉と女子アナと公安が一斉に俺に抱きついてくる。

 なんなんだこれは。

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