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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第9章 追加戦士

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9-15.三角関係+1

「あ……アタシは、こんな奴らと悠馬を取り合わないといけないのか?」

「俺を取り合うってなんだよ」

「取り合いにはなりません! 彼女の座はわたしのものなので!」

「あ。そうだ。魔法少女のこと話したなら、これも言っておかなきゃ駄目よね。アユムちゃん。悠馬と遥ちゃんが付き合ってるの、嘘だから」

「ちょっ! お姉さんなんてことを!?」


 遥が止めるのも聞かず、愛奈は本当のことを話してしまう。俺が魔法少女の活動を支援する以上、そのひとりである遥と一緒に行動する口実があれば都合がいいから、恋人のふりをしている。

 遥自身が言ったことだけど、その遥は今とても取り乱している。


「そ、そうかもしれないけど! なんか付き合ってることにしてる内に、本当に付き合ってるみたいな感じになったりとか! そう最早本当の恋人なの! だよね悠馬!?」

「いや、そんな事実はない」

「うぎゃー!」


 取り乱しすぎて叫んだ。


「な、なあ。それは本当なのか?」


 情報量の多さとお互いの主張の食い違いに混乱しているアユムが意見を求めたのは、ラフィオたちだった。

 俺の周りの人間関係からは独立してるからな。本当のことを訊ける相手ではある。


「悠馬と遥の関係かい? 愛奈の説明で合ってるよ」

「このふたり、本当は付き合ってないんですよね。遥さんが、悠馬さんのこと好きなのは本当ですけど」

「そうか。そうなんだな」

「ちなみにわたしは、ラフィオとちゃんと付き合ってます! だよね?」

「恥ずかしげなく言うな、そういうことを。まあ本当だけど」

「本当に彼氏彼女だったんだ。小学生で……やっぱり都会はすごいな」


 そういう問題ではないと思う。あとちびっ子たちは、ただでさえ混乱してるアユムを困らせることを言うな。


 ところが、アユムは認識すべき点を見誤らなかった。


「悠馬はつまり、本当は彼女なんていないんだな?」

「まあ、そういうことだ」

「悠馬。七年前からお前が好きだ。アタシの彼女になってくれ」

「思い切りがいいなあ」


 前からこういう奴だったよ。


 俺の手を掴んで、顔を真っ赤にして。けど、俺をまっすぐ見つめてしっかりと言い切った。


「ちよっ! なにやってんのよあんた!?」

「アユムちゃん急すぎなうわっ!?」


 愛奈と遥が同時に立ち上がった。遥は勢いがつきすぎたのと動揺から松葉杖を掴みそこねてしまい、立った勢いのまま床に倒れ込んでしまう。


「遥! 大丈夫か!?」


 遥が転んでしまうなんて初めて見た。心配になって、アユムの手を振り解いて駆け寄る。


「だ、大丈夫。怪我とかしてないから。ちょっと動揺して力が抜けただけ……」

「そうか。良かった。座れるか?」

「ううん。力が入んない。助けて」

「わかった。肩、貸してやる」

「お姫様抱っこして」

「……」


 そうお願いした遥の目に、極めて強い期待の色が見えた。


「姉ちゃん。俺の代わりに遥を立たせてやれ」

「悠馬。わたしもなんか力入んないから、お姫様抱っこして」

「おいこら」

「悠馬。やっぱりお前、こいつのことが好きなんじゃ……でも、なんで姉まで同じことしてるんだ?」


 遥に駆け寄った俺と、なぜか床に三角座りしている愛奈を見て、アユムは遂に脳の許容量が限界を超えたようだ。


「おい。悠馬。こいつ動かなくなったぞ」


 ラフィオがアユムの目の前で手を振りながら言う。


「魔法少女のことを話したんだから、せっかくなら勧誘しようとしたのに」

「なんでそうなる。てか、余計に混乱させるようなことを言うな」


 アユムは絶賛フリーズ中で、虚空を見つめるだけで反応もないし、たぶん聞いてないのだろうけど。


「身内だ。しかも君に惚れている。秘密を守る代わりに、さらに親密な関係になる手段として魔法少女を勧めるのは得策だと思わないかい?」

「それは……」


 ありかもしれないけど。少なくとも、アユムは秘密を好んで暴露するような奴ではない。


「けど、一度に色々ありすぎて困ってるだろ、アユムが」

「悠馬、オレを心配してくれてるのか?」


 お。復活した。なんか一人称がおかしくなってるけど。


「心配というか、色々あって混乱してると思うから。あまり真面目に考えすぎるなって言いたい」


 世界の危機とかが関わる案件だけど、等の魔法少女たちは真面目とは程遠い態度で生きている。

 ラフィオはアユムを魔法少女にしたがってるけど、今決めることじゃないし、決断を迫るのも今ではない。

 もう少し落ち着かせてからだ。


 それより、すぐに決めなきゃいけないことがあって。


「アユム。家、住めなくなったよな」

「え? ああ、そういえば……」


 あのアパート、ドアをぶち破られてしまった。セキュリティ万全という触れ込みながら、その根拠である出入り口も壊れてしまった。


「アユムだけじゃない。他にいくつも、ドアを破られて黒タイツの侵入を許した部屋があった。死人は出なかったようだけど」


 ラフィオたちはアパート中を駆け回って散らばった黒タイツを片付けていたんだよな。

 そう考えると、やっぱり。


「樋口。現場のアパートの状態について教えてくれ」

『全面封鎖よ。警察が、住民にはとりあえず今夜はホテルに泊まるよう手配してるわ。明日以降は自分で住処を見つけなさいって感じだけど』


 樋口に電話すると、欲しい情報がすぐに手に入った。

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